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イラン戦争は石油だけでなくヘリウムやアルミニウムの供給にも悪影響を与えておりiPhoneやAIにも波及


2026年2月末にイスラエルとアメリカが共同でイランへ攻撃を実施して以降、世界のエネルギー市場は混乱に陥っています。影響を受けているのは石油などの燃料資源だけでなく、ヘリウムやアルミニウムなどの半導体や医療機器の重要な材料にも及んでいると、アメリカのCBS Newsが報じました。

It's not just oil — the Iran war is disrupting helium and aluminum supplies. Here's the impact. - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/iran-war-helium-aluminum-shortage-impact/


世界のヘリウム供給量の約3分の1を占めるカタールは、国営企業であるカタールエナジーが所有する2つの液化天然ガス施設に、イランから攻撃を受けました。これにより、カタールエナジーはこれらの施設でのヘリウムの生産を停止しました。

ヘリウムは天然ガス処理の副産物で、カタールの液化天然ガス施設への攻撃は、生産ラインの再建に数年かかる可能性があることを意味するそうです。2026年3月初めに、カタールエナジーはロイター通信に対し、イランからの攻撃でカタールの液化天然ガス輸出能力の17%が失われ、修復には3~5年かかるという見通しを語っています。


これまで、イラン戦争の影響としては原油やガスの供給停止による価格高騰ばかりが注目されており、ヘリウムの供給不足はほとんど見過ごされてきました。これについて、バージニア大学のダーデン・スクール・オブ・ビジネスで経済学の准教授を務めるヴィディヤ・マニ氏は、「我々はガス供給にばかり気を取られ、ヘリウム不足を見落としていました」と語っています。

ヘリウムの生産国はごく少数で、これらの国のいずれかで供給が途絶えると、世界市場が不安定になるとCBS Newsは指摘。アメリカはヘリウムの世界最大の生産国ですが、カタールやアルジェリア、ロシアも主要な生産国です。また、ロシアからのヘリウムの供給はアメリカおよび欧州連合(EU)の制裁により禁止されているため、カタールは非常に重要な供給源となっていました。

ヘリウムは熱伝導率が高く、急速冷却に理想的なため、半導体の製造に不可欠です。半導体メーカーは微細な電子回路が印刷されたシリコン製の円盤であるウェハーを冷却するためにヘリウムを利用しています。


ジョージタウン大学の安全保障・新興技術センターでアナリストとして働くジェイコブ・フェルドゴイス氏によると、ヘリウムは半導体製造工程の「エッチング」で使用されます。なお、エッチングはウェハー上に堆積された材料を削り取り、トランジスタ構造を形成するという工程です。

マニ氏は「ヘリウムは半導体製造に不可欠なもので、そのかなりの部分が湾岸諸国から供給されています。ノートパソコンやiPhone、小型家電製品を動かすチップがなくなったらどうなるかを想像してみてください。回路を備えたあらゆる機器はヘリウムを原料としており、ヘリウムがすぐに手に入らなければ、それらすべてが影響を受けることとなるでしょう」と語りました。

医療業界でも磁気共鳴画像診断装置(MRI)の動力源となる超電導磁石を冷却するためにヘリウムが利用されています。宇宙産業でもロケット燃料タンクのパージにヘリウムが利用されており、SpaceXやBlue Originといった宇宙開発企業がこぞって人工衛星の打ち上げを行っているため、ヘリウムの需要は今後さらに拡大することが予想されています。

マニ氏によると、ヘリウムを使用する製造業者は、通常2カ月以上分のヘリウムを備蓄していないそうです。このヘリウムが足りなくなってくると、「はるかに広範囲に影響が出始めるでしょう」とマニ氏は語りました。

専門家によると、ヘリウム供給業者はすでに半導体や電子機器メーカーを含むアメリカの顧客に対して、供給不足と価格高騰を覚悟するよう伝えているそうです。


ヘリウム探査開発会社であるPulsar Heliumのクリフ・ケイン氏は、「自動車用のチップからiPhoneまで、あらゆるものが確実に影響を受けるでしょう」と語りました。さらに、ケイン氏によると近い将来にヘリウムの供給量を増やす方法がないため、世界的なヘリウム不足が半導体製造を阻害することになるだろうと言及。コンサルティング会社のオックスフォード・エコノミクスも、ヘリウム不足がAIデータセンターの構築を妨げ、AI企業の投資計画を縮小させる可能性を指摘しています。

ケイン氏は「半導体メーカー各社は、2030年の製造目標を達成できないことを既に表明しています。リソースはありますが、世界的な混乱を補うことはできないでしょう」と語りました。

ビジネスアドバイザリー企業のコーンレズニックでリスクアドバイザリー責任者を務めるイベット・コナー氏は、ヘリウムの供給不足に関連したチップ不足が、アメリカのAI企業の成長を鈍化させる可能性があると指摘。コナー氏は「企業の能力ではなく、成長速度を遅らせる可能性があります」と語りました。

また、サプライチェーン専門家によると、イランでの戦争が長期化すれば窒素やアルミニウムの供給不足が起こる可能性もあるそうです。もしそうなれば、アメリカの消費者の食料や包装材の価格上昇を招く可能性もあります。

オックスフォード・エコノミクスによると、世界のアルミニウムの供給量の約9%を湾岸諸国が担っており、すでに供給網に影響が出始めています。実際、アルミニウムは2026年3月の第5週に4年ぶりの高値をつけました。

マニ氏によると、アルミニウム不足は短期的には包装コストに直接的な影響を及ぼし、自動車業界や電子機器業界にも影響を及ぼすことが危惧されているそうです。


ロイターが韓国政府の関係者から入手した情報によると、Samsung ElectronicsやSK Hynixといった世界有数の半導体メーカーを擁する韓国は、少なくとも2026年6月まで分のヘリウムを十分に確保している模様。韓国は十分な量のヘリウムを確保するためにプレミアム価格を支払っており、主にアメリカから輸入しているそうです。

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in メモ, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article The war in Iran is negatively impacting ….