取材

「空のF1」と呼ばれる「Red Bull Air Race」最終戦が開幕、室屋義秀選手に話を聞いてきました


「空中のF1」と呼ばれる「Red Bull Air Race(エアレース)」が2011年から3年間の休止を経てより安全面をブラッシュアップして2014年に復活しました。いよいよ2014年シリーズチャンピオンを決定する最終戦Red Bull Air Race 2014 Spielbergが、レッドブルのお膝元・オーストリアで開幕、ド迫力の空の闘いを現地から速攻でレポートします。

Red Bull Air Race
http://www.redbullairrace.com/ja_US

「エアレースとは何か?」は以下のムービーを見れば一発で理解できます。

Soaring over Abu Dhabi - Red Bull Air Race 2014 - YouTube


ドイツ・フランクフルト国際を経由してオーストリア・ザルツブルクに到着。「オーストリアは北海道に気候が似ている」と聞いていましたが、夕方の温度は約5度とかなり肌寒く感じます。


最終戦Red Bull Air Race 2014 Spielbergは、ザルツブルクから南東へ約150キロメートルのシュピールベルクにあるレッドブル・リンク(旧A1リンク)で開催されます。


ザルツブルク空港付近から高速バスで移動開始。


ザルツブルクを離れて10分で巨大な雪山が登場。


途中にはお城もあり。


山を登っていくとしだいに雪景色に。


完全に雪国です。


しかし、山間部を抜けると広大な牧草が生い茂る牧歌的な風景が続きます。


そこら中で放牧されている牛たち。フェンスもない高速道路脇でむしゃむしゃ牧草を食んでいました。


バスで約2時間ほど走るとかなり舗装の整った道路に出ました。相変わらず道路脇には牛や馬が放し飼い。


ラウンドアバウトで右折。


約2時間半走行後にレッドブル・リンクに到着。


天候は晴れ。気温は6度ですがそれほど寒くなく、途中の雪景色は何だったのかと思うほど。


メインスタンドに到着。


レッドブルおなじみの宣伝用MINI。


SKYLOUNGEに入ってみます。


入り口にはフォーミュラ・ルノーのマシンが展示されていました。


しかし、すでに受付を始めとして完全にエアレースモード。


エアレースはこんな感じのプロペラ機で行われます。


最終戦を前にランキングトップのナイジェル・ラム。初のチャンピオンがかかっています。


こちらはランキング2位で逆転チャンピオンを狙うハンネス・アルヒ。2008年シーズンのチャンピオン。


SKYROUNGEではそこかしこでレッドブルが無料配布されていました。


スカイラウンジから小高い丘を登ってハンガー(ピット)に向かいます。


レースコースの下をくぐるトンネルにはF1王者4度のセバスチャン・ベッテルのペイント。


コースレイアウトのポスターを貼って最終調整。いよいよ明日は予選です。


コースを横断する「橋」を上ると……


ハンガーが見えてきました。


白い建物はメディアセンター。


ここでもレッドブルは飲み放題。


アルヒのイラストが描かれたエアレース仕様。


ハンガーでは記念撮影が始まろうとしていました。


我らが室屋義秀選手を発見。


選手たちはみな笑顔ですが、いよいよレースが開幕するのだという緊張感が伝わってきました。


ハンガーでは機体の最終セッティングに余念がありません。


室屋選手のピットはブラックカラー。


エアレースは機体がジブコ社製のEDGE 540(エッジ 540)など3種類。エンジンはLycoming社製、プロペラはHartzell社製で全チーム共通のワンメイクレース。


全長6.27メートル×全幅7.42メートル×全高2.87メートル。乾燥重量531kg、曲技飛行最大重量703kg。


遠くからハンガーを眺めていると、室屋選手が来てくれました。フェンス越しに握手攻め。


気さくな室屋選手。


ピットに案内してくれるとのこと。


ここが室屋選手のピット。


「義」の文字。


機体はすでに奥に移動済みでしたが外装パーツが置かれていました。


日本中のファンからの熱いメッセージ入りの横断幕。


明日の予選に向けて準備に忙しい中、インタビューに応じてくれました。


Q:
今日行われた練習飛行は7位とのことですが。

室屋選手:
そうですね。いろんなデータをとっているのでそう単純ではないのですが、まずまずのタイムだと思います。

Q:
コースは直線的?トリッキー?

