容量16GBのiPhoneがどれだけユーザーエクスペリエンスを損なっているかを示すデータあれこれ
By Ryan Tir
2015年のiPhone最新モデルとなる「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」が発売され、すでに実機を手に入れて使いまくっている人もいると思います。両機種ともストレージ容量別に16GB/64GB/128GBというラインナップとなっており、16GBモデルは最も下位グレードとなっているわけですが、実際のユーザーの状況やデータを垣間見るとどうやら16GBモデルは実用に耐えられない部分があることが垣間見えてきます。
16GB is a Bad User Experience - David Smith
https://david-smith.org/blog/2015/09/10/16gb-is-a-bad-user-experience/
◆ストレージ容量が圧倒的に不足
iOSアプリのデベロッパーであるデイビッド・スミスさんは、ブログの中で16GB iPhoneの実態について紹介しています。スミスさんの奥さんは2014年に発売されたiPhone 6の16GBモデルを使っており、子どもの成長を記録するためにムービー撮影をよく行っているとのこと。ある週末、スミスさん一家はキャンプに出かけたのですが、家族の様子をカメラに収めようとしたところ、以下のように「撮影できません。ストレージ容量に空きがありません」と表示されてしまい、結局その瞬間を収めることができなかったそうです。
もちろん、どのモデルにも容量の限界はあるので16GBモデルに限った問題ではありませんが、ストレージの空き容量を定期的に確保しているにも関わらず頻発する容量不足問題に、スミスさんは疑問を感じています。また、残り容量がなくなることで端末のパフォーマンスが劇的に低下することもユーザーエクスペリエンスを損なっていると指摘しています。
◆「残り容量」をモデル別に比較すると……
スミスさんはオーディオブックを再生する無料のアプリ「Audiobooks」をApp Storeで公開しており、そこから得られるユーザーの統計をもとに分析を行っています。以下のグラフでは、旧モデルとなったiPhone 6とiPhone 6 Plusのユーザーがどの容量のモデルを使っているのかが示されておりいます。上からiPhone 6とiPhone 6 Plusの合算データ(Combined)、iPhone 6 Plus、そしてiPhone 6の割合が示されているのですが、特にiPhone 6では赤色の16GBモデルの比率がおよそ半数に達するレベルになっていることがわかります。
そして最も興味深いのが以下のグラフ。16GBモデルと64GBを使っているユーザーが、それぞれどの程度の容量を残しているのかが示されています。青が16GB、赤が64GBとなっているのですが、16GBモデルのユーザーの実に37%もの人が残り容量1GB未満の状況になっていることが示されており、まんべんなく結果が分布している64GBとは顕著な違いが生まれていることが見てとれます。
さらに16GBモデルの状況を詳細にプロットしたグラフがコレ。2.5GBあたりから下に集中的に分布していることがわかり、残り0.3GB(300MB)あたりの個体数が最も多いことが明らかにされています。
実際にそんな状態でカメラを使って撮影すると、動画の撮影はおろか静止画の撮影すらままならない事態に陥ることは明らかです。もちろん16GBモデルを選択して購入しているユーザーの判断があることは間違いないのですが、その背景にはAppleが32GBモデルをラインナップさせていないことも決して無視できるわけではないはず。
確かに「iPhoneが動作する」ためには16GBはもちろん8GBでも十分と見られますが、いろいろな機能を活用して「iPhoneを快適に使う」ために必要なストレージ容量はもはや16GBでは足りないというユーザーが大多数を占めている状況が浮き彫りになっています。これからiPhoneの購入を考えている場合には、このような状況があることを頭の片隅に入れておくべきだと言えそうです。
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