コーヒーからヘロインまでドラッグまみれのアメリカ100年史
コーヒー、紅茶から大麻、覚醒剤、精神安定剤、ヘロインなど、アメリカの過去100年の歴史を振り返ってみると、そこには必ずドラッグの存在があった……ということで、グローバル・ニュース・コミュニティーのAJ+がドラッグまみれのアメリカの歴史を約3分で分かりやすく解説しています。
100 Years Of Drugs In America: From Coffee To Heroin - YouTube
1910年代に流行したドラッグとして挙げられたのはコーヒー&紅茶。具体的に言うとカフェインです。
1912年、米国農務省(USDA)は「アメリカはコーヒーや紅茶で酔っ払っている人であふれている」と警告。
「コカ・コーラは飲料にカフェインを追加している」としてアメリカ政府が訴訟を起こしたこともありました。
続いてアメリカ人たちが依存したのはアルコール。「悪の根源は酒にある」ということで、1920年にはアメリカ合衆国憲法修正第18条下において禁酒法が施行されました。
しかし、禁酒法が制定されたからといってアメリカ人が飲酒をやめたわけではありません。自宅での飲酒までは禁止されなかったこともあり、酒の密造や密輸が増え、法律を逆手にとったギャングたちがブラックマーケットで大きな利益を上げていきます。
さらに1927年には、禁酒法が制定される前に比べて未認可の酒場の数は2倍になったそうです。
1933年まで続いた禁酒法時代にはクラブなどで酒の代わりに振る舞われていた大麻ですが、1930年代に連邦麻薬局が違法なドラッグを取り締まり始め、1937年には大麻も非合法化します。
また、政府の反大麻キャンペーンによって麻薬の恐ろしさを伝えるために「リーファー・マッドネス(大麻による狂気)」という映画も作られました。
1939年から1945年まで続いた第二次世界大戦から帰国した兵士たちに医師はアンフェタミン、つまり覚醒剤を処方し始めます。アッパー系と呼ばれるドラッグが流行しだしたのはこの頃。
また、学生たちがパフォーマンスを上げるために覚醒剤を摂取することもありました。
第二次世界大戦中のパイロットたちはベンゼドリンをフライトキットの一部として受け取っていたとのこと。
1950年代に入ると、今度はダウナー系というドラッグが流行しだします。
広告の力を借り、メプロバメートのような精神安定剤が堂々と公共の場でアピールされました。
「母親のお助け役」として不安を解消するために処方され、20人に1人のアメリカ人が薬を服用していたと言われています。
1960年に入ると、愛と平和を叫ぶ中流階級の白人の若者たちによって、ヒッピー文化が盛り上がりを見せます。
彼らは穏やかな気持ちになるために大麻を服用。
現在まで続くドラッグの時代が始まったわけです。
1970年になると、コカインとヘロインが再び人気に。
ベトナム戦争に向かった兵士の10~15%はヘロイン中毒だったと言われています。
当時の大統領であったリチャード・ニクソンは「アメリカの最大の敵はドラッグの乱用である」と発言しました。
1980年代になると、コカインがさらに人気を博します。
それまでは注射するタイプのコカインが使われていたのですが、この時代には煙草で吸引できる状態にしたクラック・コカインが登場。通常のコカインは1グラムあたり100ドル(約1万1900円)だったのに対し、クラック・コカインは1グラムあがり2.5ドル(約300円)と安価で、しかも効果はずっと大きいものでした。
当時の大統領ロナルド・レーガンは「Just Say No」キャンペーンを実施。
ファーストレディのナンシー・レーガンもキャンペーンを支援しました。
エクスタシーのメチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)などがパーティードラッグとして流行したのは1990年代。MDMAは多幸感をもたらし、他者との共感に変化をもたらす作用があります。
1997年の調査によると、高校に入学した生徒の16人のうち1人にエクスタシーの経験があったとのこと。
2000年に入るとオキシコドンのような鎮痛剤が「簡単に手に入る」として人気になります。
特にフロリダの医師が簡単にオキシコドンを処方するとして知られており、全米でオキシコドンの処方量の多い医師上位100人のうち90人がフロリダに診療所をもっていたそうです。
そして、2010年代に入ると再びヘロインの時代がやってきます。
処方薬の取り締まりが厳しくなると、「安く手に入って簡単にハイになれる」として人気となったわけです。
現在、ヘロインの消費は過去10年に比べて2倍にも上っています。
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