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飛行規制の策定が予想されるドローンははたして市民権を得られるのか?

By Ars Electronica

従来のラジコンヘリとは違い4つ以上のプロペラを持つマルチコプター、通称「Drone(ドローン)」は、近年、飛行性能が格段に向上し、また数万円から本格的な飛行が楽しめる機種が登場したこともあり、世界中で急速に普及してきています。しかし、あまりにも急激に普及したせいで飛行に関するルール作りや法整備が追いつかず、墜落事故や高性能カメラ撮影によるプライバシー侵害、騒音被害など、さまざまなトラブルが発生しており、迅速なルール作りの必要性が叫ばれています。

How drones and UAVs are already affecting construction jobsites | Equipment World | Construction Equipment, News and Information | Heavy Construction Equipment
http://www.equipmentworld.com/drones/

完成度の高さから人気のドローン「Phantom 2」は、高い飛行安定性と良好な操作性を持っているため誰でも簡単に大空を飛ばして空中撮影ができるため、アメリカや日本でも非常に人気となっています。

クアッドコプターPhantom 2にジンバルH3-3Dを装着、GoPro HERO3で空撮してみました - GIGAZINE


Phatom 2は約13万円と高価なクアッドコプターですが、例えばParrotの「AR.Drone 2.0」は約4万円と比較的安価にもかかわらず720pでのHDムービーを撮影できる性能を有するなど、ドローン・ホビーの敷居は数年前では考えられないほど低くなり、より身近なホビーになりつつあります。

誰でも簡単にHDムービーが空撮できてiPhone/iPadがコントローラーになる「AR Drone 2」で太陽の塔を撮影してみた - GIGAZINE


しかし、一部のマニア向けだったラジコンヘリと違って安価で簡単に操縦できるドローンは、敷居が低いが故に安易に飛ばして人混みへ墜落させる事故がしばしば発生しています。以下のムービーには、2014年8月24日、アメリカのバージニア州で開催されたイベントでドローンが墜落した様子が映し出されています。

Drone crash: | WTVR.com
http://wtvr.com/2013/08/24/watch-drone-crashes-into-crowd-at-great-bull-run/

各地で続発するトラブルを受けて、アメリカ合衆国国立公園局がアメリカ合衆国内にある58の国立公園でのドローンの離陸・着陸・飛行を禁止する通達を出すなど、ドローンを取り締まるルールが現れ始めています。しかし、ドローンの飛行を包括的に禁止する法規制はなく、現在、連邦航空局(FAA)は増え続けるドローンを飛行機の航路から排除できるように新しい空のルール作りを行っているところで、2015年までにドローンの存在を想定した安全規則が制定される見込みです。

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Phantom 2などの高性能なドローンは、ホビー用途だけでなく、人間が入り込めない危険な場所を空撮したり、野生動物を撮影したりするのにすでに実用されており、またAmazonが商品配達へ活用することを検討したりと、ビジネス用途での利用も広がっています。例えば、橋の定期点検にドローンで撮影した映像を利用したり、建設現場の測量をドローンによる空中撮影写真から合成したイメージを利用したりということがすでに実用化されています。


これは、土木会社Tomsuグループがヘキサコプターで空中を3回飛行して撮影した映像とGPS情報を元にPix4Dというソフトウェアで3Dマップ処理した映像。ドローンを使って工事現場の正確な3Dマップが作れるというわけです。

Millet 2014-07-29 - YouTube


ドローンの高い飛行性能と小型の高性能カメラの組み合わせで得られる写真やムービーを有効に活用できる場面は多く、ビジネス用途での有用性は明らか。そのため、アメリカ国内のビジネスでドローンの活用を検討中の起業は、FAAが策定するガイダンスがどのようになるのか気をもんでいるとのこと。


また、FAAによる安全規則が例えば「飛行許可を取ることによってのみドローンの飛行が可能になる」というような許可・認可制になった場合、一般的なホビー用途での利用が激減するとみられており、そうすると、世界中で巨大なビジネスに成長することが期待されるドローン産業の芽を摘みかねないと、ドローンメーカーとその関係団体は懸念しています。

ドローンの開発メーカーを多数輩出し、世界のドローン産業を牽引してきたアメリカによるドローンの法規制は、他の国の法整備にも大きな影響を与えると言えるため、FAAが2015年までにどのような形で安全性の確保と飛行の自由の保護とのバランスを取るのか、要注目です。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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