美術館の学芸員やアートディーラーになって芸術作品の価値をさまざまな戦略で上げていくボードゲーム「The Gallerist」
過去にクラウドファンディングプラットフォームのKickstarterで30以上のゲームを製作したEagle-Gryphonの新作が、アートディーラーや学芸員になってアーティストを発掘し、権力者とのつながりを作って評判をあげ、作品を売買してお金をかせぐというボードゲーム「The Gallerist」です。
The Gallerist, a game by Vital Lacerda. The Art of Strategy! by Gryphon and Eagle Games — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/167427101/the-gallerist-a-game-by-vital-lacerda-the-art-of-s
ゲームはこんな感じ。真ん中に大きなメインボードがあり、青・オレンジ・黄色・紫の4人のプレイヤーがギャラリーのオーナーとしてアーティストを発掘・育成し、評判を上げ、お金を稼いでいきます。
メインボードの周りに置いているのが、各プレイヤーのギャラリーボード。
こんな感じで、作品を展示したり、ギャラリーのチケットを置いたりします。
The Galleristとは一体どういうゲームなのか?ということは以下のムービーから確認可能。
The Gallerist - Rules Overview - YouTube
The Galleristは4人のプレイヤーがギャラリーを運営して、お金や評判を集めるゲーム。プレイヤーはアーティストを発掘、作品を販売し、メディアや影響力のある人々に売り込んでいくことでほとんど価値のない作品をどんどん高価に導いていきます。ゲームの最後に最もお金や価値のある作品を持っていたプレイヤーが優勝というわけです。
ゲームボードには4つの「ロケーション」が用意されており、プレイヤーは自分のターンになると、どこか1つの場所にギャラリーを構えます。
ギャラリーで実行できるアクションは「アーティストを見つける」「作品を購入する」の2つ。
アーティストの作品は「写真」「絵画」「彫刻」「デジタルアート」の4つのカテゴリーがあり、それぞれの分野に赤・青に分かれて各2人ずつアーティストがいます。
赤いカードをひっくり返すと……
全部で18のマス目が現れました。スタートの段階では最初のマスにコマを置きますが、ゲームが進行し、アーティストの価値や作品の価格が上がっていくとマスが進んでいくわけです。
アーティストカードの隣には署名カードがあります。
これを自分のギャラリーボードにある「コミッションスペース」という場所に置くと、ゲーム後半になってからカードを置いた時の価格でアーティストの作品を購入することができます。要するに、有望な作家に対する青田買い的なイメージ。
ギャラリーで「作品を購入する」というアクションを選ぶと、文字通りアーティストの作品を購入することが可能。
この時、作品の値段はコマがアーティストカードのマス目のどこまで進んでいるかに左右されますが……
例えば5のマスの所でコミッションスペースに署名カードを置いていれば、10のマスにいる時に作品を購入しても5のマスの価格で買えるわけです。このあたりはいち早くアーティストを発掘したということでその分だけ有利になるというわけ。
アーティストの作品が購入されるごとに、アーティストの評判は大きくアップします。これは現実のアート界隈と同じで、誰か大きな影響力を持つ人物がある作品のコレクションを始めると、その購買行動によって価値が出始めるという流れ。価値があるから買うのではなく、買うことによって価値が創造されるという仕組み。作品カードの左下に書いてあるのが作品の価値で、星は「評判」、人は「影響力」を示し、画像に写っている作品を販売した場合、アーティストの評判が2コマ上がり、影響力を2つゲットできるわけです。この影響力はアーティストのプロモーションを行う時などに使用します。
購入した作品はギャラリーに配置することでより多くの人の目に触れ、さらに価値が上がります。このあたりも現実のアート業界と同じ。
そして、作品を購入したアーティストの署名トークンを、作品の現在の価値を示す場所の横に置きます。
The Galleristには「販売オフィス」というものがあり、契約カードを入手したり作品を販売することが可能。
この「契約カード」は作品を販売する際に重要で、「デジタルアート」「絵画」「彫刻」「写真」の4種類があるのですが、プレイヤーは展示している作品のうち、持っている契約カードと合致する作品しか販売できません。
