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学校のスマホ禁止が学力向上に影響を与えることが判明、週1時間の学習時間にも匹敵

By Francis Storr

スマートフォンや携帯電話については「学習の妨げになる」という考え方と「より効率のよい学習が可能になる」という正反対の考え方が存在していますが、イギリスの学校で実施された研究では、携帯電話の使用を禁止することで生徒の成績が向上する効果があったことが明らかにされました。

How smart is it to allow students to use mobile phones at school?
http://theconversation.com/how-smart-is-it-to-allow-students-to-use-mobile-phones-at-school-40621

(PDFファイル)Ill Communication: Technology, Distraction & Student Performance


この調査を実施したのは、共に経済学者のリチャード・マーフィー准教授とルイス=フィリップ・ベランド准教授。両者は特に若者の間でスマートフォンが浸透しているというイギリスのバーミンガム・ロンドン・レスター・マンチェスターの4都市に目を向けました。イギリスでは、2001年以降における学生の携帯電話保有率は60%あまりからおよそ90%にまで上昇していることが明らかになっています。ちなみに、アメリカでの保有率は73%とのこと。


准教授は、2001年以降に4つの都市の学校で実施された携帯電話に対する施策と、学力テストの結果の推移を調査しました。その結果、校内での携帯電話の使用を禁止した学校では、テストの平均スコアが6.4%上昇したことが明らかになっています。


特に、元の成績が芳しくなかった生徒においては、14%もスコアが上昇していたことも明らかにされています。


この結果を受け、両准教授は「学校で生徒の携帯電話使用を禁止することは、週あたり1時間の学習時間の増加、もしくは年間授業日数を5日増やすことに相当する効果があります」と語っています。さらに、学力が低かった生徒ほど大きな効果が出ている点についても触れ、「この学力の向上が、特に最も成績が低かった生徒ほど顕著に表れる点は重要です。学校の方針を変更して携帯電話の使用を許可することで、学習の格差を拡大させる可能性があります」とも指摘し、学力の格差につながる危険性を含んだ携帯電話使用の解禁に警鐘を鳴らしています。

一方で、最初から高い成績を示していた生徒については、携帯電話の解禁による明確な効果は確認できなかったと言う点は興味深いところ。この点を踏まえて報告書では、「成績がふるわない生徒ほど携帯電話に気をとられることで影響を受けやすくなるとみられる」と指摘しています。

By Dean Shareski

両准教授は「これらの結果は、テクノロジーを適切に使用することで、携帯電話などを学習にうまく活用できる可能性に疑いを投げかけるものではない」としながらも、「学校における携帯電話の存在を無視すべきではない」と提言しています。

2015年3月にニューヨーク市では「学習における不平等をなくすこと」を目的に、市内の学校における携帯電話を禁止していた法律を撤廃し、各学校に判断をゆだねる決定を下したところです。両准教授はこれに危機感を示しており、悪い結果を招くこと、そしてその影響は特に低所得者層や低学力の生徒に顕著に表れる危険性を指摘しています。

Mayor de Blasio and Chancellor Fariña to Lift School Cell Phone Ban | City of New York

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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