取材

中部国際空港で「ロストバゲージ」に遭遇、荷物が戻ってくるまでの5日間にやったことまとめ



空港に到着後、航空会社に預けた荷物がターンテーブルから出て来ないことを「ロストバゲージ」と言います。想像もしたくない「悪夢」ですが、まさかの事態のために、参考にしていただければと。

こんにちは!世界新聞特命記者の植竹智裕(うえたけともひろ)です。世界一周中の僕は現在、12ヶ国目ネパールにいます。(赤線は空路、青線は陸路で移動)


◆日本に帰って来て一安心……のはずが
話は10月9日まで遡ります。貧乏バックパッカーの僕は8月27日から10月9日までインドに滞在していました。しかし、10月9日にインドビザが切れるのを機に、日本へ一時帰国する道を選びました。旅の最中にiPhoneやクレジットカードなど大事な物を失ってしまい(参考:iPhone5を盗まれたので、ガンジス川で厄払いをしてきた | 世界新聞)、それらのアイテムを揃え直すため、そして旅行保険で保険金を申請するためです。


航空運賃が安いエアアジアで一番安く日本へ帰れるルートを算出して、僕が辿ったルートは以下の通り。

10月9日23:30 コーチン(インド)発、クアラルンプール(マレーシア)行き エアアジアX AK38便
10月10日08:45 クアラルンプール発、中部国際空港(日本)行き エアアジアX D7542便


思えば5ヶ月間、色々な事がありました。楽しい事も、辛い事も……そんな事を考えながら飛行機から一歩出て日本の空気に触れただけで不思議な安堵感に包まれました。入国手続きをしてパスポートに帰国のスタンプを押してもらい……


預けていた荷物が流れて来るバゲージクレームと呼ばれるエリアに進みます。


カートも用意して、荷物を受け取る準備は万端です。全ては順調なはずでした……。しかし、20分経っても荷物が流れて来ません。そして、近くにいた空港警備員の方から衝撃の事実を告げられました。「荷物はこれで全部ですけど……ありませんでしたか?」。

なんと!一番安心できると思っていた日本で荷物が出てこないという衝撃の事態に見舞われてしまったのです。これを旅の専門用語では「ロストバゲージ」と呼びます。ロストバゲージは人生でも初めての経験でしたが、今までにiPhoneやクレジットカードなど色々失ってきた僕は、カートを握り締めたまま「次はそうきたか」と鼻で笑ってしまいました。

ちなみに出てこなかった荷物はこちらです。中身は衣類や生活用品、書籍など総重量19kgでした。


◆ロストバゲージとは
ロストバゲージとは - コトバンク

空港で、航空会社に預けたスーツケースなどの荷物が、到着後ターンテーブル)から出て来なくて、「紛失扱い」となること。◇紛失ではなく、ディレイドバゲージ) (荷物遅延)の場合もあるが、一般にはこれも含めてロストバゲージと呼んでいる。他の便への誤搬入、経由地での降ろし忘れ、他の旅行者との荷物の取り違え、経由地での預け替え手続きのし忘れなど、さまざまな原因で発生する。


◆まずは係員に相談
初めての経験だったので、何を誰に伝えればいいのかわかりませんでしたが、空港警備員の方から、まずは係員に事情を説明するようにと言われました。中部国際空港では女性職員がターンテーブルのそばに立っていました。もしくは大きな空港であれば荷物の未着を申告するカウンターがあるのでそちらへ向かいましょう。係員に伝えたのは以下の通り。

・荷物の特徴
・預けた空港と乗継などのルート
・利用した航空会社と便名


◆未着手荷物報告書を作成
係員が未着手荷物報告書という書類をその場で作成してくれました。


・名前
・住所
・電話番号
・メールアドレス
・パスポート番号
・生年月日
・職業
・同乗者の数
・荷物の中身の詳細
・バッグのブランド、メーカー名
・荷物を預けた時に渡されるシールタイプの半券(クレームタグ)の番号
・旅行保険への加入の有無

などを書き込んでいき、確認後、控えを貰いました。念の為、担当してくれた方の名前も聞いておくと、後日問い合わせる際に便利です。この時担当してくれた方の話では「特徴が似ている荷物は見ていませんね……また荷物を積み忘れたとの報告も今のところ届いていませんが、経路の空港でも捜索依頼をかけて、見つかり次第日本に輸送し、記載の住所にお送りします」との事でした。

この日持ち帰った荷物は機内に持ち込んだ手荷物のみ。カートは必要ありませんでした……。


◆10月11日、問い合わせてみた
帰国翌日の夕方、貰った控えに書いてあった連絡先に問い合わせてみましたが、「まだ荷物は発見には至っていない」との回答でした。果たして僕の荷物は何処の国を彷徨っているのでしょうか……。この頃になってようやく「見つからなかったらどうしよう」という不安がよぎり始めました。

