YouTubeが「フェアユースvs著作権」の訴訟費用を負担へ
YouTubeには毎分400時間ものムービーがアップロードされていますが、中には他者のコンテンツであるテレビ番組や音楽の一部を挿入して制作されるムービーもあります。パロディや批判を目的としたコンテンツはオリジナルより価値ある内容になることもあり、アメリカでは正当な理由による著作権物の二次使用が「フェアユース」で保護されています。そんな中、YouTubeはデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の乱用による不正な動画の削除依頼に対抗するため、フェアユースを訴えるユーザーの訴訟費用を負担するなどの法的支援を開始すると発表しました。
Google Public Policy Blog: A Step Toward Protecting Fair Use on YouTube
http://googlepublicpolicy.blogspot.jp/2015/11/a-step-toward-protecting-fair-use-on.html
YouTubeにおける著作権やフェアユースの扱いは、以下のYouTube公式ムービーを見るとよくわかります。
YouTube Copyright Basics (Global) - YouTube
YouTubeには誰でも動画をアップロードできますが、オリジナルの動画は著作権で保護されます。
もし誰かが許可なく動画をアップロードしても……
YouTubeから著作権侵害の削除申請を送信できるプロセスが設けられています。
また、削除ではなく「動画がブロックされています」と表示されることがありますが……
これは「Content ID」が自動的に働いたもので、著作権で保護されたコンテンツに一致するものを自動的にブロックする削除申請とは別の機能です。著作権所有者に許可を得て使用している場合も自動的に動画がブロックされることがありますが、その場合は「異議申し立て」を行うことができ、正当な理由であればブロックが解除されます。
一方で、人気の動画が現れると、その動画の一部が批評に使われたり、パロディ化されたりすることがありますが……
YouTubeの著作権弁護士であるフレッド・フォン・ローマン氏によると「解説・批評・パロディなどはフェアユースとして許可されている」と述べています。
最後に赤いキャラクターが「分かりやすい動画だね!最後にジュラシックパークでトイレに入った弁護士が恐竜に食べられるシーンを挿入しようよ!」と話していますが、この場合は解説・批評・パロディなどの目的にあたらないため、著作権の侵害になってしまいます。
YouTubeはこのように著作権やフェアユースのポリシーを制定しています。しかし、フェアユースの法的基準は地域によって異なるため、「著作権侵害の主張」と「フェアユース使用の主張」は真っ向から対立することがあります。その場合は弁護士などの専門家に相談する必要が生じるわけですが、YouTubeは著作権法の対象になっているフェアユース動画の制作者を保護するべく、訴訟になった場合のYouTubeユーザーの弁護士費用などを負担することに決定した、というわけです。
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