室屋選手:
ミディアムですね。そんなにタイトではないです。森を越えてきてのスタートなんですけど、最初のゲートが全然見えないんですよ。本当にゲートあるのかなって感じで(笑)森を抜けたら上り。スピードが200ノット(370キロメートル)制限があるところ、ターンしながら入るのでスピードの誤差が出るのがトリッキーで難しいですね。スタートスピードが表示されるので、そこを合わせていくのが難しいです。スピードが速いとGの制限(注:10Gまで)を超えてくるので、そのへんのバランスをとるのがキーとなってきそうですね。

Q:
テスト飛行は何回ですか?

室屋選手:
全部で3回ですね。今日2回飛んだので、明日が1回です。多いときは5回とか。3回というのは少ない方ですね。

Q:
山間部で開催されるコースは他にもあるのですか?(注:ほとんどのエアレースは海上や湖上で行われる)

室屋選手:
いえ。ここだけですね。アップダウンがあるというのは難しいところですね。あと、風が吹いたり気象条件が変わりやすいので。

Q:
タフなコースですか?

室屋選手:
トラックの設定自体はタフではないのですが、いろんな条件が変わってくるのでそういう意味ではタフなコースですね。

Q:
コクピットの中は寒いのですか?

室屋選手:
いえ、汗をかくくらい。Gスーツ(耐Gスーツ)には水が入っているので、乗る前が寒いですね(笑)

Q:
水が入っている?

室屋選手:
水のパイプが通っていて、Gがかかると下がってくるので下半身を引き締めて、血が落ちないようにするのです(注:脳への血流が途絶えると酸欠で失神する)。だいたい6Gくらいが通常の人の場合の限界ですね。特殊なことをしないとブラックアウトしちゃいますね。

Q:
特殊なこと?

室屋選手:
心臓の力で押し上げられるのが6Gくらいまでなので、それ以上のGに対応するために落ちないように先に(血を)上げておくということです。Gがかかってから上げるというのは難しいので、Gがかかる前に上げて、それを保つということです。ずっと上げ続けるともたないので、Gがかかる直前に上げます。

Q:
どうやって上げるのですか?

室屋選手:
ん~、トイレで力を入れるとクラクラって来ることありますよね?だいたいああいうのが近い力の入れ方なんです。飛行を重ねる間に自然に身につきましたね。ただ模擬コクピットではできてもお医者さんの前ではできませんでしたね(笑)


Q:
普段の血圧は?

室屋選手:
良好です(笑)低くはないです。平常値ですよ。ぐっと上げると簡単に180くらいはいきますが。

室屋選手のピットを後にして、フライトが行われるコースに行ってみました。


遠くに赤いパイロン。円錐形のパイロンは高さ25メートル。空気でふくらんでおり機体が触れると瞬時に繊維が裁断される仕様で機体が絡まないようできています。


遠くにレッドブルのモニュメントも見えました。


このコース上空にいくつものパイロンが設置され、空中のF1の予選が現地時間2014年10月25日に行われます。


日本人初・アジア人初のエアレースパイロット室屋義秀選手が参戦するエアレース最終戦Red Bull Air Race 2014 Spielbergは、2014年10月26日(日)に決勝レースが行われ、BSスカパーJ SPORTSで日本時間2014年10月26日午後10時から無料で生中継される予定。熱戦の様子は、明日以降も記事化予定なのでお楽しみに。

・つづき
「空のF1」と呼ばれるRed Bull Air Race 2014最終戦の予選はこんな感じ - GIGAZINE

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in 取材,   インタビュー,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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