スウェーデンの山奥深くに住む人々は100年前までルーン文字と独自の言語「Elfdalian」を使っていた
![](https://i.gzn.jp/img/2015/08/02/swedish-used-rune/00-top.jpg)
呪術や儀式と密接な関わりがあると捉えられることも多く、神秘的なイメージを持つルーン文字は中世の北欧で使われていたのを最後に姿を消したものと考えられていました。しかしスウェーデンで発見された古い資料からは、この古代の文字が20世紀初頭まで使われていたことが明らかになりました。
Isolated people in Sweden only stopped using runes 100 years ago | ScienceNordic
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ルーン文字が生まれたのは1世紀ごろとも考えられており、古くはゲルマン言語を表記するための文字として日常的に生活の中に取り入れられていました。その後のラテン文字の広まりにつれて廃れてしまったルーン文字ですが、北欧・スカンジナビア半島では中世の時代まで使われており、その後廃れていったものと考えられていました。
失われた文字であるルーン文字ですが、その影響は現代でも垣間見ることがあります。スマートフォンなどでも広く使われているBluetoothを示すあのマークは、実はデンマークルーン文字をもとにデザインされたものとなっています。
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![](https://i.gzn.jp/img/2015/02/06/origins-of-symbols/top.jpg)
世界から姿を消したと思われていたルーン文字ですが、スウェーデン西部に位置するÄlvdalen(エルブダーレン)と呼ばれる地域に住む人たちが、スカンジナビアの他の地域では廃れた後でもルーン文字を何世紀にもわたって使い続けていたことがわかってきました。エルブダーレンはスウェーデンの森深い奥地にある地域で、ルーン文字を20世紀初頭まで使い続け、さらに独自の言語「Elfdalian語」を使っていたことが明らかになっており、スカンジナビアの言語を研究する研究者にとってはまさに「宝石箱」のようなものと捉えられているそうです。
コペンハーゲン大学Department of Nordic Research(スカンジナビア研究学部)のMichael Lerche Nielsen准教授は「エルブダーレンは非常に特別な場所です。まず、そこでは古代スカンジナビア語が話されていたこと、そして古代からのルーン文字をわずか100年前まで使い続けていたからです。これは非常に魅力的なことです」と語っています。
デンマークおよびスカンジナビア半島地域では、9世紀から10世紀にキリスト教がもたらされると同時にアルファベットが広まるようになるまで、ルーン文字が主な文字として使用されてきました。15世紀までに、ルーン文字はアルファベットに取って代わられることになりますが、エルブダーレンだけはその影響を受けることなくルーン文字を使い続けており、1906年に書かれた手紙の中では部分的にルーン文字が使われていることがスウェーデンの言語学者、Henrik Rosenkvist氏によって発見されています。
Rosenkvist氏は「エルブダーレンで発見されたルーン文字使用の痕跡は、おそらくわれわれが知る中で最も新しい証拠です。他の世界ではルーン文字の使用は中世に途絶えているため、近世に使われていたことは非常にめずらしいものです」と語っています。
エルブダーレンで見つかったルーン文字の例は以下のようなもので、アルファベットの影響を受けながら変化したものと考えられており、20世紀初頭に使われていたものがこの画像に記されているとのこと。
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Nielsen准教授もこれに同意し、「スカンジナビアでは15世紀半ばにルーン文字の使用が徐々に途絶えたものと考えられていました。一部では、スウェーデンのゴットランド島やアイスランドのように17世紀ごろまでルーン文字を使っていた地域もありましたが、エルブダーレンでは20世紀初頭までルーン文字が広く使われていました」と語っています。
Nielsen准教授によると、エルブダーレンでは家の建物や家具に刻まれたルーン文字が多く見つかっているとのこと。さらに、これに加えて「メッセージ・ブレード(message blades)」と呼ばれる木の棒に文字が刻まれ、地域内の農家の間で交換されていたそうです。これについてNielsen准教授は「山岳地域で牛を飼っていた人々がルーン文字でメッセージのやりとりを行っていたようです」と考えているとのこと。
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また、山や森、湖によって他所とは隔離されたエルブダーレンの地理的な要因もルーン文字が使い続けられてきた理由に大きな影響を与えているとのこと。「エルブダーレンはスウェーデンの深い森の奥にあり、たどりつくにはダール川を船に乗って100km以上もさかのぼっていく必要があったため、かつてその地域を訪れることは冒険にも等しいものでした」とNielsen准教授はその独自性の理由を語っています。
一方のRosenkvist氏は「エルブダーレンの人々は、いい意味で保守性が強かったものと考えられます」と語り、スウェーデン独自の社会がその背景にあるとしたうえで、「別の重要な理由としては、スウェーデンでは子どもを学校に行かせることが義務ではなかったことが挙げられます。19世紀半ばまで、子どもの多くは学校に通っていなかっため、人々はルーン文字を書き文字として使い続けていました。しかし、子どもたちが学校に通うように変わってきた頃から、次第にアルファベットが使われるようになり、ルーン文字は使われないようになってきました」とその背景を説明しています。
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in メモ, Posted by darkhorse_log
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