◆10月12日、発見の連絡あり
荷物と生き別れてから3日後、遂に「見つかった」との連絡がありました。どうやら僕の荷物はマレーシアで飛行機に乗り遅れてしまったようです(理由は後述)。詳しい事が決まったらまた連絡してくれるとの事でした。見つかってよかったです……。

◆10月13日、詳しい配送予定の連絡が入る
発見連絡の翌日、配送日時など詳しい情報を電話で教えていただきました。今回は一時帰国なので10日後に再び出国の予定がある旨を告げていたのですが、電話で担当してくれた方は、毎回それを把握していて、「次のご出国には間に合うようにお送りさせて頂きます」ととても丁寧に対応してくれたので全ての不安は無くなりました。

◆10月15日、宅配便で荷物が届く
持ち主から遅れる事5日、遂に荷物が自宅へと届きました。中身は全て揃っていて、もちろん配送に関する代金の支払いは一切無く、ちょうど台風19号が接近していた時期だったからでしょうか、丁寧に雨避けのビニールで包まれている点に日本人の心遣いの温かさを感じました。


◆一体なぜ事件は起こったのか
見つかって一安心ですが、なぜ荷物が遅れてしまったのでしょうか?10月12日の発見連絡の際に担当の方に尋ねてみました。曰く「利用したエアアジアXのコンピュータシステムがダウンしてしまい、全ての手荷物を手作業で仕分けた為に、一部の荷物の積み込みが間に合わなかった」との事。荷物が届かなかった訳ですから、本来は苦情を言ってもいい場面なのかもしれませんが、何百という重い荷物を手作業で仕分けしていたなんて、想像しただけでこちらが青ざめてしまいます。普段、あまり表沙汰にならない陰の努力を垣間見た気がして、電話口での丁寧な対応に恐縮してしまいました。

◆ロストバゲージを防ぐためには?
手元に無い以上、乗客自身がロストバゲージを完全に防ぐ事は不可能です。しかし、もしロストバゲージが発生した場合に、損害を最小限に抑えたり、見つけやすくする工夫は出来るのでは無いのでしょうか。以下、僕が今回しておけばよかったと後悔した反省点をご紹介します。

1:高価な物・思い入れが強い物は極力手荷物として機内に持ち込む
PCや電子機器などの貴重品を預ける人は少ないと思いますが、高価な衣類(ブランド物など)や、土産物を預けてしまう人は多いのでは?それらも極力、手荷物として持ち込むと紛失時の精神的ダメージが少ないです。ただし、航空会社によって液体が不可だったり、サイズ・重量に規定がある場合もあるので確認が必要です。僕の場合、ロストバゲージした荷物に大した物は入っていませんでしたが、海外で買ったお気に入りの衣類だけがただただ心配でした。

2:到着後数日のうちに使う物も極力手荷物として持ち込む
もしも荷物が見つかったとしてもそれが手元に届くまでは時間がかかります。その間に使いそうなものは極力手荷物として持ち込んでおくと、現地で用意し直したり、無くて困るという事態が回避できます。僕はこれを怠った為、中部国際空港がある愛知県から東京の自宅に辿り着くまで、10月の肌寒い日本の夜をTシャツ1枚で耐え抜く事になりました……。

3:バゲージクレームには真っ先に辿り着く
他の乗客が自分の荷物を取り違えて持って行くのを未然に防ぐ戦法です。荷物を受け取るまでは気を抜いてはいけません。


4:名札やキーホルダーなど目印になるような特徴を作っておく
これをするだけで荷物を取り違える可能性が減るだけでなく、捜索依頼を出す時にも便利です。

5:過去のタグは外しておく
預けた荷物に巻き付けられるアルファベット三文字が印字されたタグ。航空会社はこのタグを頼りに荷物をどこに送ればいいのかを判断するようです。実際、僕の荷物も後日、このタグ通りに一度中部国際空港(自宅からは羽田の方が近いのですが……)に運ばれてから国内の運送業者を介して自宅に届けられました。つまり、過去のタグが巻かれたままになっていると、間違えてその空港に送られてしまう可能性もあるという事です。


◆せっかくの旅で悲しい思いをしない為に
一定期間以上荷物が見つからない場合は、航空会社に補償金を請求できるパターンや、旅行保険が適用される場合もあるようですが、お金では解決できない思い出の品々が入っているのが旅行カバンです。また、海外では今回のような丁寧な対応が受けられるとは限りません。せっかくの旅で悲しい思いをしない為にも荷物を預ける際は出来る限りの対策をして、もし荷物が出てこなくても冷静に粘り強く対応する事が荷物と再会する為の一番効果的な方法です。この記事が今後、海外へ渡航されて、不運にも荷物を紛失されてしまった方の参考になれば幸いです。

文・取材:植竹智裕 https://twitter.com/hiro_uetaken

監修:世界新聞 sekaishinbun.net


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in 取材, Posted by logc_nt

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