アメリカで大麻支持が不支持の数を上回る逆転現象が起こる

By elston

日本では大麻所持は犯罪にあたりますが、アメリカでは徐々に大麻の合法化に対する支持が広がり、多くの州で合法化が広がる兆しがあることをGallupが報じています。

For First Time, Americans Favor Legalizing Marijuana
http://www.gallup.com/poll/165539/first-time-americans-favor-legalizing-marijuana.aspx

大麻合法化支持者にとって1年前にワシントンとコロラドで大麻の使用が解禁になったことは、喜ばしいニュースでした。現在、58％ものアメリカ人が「大麻は合法化されるべきだと」主張しています。1969年にGallupが大麻合法化に関するアンケートを取った際は、支持率はわずか12％だったので、いかに当時と状況が違うかがわかります。

1969年に12％しかなかった大麻合法化賛成の声は、1977年に28％にまで上昇しました。その後、80年代から90年代にかけて20％台で推移した支持率ですが、2000年をこえたころから上昇に転じ、2011年にはついに反対派を上回りました。今年行われた調査で、実に38％ものアメリカ人が過去に大麻を使った経験があるという結果が出ていたり、コロラドとワシントンの2州で大麻が合法化されたことが大麻合法化の声が大きくなる一因かもしれません。特に、支持派の割合は昨年の11月に比べて10ポイントも増加しており、合法化の声は勢いを増すばかりです。カリフォルニア州のガヴィン・ニューサム副知事は先週「マリファナは州内で合法化されるべきだ」とコメントしており、合法化賛成派は法改正に向けての住民投票を州内で実施すべく準備を整えています。

By mardi grass 2011

連邦法をもとにアメリカ合衆国政府は大麻合法化に強い反対の意思を表明していますが、8月にはジェームズ・コール副司法長官が「大麻の販売と流通に対する厳しい規制を維持するのであれば、アメリカ司法省はコロラドとワシントンで可決された州投票の適法性について異議を唱えることはないだろう」とコメントしています。大麻合法化の運動は、同性婚が合法化されたことにも影響を受けています。既に14の州で合法と認められているように、以前は多くのアメリカ人が反対していた同性婚への支持も今では劇的に増加しており、過去2年で特に多くの支持を得るように変化してきました。大麻合法化を推し進めているのは無党派層の存在です。無党派層の実に62％が合法化に賛成しており、去年11月の50％から12ポイントも支持者が増えています。一方で民主党と共和党の支持者の合法化支持率はほとんど変わりがありません。しかし共和党支持者は大麻合法化に反対する声が根強くあります。

年代別に見た支持率の表がこちら。合法化反対が賛成を上回っているのは、65歳以上の年齢層のみとなっています。それでも去年の調査に比べて合法化支持率は14ポイントも増加しており、全体では45％の支持率。一方で18～29歳の若者の67％は合法化に賛成です。30～64歳のグループでも、多数が合法化を支持しています。

過去44年間にわたって大麻合法化賛成は少数派でしたが、新しい時代に向けてアメリカ人の大麻合法化に対する認識は変わりました。1960～70年代の終わりにはとても受け入れられなかった大麻に対する寛容な考え方が、時代とともにライフスタイルも変化したことで容認する動きが広まっているのかもしれません。支持率が増加した背景には、関節炎などの病気をやわらげたり、化学療法の副作用を緩和する方法として医療用大麻が貢献する事例がみられることが関係しているのかもしれません。いずれの理由にせよ、この大麻容認の勢いはアメリカ中での合法化に拍車をかけることになりそうです。

By Bossi

大麻合法化主張者の中には、大麻に税金および規制をかけることが州や町にとって有益だと主張するものもいます。しかし法の乱用とマリファナ中毒者を中傷する人は、大麻を使うことによって心拍数の増加や記憶障害などの健康被害を引き合いに出して反対しています。1969年から比べて大麻の合法化の支持は4倍に増えていること、オレゴン州ポートランドのような東海岸の大きな町でも合法化の支持が広がり、合法化に関する投票が行われることを考えれば、全米で大麻への関心や支持が今後上がり続けることは予想に難くない流れと言えるでしょう。