サイエンス

恐竜を絶滅させたのは隕石でも気候変動でもなくダークマター(暗黒物質)?

By NASA's Marshall Space Fligh

地球では過去に5度、生物が同時期に大量絶滅しているといわれています。その内の1つが現在から約6600万年前の白亜紀末に起こったとされる大量絶滅で、これにより地球上から恐竜がいなくなったと考えられているわけです。当時の地球を我が物顔でかっ歩していた恐竜たちをあっという間に絶滅にまで追いやったその原因については、隕石が原因とする説や地球規模の火山活動が原因とする説など多々あるのですが、アメリカ・ニューヨーク大学のマイケル・ランピーノ博士は「ダークマター(暗黒物質)」が原因であると考えています。

Mass extinctions: Did dark matter do in the dinosaurs? | The Economist
http://www.economist.com/news/science-and-technology/21644144-one-scientific-mystery-may-have-caused-another-did-dark-matter-do


Does dark matter cause mass extinctions and geologic upheavals?
https://www.ras.org.uk/news-and-press/2591-does-dark-matter-cause-mass-extinctions-and-geologic-upheavals

◆ダークマター(暗黒物質)
暗黒物質は、人間の目はおろか光学機器ですらも観測不可能な物質です。電磁相互作用をせず、色電荷も持たないのが暗黒物質で、人間の手による観測にはこれまで一度も成功していません。しかし、現在観測できている物質や物理法則だけでは説明がつかない現象が宇宙には数多く存在し、そういった事象を説明するのに必要なものが、暗黒物質というわけです。なお、暗黒物質は宇宙に存在する物質の85%を占めると考えられています。

◆マイケル・ランピーノ博士
ニューヨーク大学のマイケル・ランピーノ博士は、数年前に「オールト雲」から彗星が飛んできて地球と衝突したのかもしれない、という仮説を立てました。このオールト雲というのは、太陽から約5万天文単位付近に存在する仮想天体群のことで、太陽系を球殻状に囲んでおり、ここには多数の彗星が存在すると考えられています。ランピーノ博士はThe Astrophysical Journal Lettersにて、オールト雲から隕石が飛んできたという仮説を発表していました。

しかし、Rampino博士が2015年2月にMNRASにて公開した最新の論文では、大量絶滅の原因は「隕石の衝突」ではなく「暗黒物質」によるものだと推測しています。そして、これは太古の大規模な火山活動の原因にもなっている、との見解を示しています。

By Kevin Dooley

◆暗黒物質と銀河円盤
暗黒物質は原子で構成された物質とは異なり、原子と重力により相互に作用し合うと考えられています。暗黒物質同士が引き合う力(引力)の影響で天文学者は至るところで暗黒物質が存在することを確認できるわけですが、実際に観測することはいまだにできていません。

銀河の写真などを見ると、中心から渦を巻くように円盤上に光のようなものが広がっていたりします。この円盤を「銀河円盤」と呼ぶのですが、この銀河円盤は暗黒物質の重力が存在しなければ成り立たないものです。ランピーノ博士は最新の論文にて、地球が存在する太陽系は3000万年周期で銀河円盤を通過しており、通過する度に円盤部分の重力と地球の重力が作用し合い、天体の軌道を乱しているとのことで、これが「恐竜絶滅を引き起こす原因となった隕石」を地球に招く原因となったのかもしれません。

By Adam Evans

◆暗黒物質と地球
「暗黒物質が恐竜絶滅の原因である」と主張しているのはランピーノ博士だけではありませんが、その中でもランピーノ博士は「暗黒物質と地球の間にある相互引力が、地球のコア部分にダークマターを蓄積させている」と主張しています。さらに、ランピーノ博士は暗黒物質を構成する粒子は、その「反粒子」により構成されている、とも示唆しています。

地球のコア部分に暗黒物質が集まれば、粒子と反粒子が対消滅して大きなエネルギーを生み出します。暗黒物質が多く集まれば集まるほど、粒子と反粒子が対消滅を起こす割合も高くなります。対消滅が起きれば、大きなエネルギーが生まれ、このエネルギーは大規模な火山活動を引き起こすのに十分なエネルギーである、とランピーノ博士は推測しています。

つまり、「地球のコア部分に長年かけて蓄積された暗黒物質が対消滅を起こし、それにより大規模な火山活動が起きて恐竜は絶滅した」という可能性と「地球が銀河円盤を通り抜ける際に暗黒物質と作用して天体の軌道が乱れ、隕石が落下した」という両方の可能性をランピーノ博士は示唆しているようです。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logu_ii

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