新年を西暦よりも2ヶ月早くネパールで迎えてみた
「元日」は1月1日に限らないことをご存知ですか?
こんにちは!世界新聞特命記者の植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は現在、14ヶ国目・キルギスにいます。(赤線は空路、青線は陸路で移動)
◆新年をネパールで迎えました
2015年を迎えました。日本で暮らしていると「元日」は西暦の1月1日ですが、海外には今でも民族や宗教によって独自の暦で新年を祝う国もあります。実は僕もネパールの首都カトマンズで、皆さんより2ヶ月早くお正月を迎えていました。
ネパールは多民族・多言語国家。Wikipediaによれば、宗教の構成もヒンドゥー教徒が80.6%、仏教徒が10.7%、イスラム教徒が4.2%、キラント教徒が3.6%、その他が0.9%で混在しているとのこと。
◆ネパールの正月とは
多民族国家のネパールでは民族ごとに暦があり、正月があるそうです。その中で、今回僕が体験したのは、毎年10月後半から11月前半に行われるティハール(インドではディワーリー)と呼ばれるお祭りでした。この祭りは5日間続き、4日目がヒンドゥー教の元日だそうです。
◆どんな事をするの?
5日間続く祭りでどんな事をするのかは、「風の旅行社」というサイトに詳細が載っていました。
ネパールの祭 - インドラ祭・ダサイン・ティハール - | 風の旅行社
http://www.kaze-travel.co.jp/nepal_kiji019.html
その情報を参考にしつつ、僕が目の当りにしたネパールの正月がどんなものだったのかを紹介します。
・1日目(10月21日):カグ・ティハール
この日は「カラスの日」と呼ばれ、家の上にやって来たカラスに餌をやるそうです。僕はこの日に入国しましたが、祭りの事を一切知らなかった為、カラスに餌をやる場面には出会えませんでした。
・2日目(10月22日):ククル・ティハール
「犬の日」と呼ばれ、自分の家の犬や、近所の犬の首に花輪をかけ、額にティカと呼ばれる赤い粉を塗って礼拝するそうです。僕がネパールで初めて見た犬にも赤い粉が塗られ、花輪がかけられていました。ヒンドゥー教徒が80%のネパールですから、この時はまだ「犬は普段からこんな感じなんだろう」と思っていました。
・3日目(10月23日):ラクシュミー・プジャ
翌日、街を歩いていると、前日までは見かけなかった不思議な模様が店や家の軒先に描かれていました。
模様のデザインはそれぞれ異なりますが、カラフルな粉を使っていて……
線が建物の中へ続いています。
スーパーでも同じものを見かけたので、奥に何があるか確かめてみると……
祠が作られていました。
この時、まだネパールが正月を迎えようとしている事を知りませんでしたが、薄々、何か様子がおかしいと感づいていました。日に日に飾りつけは派手になっていき、夜になると内戦でも始まったんじゃないかと思うほど爆竹が鳴り響き、まるで何かのお祭りみたいです。
そして、街の広場を通りがかった時に、それがただの祭りでない事を知りました。
ハッピー……
ニューイヤー……新年!?隣にいたネパール人を質問攻めしたところ、「明日がネパール歴の元日だ」と教えてくれました。という事はこの日は大晦日!危うく祭りに乗り遅れるところでした。
この日は「吉祥天の日」と呼ばれ、お金の神様ラクシュミー(吉祥天)に礼拝する為に、家や店を掃除して、軒先をカラフルな花輪や粉で飾り付けるそうです。
・4日目(10月24日):ゴバルタン・プジャ、元日
そしてネパールの元日。この日は牛を崇める日だそうです。この日は、街の子ども達が楽器を鳴らしながら歌って家や店を回り、お布施を集めていました。何だかちょっとハロウィンみたいですね。
・5日目(10月25日):バイティカ
お祭り最後の日は、一族の男性の長寿と健康を祈って彼らの姉妹が儀式を行う「兄弟や姉妹の日」と呼ばれるそうです。泊まっていた宿の屋上にも経営者の親族が続々と集まって来ました。
女性が額にカラフルな粉を塗っています。
このしるしはティカと呼ばれるそうです。でも……姉妹が居ない場合はどうするのでしょうか。
前述の風の旅行社によると、姉妹がいない男性はカトマンズ中心部にあるラニ・ポカリへ行き、泉に写る自分を見て、自分で自分にお祈りをするそうです。何だかちょっと切ないですね……早速、姉妹の居ない男性が群がっているであろうラニ・ポカリに行ってみました。
◆自分も祝ってみた
こちらがラニ・ポカリです。
ラニ・ポカリには大行列ができていました。しかし、泉を見つめながら一人で熱心にお祈りしている男性は見かけませんでした。
どうやら現在は、姉や妹の代わりに、男性の額にティカを塗る役割の女性がいるようです。泉に群がってお祈りをする姿が見られなくてちょっと残念。
僕も姉や妹が居ないので、ネパール式の新年祝いにティカを体験してみました。
使うのは街中でも売られていたカラフルな粉です。額に次々に色が足されていきます。
完成するとこんな感じです。今年も(来年のティハールまで?)健康に少しでも長く旅が続けられますように……。
◆新年は民族によってさまざま
他に独自の暦で新年を祝う行事として旧正月やタイの水かけ祭り・ソンクラーンなどがあり、西暦の新年よりも盛大に祝われる事もあります。海外旅行の際は、こうした独自の暦を調べてみるのも面白いのではないでしょうか。タイミングが良ければ、旅先で見た事もない新年のお祝いに遭遇できるかも知れません。
今年も一年、皆さんにとって素敵な一年になりますように、そして僕の記事を読んで旅に興味を持って頂けるような一年になれば幸いです。
文・取材:植竹智裕 https://twitter.com/hiro_uetaken
監修:世界新聞 sekaishinbun.net
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