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「週32時間労働」という就業時間を導入した企業のトップが語る仕事と人生のトータルバランスとは?

By Citrix Online

「働き過ぎ」が問題になるのはどの国でも同じようで、アメリカでも仕事に人生の大部分を費やすことに疑問を感じる人が多く存在しています。そんなアメリカには「週32時間労働制」という非常に短い就業時間を設定して大きな効果をあげている企業があり、そのトップが「仕事と人生のトータルバランス」について語るインタビューが公開されています。

The Case for the 32-Hour Workweek - YouTube


「成長する子どもと過ごす時間は、いくらお金があったとしても、どんな力を自分が持っていようとも、決して取り戻せないものです」と語るのはライアン・カーソン氏。カーソン氏は、オンラインでプログラミングやデザインの講座を受講できるTreehouseのCEOを務める人物です。


「金曜の夜9時にキーボードを叩いて仕事するなんて、あり得ない。なぜなら、そこに『人生』というものがないからです」と、仕事だけに追われない生き方について語ります。


数々のオンライン講座を提供しているTreehouseは、初心者でも6か月間の講座を通してプログラマーやデザイナーとして仕事ができるレベルに達することができるというサービス。月額25ドル(約3000円)から受講でき、全世界で10万人以上が利用しているとのこと。


そんなサービスを提供するTreehouseでは、世界中で100名近くの正社員を雇用しているそうです。


TreehouseのCEOであるカーソン氏が「週32時間労働」の導入を思いついたのは、奥さんとソファーに座っていた時。奥さんはカーソン氏の方を向いて「いったこれはどういうこと?もっと人生を思うようにコントロールできると思ったから会社を立ち上げたのに、前よりもっと働いているじゃない!?」と言ったそうです。


カーソン氏は思わず「おいおい、だって仕事が山ほどあるじゃないか」と反応したとのこと。


しかし考え直したカーソン氏は、奥さんの言うことが正しかったと思うようになったと言います。「なぜなら、誰も『40時間働かないといけない』だとか、『さらに成功するためにはもっと働かないといけない』と決めた人はいないのです」


アメリカの労働者は、平均して週あたり47時間を仕事に費やしています。


また、1979年時点のデータに比べるとアメリカ人の就業時間は長くなっており、年間で4週間に相当するほど多く働いている計算にもなるとのこと。


Treehouseで講師を務めるアンドリュー・チョークリー氏は、テクノロジー業界を目指す人を対象に専門的な講座を担当しています。チョークリー氏は奥さんと3人の子どもと一緒に暮らしています。


長男のヘンリーくんはなかなかの暴れん坊のようで、手がかかる子どもとのこと。そのため、チョークリー氏が家にいて子どもの相手をすることで、奥さんの負担がかなり軽減されているそうです。


「『長時間働くほど生産性が上がる』という神話は間違いです」と語るチョークリー氏。「多くの人は仕事が好きじゃないし、上司や社長のことも好きじゃない。自分の愛する人と多くの時間を過ごす方が重要です」と語っています。


TreehouseのCFO(最高財務責任者)を務めるマイケル・ワトソン氏は、最初に32時間労働制のことを聞いたときに「ライアンは気でも狂ったのかと思った」と振り返ります。「会社の労働力を20%も削減するなんて、まったく馬鹿げている、と強い調子で反論しました」と、最初は非常に戸惑った様子。


「しかし今はその方針に疑いはありません。32時間労働は多くの成果をもたらしてくれています」


「数値化することは難しくて、仮にお金の面で考えた場合だと時間あたりの労働コストは当然上昇することになります」


「しかし、そこには目に見えない恩恵が生まれており、それはまさに『プライスレス』なものといえます」と、32時間労働制のメリットを評価している様子を語っています。


「長時間働きづめにならないことで、より多くのアイデアが浮かぶなどのメリットがあります。Treehouseでは、そのようなクリエイティブさを無理やり作りだそうとしているのではなく、よく働いてもらおうとする人に多くのケアを行うことで、結果としてクリエイティブになるようにしているのです」


「アメリカは、先進国の中でも有給休暇やSick Days(賃金の支払われる病欠日)、育児休暇を保証していない唯一の国です」


「一所懸命働くことは素晴らしいことです。私は月曜から金曜までハードに働いています。しかし、それが必ずしも結果を生むとは限りません」


「『給料を上げればいい』という人や、『速い成長を求めればいい』という人がいますが、それは違います。我が社でも既にその手法を試したことがあります。本当に必要なのは、実際に働いている人がどのように行動するかによります」


「どの会社でも社長がバリバリ働くことは事実です。だからといって、それがそのまま会社全体にあてはまるとはいえません。実験を繰り返し、競争の激しいマーケットで実際の会社と実際の人々にとって長続きするものを選んできました」


「我が社では現在、GoogleやFacebookのような巨大企業と人材の面で対等に戦うことができています。それは、十分なサラリーを支払い、恩恵を与えられているからです。我が社では原則的に従業員に対して極端なまでのケアを行っているといえますが、その理由は『それが正しいことだから』と考えているからです」


「これは、いかによりバランスの取れた人生を過ごすか、ということだと思います。単に『家族と過ごす時間』や『遊びの時間』を増やしたり、『仕事の時間』を少なくするかというだけではありません」


「大事なことは、われわれが人類の歴史の中でも『仕事に関する時間を短くすることができる』という幸運に恵まれていることです。私は『来世』のようなものは信じていないのですが、それゆえに、いまこの時間を大事に過ごすことが重要だと思っています」

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