「iPhone 6s Plus」を分解して原価が判明、前モデルからいくら変動したのか?
「iPhone 6」シリーズのマイナーチェンジモデルとなる「iPhone 6s/6s Plus」は、外観こそ変わっていないものの、劇的な性能向上が各種ベンチマークで証明されています。6シリーズにはなかった3D Touchの部品などが追加され、販売価格も1万円近く底上げされているわけですが、iPhone 6s Plusをバラバラに分解して調査したIHSのレポートで、原価コストが部品1つ当たり16ドル(約1900円)高くなっていることが判明し、正確な製造原価が算出されています。
Upgraded Components in iPhone 6S Plus Costs Apple an Extra $16 Per Device | IHS Online Newsroom
http://press.ihs.com/press-release/technology/upgraded-components-iphone-6s-plus-costs-apple-extra-16-device
IHSが分解調査したのはiPhone 6s Plusの16GBモデルで、定価749ドル(日本価格・税別98800円)に対して、1台あたりの製造原価の合計は236ドル(約2万8000円)と算出されています。IHSによると、特徴的な変化は3D Touchシステムの追加によりTaptic engineが追加されている点で、各部品の原価コストは16ドルずつ上昇している計算になるとのこと。
これらの変化が原価の上昇に見合っているのかが気になるところですが、IHSは分解した各部品を分析し、考察をまとめています。
◆耐久性の向上
6sシリーズの外装には、Apple Watchのケースにも使われている「7000シリーズアルミニウム」のアロイ、ディスプレイには最高硬度のGorilla Glass 4が採用されています。細かいすき間のパッキングと密封も行われているため、公表はされていないものの、防水性能も向上しており、前モデルより丈夫な設計になっているとのこと。
◆プロセッサのアップグレード
コア・プロセッサが従来のA8シリーズより70パーセント速いCPU性能を持つA9シリーズにアップグレード。前世代のA8チップにはコプロセッサのM8チップが別途必要でしたが、A9チップはM9チップを内蔵した設計で、スタンドアロン型へと進化しています。
◆3D TouchとTaptic Engine
前バージョンにはなかった3D Touch機能が実現したことで、Taptic Engineが追加されました。従来のモーターからのアップグレードとなるため、材料コストが10ドル(約1200円)上昇することに。
◆無線モデムのアップグレード、Wi-Fi性能が改善
ワイヤレスモデムの規格が、従来のCAT 4(Qualcomm MDM9625)からCAT 6(Qualcomm MDM9635)になったことで、データ効率が向上しています。また、iPhoneで初となる2x2のMIMOが搭載されており、マルチ出入力のアンテナ設計により、Wi-Fiの送受信パフォーマンスが改善されています。
◆カメラ性能の向上
メインカメラが800万画素から1200万画素、フロントカメラも120万画素から500万画素となり、メジャーアップグレード並の変更となっています。IHSは「Appleは画素数より映像画質とカメラ速度に焦点を当てる傾向にありましたが、他社製のフラッグシップモデルに引けをとらなくなったのです」と話しています。
◆バッテリー寿命の拡張
バッテリー自体は6シリーズに比べて小さくなっているとのことですが、新しい省電力ソフトウェアや、電源を管理する構成部品が変更されたことで、バッテリー寿命が向上しているとのこと。
◆NAND型フラッシュメモリー
16GBのNAND型フラッシュメモリーのコストは1枚あたり6ドル(約720円)未満。NAND型フラッシュメモリー自体の流通価格が低下しているため、16GBと64GBのiPhone 6s Plusを製造するコストはわずか17ドル(約2000円)しか変わらないそうですが、Appleは16GB・64GB・128GBと容量を追加するごとに、業者への出荷価格を100ドル(約1万2000円)ずつ上乗せするという価格設定を採用しているそうです。
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