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合法の「火炎放射器」が登場している理由とは?


可燃性の液体を噴射して点火することで火炎を噴き出す武器・装置が「火炎放射器」です。アメリカでは2つの会社から、法律を犯すことなく購入・所持・使用できる火炎放射器が登場しています。

Facing possible ban, more Americans are buying new—and legal—$900 flamethrowers | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2015/08/facing-possible-ban-more-americans-are-buying-new-and-legal-900-flamethrowers/

アメリカで販売されている火炎放射器のうちの1つは、Indiegogoで出資を募集して製品化に至った「XM42」というもの。製造・販売しているのはThe Ion Productions Teamという会社で、1台あたりの価格は900ドル(約11万円)。これまでに350台のXM42を販売済みです。XM42の火炎射程距離は約7.6メートルで、燃料タンクを満タンにすると重量は4.5kgになり、35秒間連続で火炎放射が可能。


「XM42」で火炎を放射している様子は、以下のムービーを見るとわかります。

XM42 IndieGoGo Campaign Video - YouTube


もう一方の会社がXMatterで、「X15 Flamethrower」という火炎放射器を販売しています。1台あたりの価格は1600ドル(約19万円)で、重量はXM42の5倍近くとなる約22.6kgですが、射程距離はXM42の2倍近い15.2メートルに及びます。どちらもガソリンやブタンを組み合わせた可燃性の液体燃料が使われており、除雪・除氷・除草・農業・害虫駆除・たき火のたき付けなどを目的として販売中です。


X15 Flamethrowerの火炎の威力は、以下のムービーで確認可能。

X15 Flamethrower Teaser from Throwflame.com - YouTube


アメリカの連邦規制には火炎放射器の所持・製造・販売・使用を取り締まる法律はなく、銃器には当たらないため銃器法には違反していません。ただしカリフォルニア州では所持に許可が必要で、メリーランド州では完全に禁止されているなど、州によっては規制がある場合がありますが、基本的に2つの個人用火炎放射器は、なんと購入したり、使用したりしても法律的に問題ないとのこと。


火炎放射器は特定通常兵器使用禁止制限条約で「焼夷兵器」として禁止されており、アメリカは1981年に条約に署名しています。しかし、この条約はあくまで軍隊としての使用を禁ずるもので、個人用の火炎放射器はカバーされていません。XM42の製造会社のCEOであるクリス・バイアーズ氏は、「私は個人的自由と個人的責任という考え方の支持者です。しかし、もしXM42が間違った使われ方をしてしまうと、ガソリンとブタンを組み合わせた液体燃料による火炎は対象を焼き尽くしてしまうでしょう」と話しており、危険な使用を懸念しているとのこと。

なお、ミシガン州では2015年8月に火炎放射器を規制する法案が提出されており、都市部で火炎放射器を保管・使用・所持すると刑務所に最大90日間の拘留、または500ドル(約6万円)の罰金が科せられます。日本でも「草焼きバーナー」が販売されていますが、農業用具として合法的に購入可能な状態。今後、個人向けの火炎放射器が増加すれば、新しく法律で規制されていく流れになるかもしれません。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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