Android 5.0 Lollipopへのアップデートでパフォーマンスが向上するのか徹底検証
Android 5.0(Lollipop)は、Nexusシリーズから順次、アップデートできるようになっており、ペースは遅いものの対応機種が少しずつ増えてきました。Googleが大改良を施した新OS・Android 5.0によって処理速度やバッテリーの持ちが向上しているのかどうかを、TechSpotが検証しています。
Android 5.0 Lollipop Tested: Performance and Battery Life - TechSpot
http://www.techspot.com/article/961-android-lollipop-performance-battery-life/
Android 4.4(KitKat)で開発者テストとして試験導入されていたランタイム(仮想マシン)の「ART(Android Runtime)」を、Android 5.0はデフォルトで採用。従来のDalvikに比べてアプリケーションの実行速度の高速化が期待されていました。また、「Project Volta」として発表されていた新しいバッテリマネジメント用のAPI「Job Scheduler」の導入によってバッテリーの持ちが向上すると見られていました。そこでTechSpotが検証したのは、「本当に当初の発表通りの性能アップが実現されているのか」ということ。
Android OSの旧バージョンからAndoroid 5.0(Lollipop)へのアップデートは機種ごとに順次、進められていますが、そのペースがiOSやWindows Phoneに比べると非常に遅いのはAndroid OSでは恒例のこと。TechSpotは今回の検証実験では、すでにAndroid 5.0へのアップデートが始まっている機種のうちGoogle製のNexusシリーズを除外した、MotoloraのMoto X(2014)、Moto G(2014)、SamsungのGalaxy S5、LGのG3の4機種を、OTAや公式ROMベースでアップデートした上で初期化を行ってからテストしています。
◆CPUパフォーマンス
Googleによると「新ランタイムARTへの完全移行によって、Android 5.0ではベンチマークソフトや32bit用の環境でもパフォーマンスアップがあるはず」とのこと。そこで、4機種を使って各種ベンチマークテストした結果はこんな感じ。なお、データはKraken 1.1アプリを除いて数値が高いほど性能が高いことを示しています。
・Peacekeeper
PeacekeeperではMoto XとG3でスコアが減少しています。
・Octane 2.0
Moto Xはわずかに減少していますが誤差の範囲。
・Kraken 1.1
数値が小さいほど高性能なのには注意。
・Vellamo 3.0
G3のスコアが大きく低下しているのが目立ちます。
・Basemark OS II
G3のAndroid 4.4のスコアが著しく低いのはアプリの対応が済んでいないためで、Android 5.0は正式対応済みの数値とのこと。
・PCMark for Android
「一般的な使い方」を最も忠実に再現するテスト環境を採用しているPCMark for Androidでは、すべての機種のパフォーマンスが向上しています。
TechSpotによると、Android 5.0へのアップデートによって、アプリの初回起動時間こそAndroid 4.4より時間がかかるものの、総じてサクサクと従来より速く動作しているのが体感できるとのこと。そして、通常の利用方法を想定したベンチマークアプリであるPCMark for Androidの結果はこの印象通りの結果とのことで、Android 5.0へのアップデートによって、同じハードウェア構成でもパフォーマンス向上を実現するというGoogleの見解通りであると述べています。
なお、一部のテストでG3の数値が低下していることについては、発熱時にCPUクロックを低下させるプログラムが原因の可能性があり、この結果自体は妥当性がありそうだとのこと。
◆バッテリー駆動時間
続いてJob Schedulerの威力が発揮されているのかを確かめるバッテリー駆動時間のテストはこんな感じ。スコアはすべて大きい方が性能が高いことを示しています。
・ビデオ再生
720pのムービーを輝度75%、Wi-FiをOFFにした機内モードで視聴した場合の結果がこれ。
・Wi-Fiでのネットブラウジング
輝度50%でTechSpotの記事をWi-Fi接続でブラウジングした結果。
・LTEでのネットブラウジング
同じくLTE回線でのネットブラウジング。Wi-Fiの場合とほとんど同じ傾向であることが分かります。
・PCMarkベンチマーク
一般的な利用方法を再現するPCMarkベンチマーク実行時のバッテリー駆動時間は、すべての機種でAndroid 5.0のパフォーマンスが向上しています。
TechSpotによると、ムービー視聴やネットブラウジングという用途では、端末にかかる負荷のうちCPU処理の占める割合が小さいため、新API・Job Schedulerの威力が発揮されない結果になったのは予想通りとのこと。しかし、PCMarkのベンチテストで平均20%のパフォーマンスアップが見られたことから、一般的な利用方法でパフォーマンス改善が期待でき、Android 5.0ではバッテリーの持ちが改善されていそうです。
なお、Moto GやG3でのパフォーマンス低下についてはモデムソフトウェア関連の不具合が予想されるので、公式なOTAでのアップデートによって改善される可能性があるとTechSpotは指摘しています。
◆GPUパフォーマンス
なお、グラフィック性能に関するベンチマーク結果も公開されています。
・Basemark X(High Quality)
・Basemark X(Medium Quality)
・3DMark(Ice Storm Unlimited)
・GFXBench(T-Rex HD Benchmark Onscreen)
・GFXBench(Manhattan Benchmark Offscreen)
TechSpotによるとARTが3Dレンダリングに未対応の現時点でベンチマークパフォーマンスが向上していないのは想定内とのこと。なお、Moto XやG3でのパフォーマンス低下については誤差の範囲内だとしています。
・関連記事
「Android 5.0 Lollipop」の新機能まとめ、何がすごくなるのか? - GIGAZINE
新OS「Android 5.0 Lollipop」には一体どのような新機能があるのかまとめ - GIGAZINE
Nexus 6で「Android 5.0 Lollipop」の新機能などをいろいろ試したレポート - GIGAZINE
「Android 5.0 Lollipop」の新機能や変更点をNexus 9でいろいろ試してみたレポート - GIGAZINE
新OS「Android 5.0 Lollipop」はどこが新しいのか、新旧UIデザインを徹底比較するとこんな感じ - GIGAZINE
Nexus 5にファクトリーイメージを焼いてAndroid 5.0 Lollipopをインストールする手順 - GIGAZINE
・関連コンテンツ