つまり、写真を販売しようとする場合は写真の契約カードを持っていないといけないわけです。
なお、価格は販売時点での署名トークンのある位置に左右されます。
ギャラリーにいたお客さんは、作品を購入すると……
自分の家へと帰っていきます。
さらに、ゲームにおいて大事なのがアーティストの評判を上げる「メディアセンター」。これは自分のアシスタントである水色の人型コマを使用します。
メディアセンターではアーティストを売り込む事が可能。メディアセンターで「影響力」を使って「いいね!」の札をゲットしてプロモーションレベルが上がれば、アーティストの評判が上がり、作品の値段も上昇するわけです。
さらに、上下2つのパートに別れた「国際マーケット」というものがあり、ギャラリーのオーナーはアシスタントを送り込めます。
上部パートではアシスタントを送り込み「影響力」を使うことで、ボーナスがもらえる「評価タイル」を得ることが可能。
下部パートではお金を払ってオークションに参加することが可能です。オークションはゲームの終了時にアシスタントが配置された場所に応じたイベントが起こるので、最後の最後にどれだけお金を手に入れられるかがかかってきます。
また、プレイヤーはお客さんに自分のギャラリーのチケットを配り、お客さんを呼び込むことで、アーティストの評判を上げたり、お金を稼げたりします。
ギャラリーのお客さんは全部で3種類。ブラウンがお金をプレイヤーに与える「投資者」、ピンクがアーティストの評判を上げる「VIP」、お金と評判を少しずつプレイヤーに与えることができる白いコマが「コレクター」です。
なお、「影響力」を使えばギャラリーのオーナーは別のギャラリーにポーンを置き、もともといたオーナーを追い出す「キックアウト」を行うことが可能。キックアウトされたオーナーは行動が制限されます。
ゲームの最後に、オークションに出された人気作品が競り落とされるわけですが、これは最もお金を払った額が多かった人から好きな作品を選べるようになっています。
例えば以下の画像では水色のアシスタントが12ポイント支払っているので、一番最初に好きな作品を選ぶことが可能。
さらに、学芸員カードやアートディーラーカードなるものもあり、カードにある組み合わせの作品をコレクションできれば、その分報酬をもらうこともできます。
ゲームボード本体は800mm×500mmというやや大きめのサイズ。394mm×318mm×78mmの丈夫な箱にしまえるようになっており、箱に入れた状態の総重量は3.6kgです。
カードやコマだけでなく、オークションで作品を展示させるためのイーゼルもついています。
各アーティストや作品も細かく設定されています。例えばベルギー出身のRafaël Theunisは青を基調とした写真シリーズを発表するデジタル・アーティスト。
アメリカの写真家Tim Barnesはサウスフォード・フォールズ州立公園にかかっている橋のHDR写真を撮影。
香港在住の画家Francis G Alexandero Wは絵画のキャンバスに「人々は常に闇と光の両方に存在し、美しい詩を書くことを自ら抑制している」と書いているとのこと。
オーストラリアの彫刻家Ian O'Tooleは「ネガティブスペースを埋めるもの」という説明書きが書かれた謎の物体を作成しています。
The Galleristを製作するEagle-Gryphonは過去8年で160ものゲームをリリースしており、そのうち30種類のゲームをKickstarterで出資を集めて作成しています。以下の写真に写っているのがThe GalleristのデザイナーであるVital Lacerdaさん。Lacerdaさんは現在The Gallerist製作のための費用をKickstarterで募っており、目標額3万ドル(約369万円)のところ既に6万4000ドル(約788万円)以上集めることに成功しています。
The Galleristは59ドル(約7200円)の出資でゲット可能で、日本への発送が行われる場合は送料として別途29ドル(約3600円)が必要。発送は2015年10月が予定されています。
なお、締め切りは2015年7月6日午前11時です。
The Gallerist, a game by Vital Lacerda. The Art of Strategy! by Gryphon and Eagle Games — Kickstarter
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