取材

ルーマニアの「生きた石」は本当に成長するのか?


世界にはいまだ科学では解明できない自然現象が溢れていますが、ルーマニアにはまるで生きているかのように成長する自然石があるそうです。

こんにちは!世界新聞特命記者の雑色啓晴です。グルジア滞在中に、ルーマニアにある生きた石こと「Trovant(トロヴァント)」の情報を聞きつけ、「こんな不思議石、理科教師として見逃せない!」と思い、本当に成長するのか、実際に行って確かめてきました。

僕は今、ルーマニアの首都ブカレスト(星印)に居ます(赤線は陸路、青線は空路で移動)。


◆2つあるコシュテシュティ村
トロヴァントは2か所で観察できるようですが、僕はコシュテシュティ村の近くにある砂採取場に向かいました。この地図の場所です。


首都のブカレストからバスで30レイ(約1000円)、4時間ほどで着くのですが、僕ははじめに同名で別の場所にあるコシュテシュティ村に向かってしまい、着くのに6時間ほどかかりました。必ず「コシュテシュティ・ブルチャ」の方に行ってください。ちなみに、バスはWi-Fi付きで快適でした。


バスの中で詳しい行き方を教えてくれたルーマニア人。ルーマニアの公用語はルーマニア語ですが、若い人は比較的英語を話せます。


タイムロスがあり、日が落ちてしまったので、この日は近くのホレズという街に一泊して、早朝向かうことにしました。


◆意外と観光用なトロヴァント
ホレズからトロヴァントのあるところまではバスで10分ほどです。運転手に「トロヴァント」と伝えて降ろされたのが、この道路沿い。


進んでいくと木製の門が見えてきました。


そこには、トロヴァントの看板が用意されています。もっと、川沿いなどの入り組んだ所にあると思っていたので、少し気が抜けてしまいました。


◆トロヴァントの表面はカエルの皮膚のよう
門を抜けると15mほど道が続き、砂の壁にぶつかります。その両脇に約80個のトロヴァントと思われる石が見られます。思ったよりも数が多く、期待に胸が膨らみます。観光客は僕一人だけでした。


さらに近づくと、大きさはどれも1m程で、ランダムに地面に転がっていることがわかります。


これが「トロヴァント」です。表面に見える5cmほどの丸い凸部分のせいで、僕にはカエルの皮膚のように見えました。この凸部分が成長しているようです。大きさの比較対象としてiPhone 4sを置きました。


触った感触はざらざらです。よく見ると細かい石で構成されていました。


◆見た目で分けるなら3種類
1:黒い基盤に透明な2mm程度の小石が入る


2:黒い基盤に2mm~20cmほどの小石が入る


3:黄土色の砂の基盤に小石は入らない


しかし、1つの石の中でパターンが変わるものもあり、砂や石の大きさごとにトロヴァントが形成されるわけではなく、地層からアトランダムに固まっていくと思われます。


◆トロヴァントの誕生と成長
トロヴァントは600万年前の地震により誕生した、という事になっています。今回、砂の壁から落ちかけているトロヴァントを見学することができました。恐らく、この砂の壁が地震により隆起して、その地層から形成されていたトロヴァントが落ちて、今のように転がったのでしょう。


石の断面が露出しているものがいくつかありましたが、年輪のように規則正しい成長の証は見られませんでした。


敷地内にある看板には形成方法の記述はあったのですが、成長方法の記載はありませんでした。When On Earthの「Trovants: The Growing Stones of Romania」によると、トロヴァントは大雨が降ったあとに雨中に含まれたミネラルを吸収するのですが、このミネラルが石の中にもともと存在している化学物質と結合。中心部から外側へ向けての圧力が生まれて石が大きくなるのだそうです。

◆いざ、検証!
では、今回のテーマに入ります。このトロヴァントが目の前で成長するか確かめてみました。2008年のGIGAZINEの記事によると「雨が降った後にどんどん大きくなっていく」とのこと。ちょうど昨夜に雨が降ったので、絶好の機会です。


時間と戦う気、満々です。


1mmの成長たりとも見逃せない為、観察姿勢にもこだわります。


何やらこのあたりが動いたような……?という気がしましたが、When On Earthの情報によるとトロヴァントの成長速度は「1000年かけて4cm~5cmぐらい」とのことで、数時間ここにいたからといって成長を見られるわけではありません。残念。


今回、実際に成長の検証はできませんでしたが、その独特の形や模様から珍しいものであることは伺えました。さらに、実際に見たことで自分の中で「特別」な存在にもなりました。僕はそういった、自分の中で「特別感」を得る事に旅の重きを置いています。

旅をしながらだと学術用の資料を手に入れる事は困難です。今回も100%の理解はできませんでした。しかし、「特別感」を持つことで、日本に帰った後に調べて納得し、知識にすることが可能です。それでこそ旅に生産性を持たせることができるのだと思います。


文・取材:雑色啓晴 http://zoshiki.com/wp/

監修:世界新聞 sekaishinbun.net


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in 取材, Posted by logc_nt

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