NYタイムズ紙が人員削減案を発表、100名規模の削減を行う理由とは?
By Alexander Torrenegra
アメリカで発行部数第3位を誇る日刊新聞紙のニューヨーク・タイムズが、ニュース編集局から全体の7.5%にあたる100名の人員削減を行うことを発表しました。
New York Times Plans to Eliminate 100 Jobs in the Newsroom - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/10/02/business/media/new-york-times-plans-cutbacks-in-newsroom-staff.html
New York Times Lays Off Staff, Shuts Down Opinion App | Re/code
http://recode.net/2014/10/01/the-new-york-times-app-plan-isnt-working-so-its-laying-off-staff/
ニューヨーク・タイムズ(以下、NYタイムズ)は現地時間の2014年10月2日に人員削減案を発表し、希望退職者の募集を開始。応募者には早期退職報奨金が支払われますが、予定数に達しなかった場合にはレイオフ(一時解雇)も計画されています。さらに今回の大規模な人員削減案に加え、NYタイムズが提供しているアプリ「NYT Opinion」では、月額6ドル(約640円)の定期購読者を充分に獲得できなかったことから、同アプリのサービス提供を終了することも発表されています。
NYタイムズはデジタル部門に力を入れていることから、ウェブプロデューサー・映像記者の数が増加しており、過去6回にわたって編集局の人員削減を敢行しているものの、従業員の数が増え続けている状態。ワシントン・ポストの編集局スタッフ数は約650人、BuzzFeedは約225人ですが、NYタイムズは2014年現在で1330人という規模の編集局スタッフを抱えており、コストの増加に伴って2013年から収益性が低下しています。
今回の人員削減の理由については、「長期的な収益性を守るため」としており、確保されるコストは将来的にデジタル部門へ投資すると発表しています。Dean Baquet編集長は、編集局スタッフへ個別に送った手紙の中で、「私たちが人員削減を行うにあたって、いくつかの部門でフリーランスのコンテンツを増加させるでしょう」と、解雇となるスタッフの今後の対応に言及しています。
「NYT Opinion」アプリの失敗によって人員削減に踏み切ったNYタイムズですが、他にも「NYT Cooking」というレシピアプリをリリースしたばかり。こちらは将来的に有料になる予定ですが、先にユーザー数を確保する計画のため現在は無料で提供されており、リリースから2週間で100万人を超えるユニークビジター数を記録するなど、大きな反響を集めています。2010年からデジタル広告の収入は成長を続けており、NYT Opinionの失敗を教訓に今後もデジタル部門への挑戦を続けていくとのことです。
なお、2014年9月に業界最大手のUSAトゥデイ、2014年夏には業界第2位のウォール・ストリート・ジャーナルが人員削減に踏み切っており、大手新聞社にとって苦しい時期となっています。
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