モバイル広告は広告主よりも通信キャリアの方がより儲かっていることが判明
by Jon Fingas
ニュースサイトの収益源のひとつにモバイル広告がありますが、ニュースサイトがモバイル広告であげている収益よりもモバイル広告を表示するためにかかる通信料の方が16倍以上も高額であることが明らかになりました。
Carriers are Making More From Mobile Ads than Publishers Are - Medium
https://medium.com/@robleathern/carriers-are-making-more-from-mobile-ads-than-publishers-are-d5d3c0827b39
The New York Timesが公開している「ニュースサイト50個におけるモバイル広告の売上」という記事ではニュースサイトを閲覧する際に広告ブロック機能をオンにした場合とオフのままの場合の通信量の違いを比較しています。例えばBoston.comを広告ブロック機能なしのまま開くと、1ページあたり389個・合計16.3MBのファイルを読み込み、表示までに33秒かかります。しかし、広告ブロック機能をオンにして表示すれば1ページあたり52個・合計3.5MBのファイルを読み込むだけで済み、たった7秒でページを表示させることが可能です。Boston.comのページ上で特に大きなデータは、9MBの動画広告でした。
Los Angeles Timesでは広告ブロック機能を使うことで、158個・合計4.5MBのファイルをブロックし、読み込み時間を9秒短縮できます。
The Guardianはもともと広告表示数が少なく、広告ブロック機能を使うと20個・合計0.3MBのファイルをブロックし、読み込み時間は広告ブロックを使用していない場合と変わりないことが判明。
50個のニュースサイトの読み込み結果を平均すると、ニュースサイト閲覧時に携帯電話の通信量のほぼ半分をモバイル広告が占めていることが明らかになっています。この記事を見て、起業家のRob Leathern氏は「アメリカ国内の携帯電話ユーザーが1カ月間で使用しているデータ量」「ニュースサイトがユーザー1人あたりから得られるモバイル広告収入額」という2点を調べることにしたそうです。
◆1GBあたりの携帯電話料金
アメリカ人の平均的なスマートフォン使用量は1カ月あたり1.8GBという調査結果から、アメリカでは平均して2GBの料金プランが必要ということが判明しました。携帯キャリアのVerizonとSprintでは月50ドルの2GBプラン、T-Mobileでは月60ドルの3GBプラン、AT&Tでは月65ドルの3GBプランが提供されていて、4社の料金プランを平均すると1GBあたり22.92ドル(約2800円)、1MBあたり0.0224ドル(約2.7円)の利用料金がかかります。
◆ページの読み込み速度
The New York Timesの調査した下記のデータから算出した「50個のニュースサイトにおける広告の数」を、Times誌の発表した「モバイルユーザー1人あたりの1カ月間のページ滞在時間」で割ると、平均的にユーザーが読んでいるのは記事1本のみで、1ページあたり1.4秒~3.5秒の時間をかけて読んでいることが判明。
◆モバイル広告収益
デジタル広告のマーケティング企業Interactive Advertising Bureau (IAB)が行なった2014年の広告収入額の概算によれば、アメリカ国内のモバイル広告収益額は143億2000万ドル(約1兆7000億円)。また、調査会社ニールセンによる2015年第2四半期の調査では、アメリカ国内に住む18歳以上のスマートフォンユーザーは1日あたり90分をアプリやウェブブラウジングに費やしていることが判明していて、アメリカ国内でウェブブラウジングに使われている時間は1日あたり合計158億分となり、モバイル広告の収益は1ユーザー1時間あたり0.15ドル(約18円)と算出することができます。
最後に、1分あたりのモバイルデータ使用量(MB/分)と1MBあたりの携帯電話の平均利用料金をかけて、各ニュースサイトのユニークユーザー数を加えて平均を算出すると、1分あたりの携帯電話利用料金は0.01ドル(約1.2円)から0.24ドル(約29円)という結果が明らかになりました。これはモバイル広告の収益が1時間当たり0.15ドル(約18円)、つまり1分あたり0.0025ドル(約0.3円)であることに比べると、携帯電話の利用料金がモバイル広告の上げる収益の16.6倍であるということになります。
Leathern氏が調査したニュースサイト50個のデータは以下から見ることができます。
なお、モバイルアクセスに限定せずウェブ全体で見ると1ページあたりのデータ量は年々増加しており、HTTP Archiveの調査によれば2011年の1ページあたり961KBに比べて2014年には1953KBと、2倍以上に増えています。最新の2015年9月のデータ量は1ページあたり2182KBで、そのうち354KBはJavaScript、1383KBが画像ファイル、63KBがFlash、71KBがCSS、56KBがHTML、111KBをなんとフォントのデータが占めていることが明らかになっています。
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