世界を破滅させるほどの威力を持つ核ミサイルはどのような手順で発射されるのか?
By Steve Jurvetson
ドラマや映画、アニメなどでボタンをポチッと押してミサイルを発射するシーンが登場しますが、実際にどのような手順を踏んでミサイルが発射されるのかは意外と知られていないもので、ぜひとも知っておきたいところです。アメリカのアリゾナ州にあるタイタンミサイル博物館では核ミサイルのミサイルサイロが公開されており、実際に施設を見学することが可能で、発射手順の詳細やミサイル発射の模擬試験の様子を収めたムービーが公開されています。
How to Launch a Nuclear Missile - YouTube
タイタンミサイル博物館には地表から約10mの地下にミサイルサイロがあり、「発射ダクト」と「管制室」という2つの施設が配備されています。
重たい扉を開くと……
登場するのが発射ダクトです。
発射ダクトにあるのは「タイタンII」というミサイルシステムです。タイタンIIはアメリカで導入されたミサイルシステムの中で最も強力なもので、冷戦時代には核出力が9メガトンの水素爆弾が搭載されていたとのこと。
タイタンミサイル博物館の職員であるチャック・ペンソン氏によると、タイタンIIを実装した背景には、敵国がアメリカに攻撃を仕掛けるとどのような惨事が待ち受けているのかを知らしめ、攻撃を仕掛ける前の段階でミサイルを発射させるような行動を思いとどめさせることだったそうです。
タイタンIIは稼働を完全に停止していますが、発射システムは保全されています。
発射ダクトの後は、いよいよ管制室へ。
こちらが管制室で、発射手順を説明してから実際に発射までの様子を実演してくれます。
発射の必要がある際には、まずスピーカーから「ピーピーピー」という音が発せられます。
音に続いてスピーカーから無線でパスコードを含んだメッセージを受信。
2人の職員が、受信したメッセージを一字一句逃さずに書き取り、お互いに見比べて書き取ったメッセージが正しいか確認します。
次は、2人の責任者が自分しか知らないパスコードをそれぞれ入力して引き出しを開けます。
引き出しの中に入っているのは7枚のカード。
カードにはパスコードが書かれており、このパスコードと先に無線で受信したメッセージに含まれていたコードが一致すれば、ミサイルの発射指令が合法的に出されたということになります。
指令を確認したら、すぐに発射を手順通りに進めます。「職員が2人でカギを差し込んでから回す」というのが発射手順になりますが……
鍵穴は離れた場所にあり、1人では発射することができない仕組みになっているそうです。
2人で同時にカギを差し込み回転させ、その状態を5秒間保持。ただし、一方がカギを差し込んでから2秒以内にもう1つのカギを差し込む必要があります。
最後は、ダイヤル式カギでミサイル解除コードを入力すればミサイル発射の準備が整います。ダイヤル式カギには16個のアルファベットを持つ6つのダイヤルが並んでいて、組み合わせは1700万通りもあり、その中の1つだけがミサイルを発射するための解除コードになるそうです。これは誤ってミサイルの発射操作が行われた場合のための安全装置でもあるとのこと。
ここからは核ミサイル発射の模擬体験。「3、2、1……カギを回せ」で2人同時にカギを回転させ……
そのままの状態で5秒間待機。実際には、カギを差し込んでからダイヤル式カギに解除コードを入力する必要があります。
するとと「LAUNCH ENABLE」という緑のランプが点灯し、ミサイルの発射準備は完了。ペンソン氏によると緑のランプが点灯した時点で「第三次世界大戦の始まり」を意味していたそうです。
「BATTERIES ACTIVATED」「APS」と次々とランプが点灯。ここまでくると発射を解除する方法はありません。
同時に発射ダクトのドアが開きます。
ものすごい量の煙と音を発しながらミサイルが発射されます。
ミサイルが発射されると「LIFT-OFF」というランプが点灯。
「ここまできたら地上の全生物の死滅を意味するということですか?」と聞かれたペンソン氏は「あなたが知っている通りです」と神妙な面持ちで答えていました。
・関連記事
地球で最も安全な10のスポット - GIGAZINE
お天気カメラが核爆発の瞬間を捉えて生放送 - GIGAZINE
大陸間弾道ミサイルを運搬する軍用列車 - GIGAZINE
核戦争後に地球を支配するのはゴキブリなのか? - GIGAZINE
緊急警報システムに遠隔で全機能をハック可能な脆弱性が発覚 - GIGAZINE
動物を兵器として扱う7つのとんでもない試み - GIGAZINE
・関連コンテンツ