メモ

海底で作物の成長速度を劇的に速める画期的な温室「Nemo’s Garden」


ガラスやビニールで覆うことで暖まった空気を内部にとどめ、寒い冬などでも生育に適した環境を整えることができる温室は農作物や植物を育てるのに使用されます。地上に設置するのが通例ですが、海の自然属性を利用して海底に温室を設置するプロジェクトがイタリアで進められており、実際に果物や野菜が育てられています。

Nemo's Garden by Ocean Reef Group
http://www.nemosgarden.com/

The world’s most beautiful greenhouses are underwater, and growing strawberries - The Washington Post
http://www.washingtonpost.com/news/speaking-of-science/wp/2015/06/30/the-worlds-most-beautiful-greenhouses-are-underwater-and-growing-strawberries/

イタリアの地方都市・ノーリでは、海岸付近の海底に大きな風船のような形をした5つの温室が設置されています。この温室はNemo's Gardenと名付けられていて、中ではレタス、イチゴ、バジル、豆などが育てられているとのこと。


Nemo's Gardenは内部が空気で満たされているのですが、下の部分は海水が入っています。簡単に言うなら、コップを逆さまにして水の中に沈めた感じで、空気と水の層が存在しているイメージ。


Nemo's Gardenの内部では空気に触れた海水が継続的に蒸発することで水分が供給されるようになっており、豊富な水分を与えられた植物が速く成長するという仕組みです。また、海底の温度が一定なので温室内の温度も常に一定に保たれます。さらに、内部は高濃度の二酸化炭素が充満する仕組みになっており、植物にとってステロイドのような効果があり、地上よりも早いスピードで成長するそうです。


Nemo's Gardenを開発し設置しているのはOceanreefというダイビング用品を販売する企業。Oceanreefの社長であるSergio Gamberini氏が、バカンス中に温室を海底に沈めて植物を育てるアイデアを思いつき、2年かけてNemo's Gardenを開発しました。2015年現在では温室内部にセンサーやカメラを設置し、湿度・PH値・気温・二酸化炭素濃度などのデータをリアルタイムで管理しているほか、Ustreamでリアルタイム配信も行っています。


Oceanreefはノーリの地方自治体から許可を得て植物を海底温室で栽培していますが、許された栽培期間は5月~9月までの4ケ月のみ。プロジェクトは最初から成功したわけではなく、4度の失敗を経て植物の栽培に成功したとのこと。栽培植物を販売するまでには至っていませんが、Gamberini氏の奥さんが海底温室から収穫したバジルでバジルペーストを作るなどして消費しているそうです。


Oceanreefは現在の海底温室を小さくしたタイプの開発に乗り出しており、2015年6月に実施したKickstaterのキャンペーンでは目標金額を上回る3万1130ドル(約380万円)を集め、開発資金の調達に見事成功しました。栽培する植物も、マッシュルームなど湿度管理が必要な種類を増やしていく計画が練られるれていて、今後の展開に大きな注目が集まっています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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