取材

ネパールで食あたりになって検便したら寄生虫がいた


旅での不安の一つといえば現地での病気です。そして、海外で病院の受診の仕方が分からないのも、不安を煽ります。今回、下痢性疾患を患って現地の病院で受診してきたのでレポートします。

こんにちは!世界新聞特命記者の雑色啓晴です。

世界一周中の僕は今、ネパールの首都カトマンズという街(星印)に居ます(赤線は陸路、青線は空路で移動)。


ここカトマンズは主にヒマラヤトレッキングを目的とした観光客で賑わいます。僕も先日、エベレストトレッキングで5545mまで登ってきました。


カトマンズでは、街中で日本料理が格安で食べられるのも魅力ですが、地元の人が通う大衆食堂ではネパールの伝統料理であるダルバートが約100円程度で食べられます。しかし、今回はこれが災いの元でした……。


翌日から激しい下痢に襲われました。そして、2週間経っても自然治癒が見込めなかったので、心配になり病院に行くことにしました。

◆クレジットカード付帯保険とは?
まず、病院に行くにあたってやることは保険会社への連絡です。安宿の部屋から。我ながら不安な面持ちです。


僕の場合、一般的な海外保険に加入しておらず、すべてクレジットカードの付帯保険で賄っています。

クレジットカードの中には海外保険が無料でついているものが数多くあります。その多くは出国してから最初の3カ月間だけの保障ですが、カード会社によっては、海外で支払いをした時点から3カ月間保障をしてくれるものもあります。


僕が今、保険を使えるカードはベルメゾンメンバーズカード。このカードの引き受け保険会社は三井住友海上です。


担当窓口に連絡しましたが、カトマンズに日本語対応のスタッフがいて、キャッシュレス受診可能な病院はないとのこと。自分で立て替えて、後ほど保険会社に請求することにします。なお、三井住友海上の場合は、旅の途中の海外支店でもクレジット決済の場合に限り、立替金の受け取りが可能とのことでした。

◆いざ、病院へ
紹介してもらったCIWEC HOSPITALという病院にお世話になりました。旅行者や長期滞在者に主にサービスを提供しています。救急・入院サービスや歯科・予防接種なども行っております。何より、所属研究員の1人が下痢性疾患の研究で国際的に知られているようで、僕にとっては心強い味方になりました。

場所は、安宿が多くバックパッカーが集まるタメル地区から歩いて10分ほどで着きます。外観はこんな感じです。


看板はきちんと英語表記がされています。


敷地内はこのようになっています。


受付の看板が見え……


その隣にはこの病院の救急車があります。


そして、中に入ると左手に受付があります。


待合室は15人程度座れるソファーが置いてあり、とても清潔な印象を受けます。


テーブルの上には雑誌や新聞が陳列されてあります。


ほとんどの国では水道水が飲めません。ここは給水機が設置してあり、自由に水を飲むことができます。


まずは受付で病状を説明します。保険会社の情報とは異なり、日本人スタッフも常駐していました。日本人1人と日本語を話せるネパール人2人の合計3人がいるようでした。


医師の受診が必要になると、このカルテを記入します。内容は病院によって異なりますが、ここでは名前・生年月日・国籍・連絡先・旅の日程・過去の訪問国・過去に受けた予防接種・ネパールの滞在予定などを記入しました。


◆診察開始
カルテを提出してしばらくすると、看護師から体調の基礎チェックが行われます。血圧や脈拍、


そして、体温測定が行われました。ちなみに体温計は耳で測るタイプでした。


その後は待ちに待ったビッグイベント、検便です。まずはトイレに案内されます。


中には、検便用のコップがあります。この病院は整備されているのでトイレットペーパーがありましたが、以前、フィリピンのセブで同様の検査を行ったときは設置されていませんでした。念のため持参したほうがいいでしょう。


このコップに用を足します。的を射られるか、なかなか緊張しました(笑)。


そして、名前が書かれた紙と一緒に提出します。ここでスペシャリストが鑑定してくれます。


医師が部屋に案内してくれました。診察室にはPCや……


ベッドなどがあり、日本と何も変わりませんでした。


こちらが今回担当してくれたGerda医師です。とても親切に接してくれて安心して受診できました。


◆驚きの診断結果
簡単な問診と聴診が行われたあと、検査の結果が出ました。なんと……僕の体にはジアルジアという寄生虫がいるようです。びっくりしましたが、先生によるとこの辺の旅行者では一般的な疾患のようです。Wikipediaの「ジアルジア症」の記事によると、

全世界的にはありふれた感染症で、世界中のほとんどの国で有病地を抱えている。特に熱帯・亜熱帯地域に感染者が多く、感染率は1-2割に達する。有病率が20%を超える国もあり、約2億人が感染している。感染源としては生水、生野菜、生ジュースなどが主であり、一見きれいにみえる渓流の水などが危険である。

ということで、要するに食あたりでした。何でも口にしていたので当然の報いでしょう(笑)。

先生から薬を処方していただき、これで一見落着と思いきや……これだけでは終わりませんでした。


聴診していただいた際に、腎臓への血流の音が普通ではないとのことで、超音波検査を受けることになりました。


幸いにも結果に異常は見られなかったのですが、帰国時には専門の医師に診てもらうよう忠告されました。

◆支払い
今回はカードで支払いを立て替えるので、特に難しいことはありません。領収書は必ずもらいましょう。今回の支払い金額は合計で299.88ドル(約3万円)、そのうち下痢性疾患の金額は89.88ドル(約9千円)でした。


◆海外で動物に噛まれた場合
僕は以前、ベトナムで猿に噛まれて狂犬病ワクチンを1か月かけて5回打ちました。詳細は以下の記事をご覧ください。

ベトナムで猿に噛まれた!「狂犬病ワクチン」を求めて600km移動した話 | 世界新聞
http://sekaishinbun.net/2014/04/17/rabies-vietnam/


これまでの計9回(5か国)に及ぶ海外での受診を通じて、病院とは「安心を提供する場所」だと感じました。日本ではどの病院も清潔に保たれ、自分の要望を的確に伝えられます。それが海外では通用しません。ベトナムのとある病院ではベッドのシーツに前の患者の血痕がついていたり、医師でさえ英語が通じず、要求したものではないワクチンを打たれたりと、体の前に頭がおかしくなりそうでした。

従って、僕ら旅人は今回紹介したような手順で情報を選択し、安心を得る努力が必要であると感じました。

文・取材:雑色啓晴 http://zoshiki.com/wp/
監修:世界新聞 sekaishinbun.net


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in 取材, Posted by logc_nt

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