上空からダイナミックなムービーを誰でも手軽に撮影できる「ドローン」の置かれた危機的状況とは?

By Christopher Michel

複数の回転翼(ローター)を搭載したマルチコプター(ドローン)は、優れた飛行性能と使い勝手の良さで、報道分野から運輸業に至るまでさまざまな分野から注目を集めています。

既に一般消費者向けのドローン市場はかなりにぎわっており、いろいろなメーカーから手乗りサイズのドローン頑丈かつ比較的安価なドローンまでさまざまなタイプのものがリリースされており、最も「買い」なドローンはどのモデルかを比較検証するムービーまで公開されていたりします。そんな中で一般向けドローンの中でトップクラスの評価を得ているのがDJIの「Phantom 2」というドローンです。

驚異的な安定性と直感的な操作性を実現したクアッドコプター「Phantom 2」初フライトレビュー - GIGAZINE


「Phantom 2」がどんな風に飛行するのかは以下のムービーを見れば分かる通りで、抜群の安定感で20分以上の飛行が可能です。

DJIのクアッドコプター「Phantom 2」を飛ばしてみた - YouTube


さらに、純正カメラ内蔵のドローンやアクションカメラのGoProを取り付けられるドローンもあり、これらの登場でこれまで個人では難しかった「空撮」が一気に身近なものになってきています。実際にドローンを使って空撮すると以下のようなムービーが撮影できるわけです。

Phantom 2+GoPro HERO3で難波宮跡を空中散歩 - YouTube


上記ムービーを見れば分かるように、ドローンを使えば人間とカメラだけでは到底撮影できないような美麗かつ大迫力なムービーを撮影しまくることができるので、世界中のさまざまな場所でドローンがブイーンと飛行して貴重な映像を撮影しまくってくれています。

「軍艦島」をマルチコプター+ソニー製アクションカメラで縦横無尽に飛び回るとこう見える - GIGAZINE


ドローンを使って噴火する活火山に接近して激写したムービー - GIGAZINE


北京の街を上空からクアッドコプターで空撮した映像が圧巻 - GIGAZINE


さらに、ドローンは個人利用の範疇を超えて報道分野でも大活躍しています。イギリスのテレグラフにてカメラマンを務めているLewis Whyld氏は、2014年1月末にサマセット州で大洪水が起きた際に村々の被害の様子をドローンを使って空撮しており、これまでヘリコプターを使わなければ撮影できなかったような映像が、ひとりでも簡単かつ安全に撮影できるようになったことがよく分かります。

Video: Aerial drone footage of 'catastrophic' Somerset floods - Telegraph


他にも、世界初のドローンによる宅配便サービスが登場したり、Amazonがドローンを使った宅配サービス「Amazon Prime Air」を計画していたり、ディズニーがドローンを使って操り人形を動かす特許を申請していたり、1分で患者の元に駆けつけてAEDの指示までできる「救急ドローン」まで登場したりとさまざまな分野でドローンが活躍しており、今後はどんな広がりをみせてくれるのか楽しみなテクノロジーのひとつでもあります。


しかし、急速に普及しすぎた影響でドローンに関するルールや法整備はいまだに整っておらず、人混みへの墜落や騒音トラブル、さらには刑務所の塀の向こうにタバコを届けようとする事件などが発生しています。そんな中、アメリカではFAAがドローンの規制に動いており、はたしてドローンは市民権を得られるのか、それとも規制でがんじがらめになってしまい現在のような自由な使用はできなくなってしまうのか、と注目されています。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、現在FAAが策定中の規制案では「操縦者によるパイロット免許取得の義務化」や「ドローンの飛行は日中だけ」、さらには「飛行は操縦者の視界の範囲内に制限」といったものが挙がっており、これらが定められてしまえばGoogleやAmazonが計画しているドローンを使った配送サービスは不可能となり、小規模な事業者にとってはドローンを使う利点がなくなる、と関係者の間ではささやかれています。

無人機のFAA規制案、アマゾンやグーグルの配送を不可能に - WSJ
http://jp.wsj.com/articles/SB11360550936975084497104580302291771716162

FAAが来月取りまとめる予定のこの規制案は、操縦者によるパイロット免許取得の義務化や無人機の飛行を日中だけ、高度400フィート(122メートル)以下、操縦者の視界の範囲などに制限する公算が大きい、という。

 こうした規制は費用増加を招き、特に小規模な事業者にとっては無人飛行機を利用する経済的価値が失われる、とメーカーや利用者はいう。ユーザーの視界内に限定して無人機の飛行を認めることは、パイプライン検査や大規模な農地の監視、配送など多くの商業用途を実質的に禁止することになる。また、無人機1機ごとに操縦者を1人割り当てることも採算面でマイナスとなる。


そんな中でFAAは新しい指針を設け、競技場やスタジアムの近くでドローンを操縦することは「違法」であると明確に定めました。

Fly a drone near a stadium and the FAA could send you to jail | The Verge
http://www.theverge.com/2014/10/29/7101409/faa-rules-drones-stadiums


FAAによれば、競技場やスタジアムなどで行われるイベント開催中とその前後1時間は、イベント会場の上空3000フィート(約910メートル)未満と会場から3マイル(約4.8キロメートル)の範囲を「航空機」が飛ぶことは認められていない、とのこと。そしてこの「航空機」の中にはドローンも含まれるとして、航空情報の一種であるNOTAMに新たにFDC 4/3621としてドローンに関する記述が追加されており、これによりMLBNFLNCAAなどのスポーツに関するイベント試合の他、自動車のレースイベントなどの開催地周辺でもドローンを飛ばすことは禁止、と明確に示されてしまいました。

これまでスポーツ界でもドローンは猛威をふるっており、2014年ブラジルワールドカップではフランス代表のトレーニングの様子をドローンが盗撮する、という事件が起きていました。

W杯に臨むフランス代表のトレーニング風景がドローンで盗撮される - GIGAZINE


他にもサッカーの試合の様子をドローンで空撮したムービーがYouTube上に公開されていたりします。

DJI Phantom 2 Vision Plus - Tottenham Hotspur vs Nottingham Forest 3 - 1 - YouTube


DJI Phantom 2 Vision Plus - Derby County v Reading 2 - 0 - YouTube


さらに、2014年10月に行われたEURO 2016予選のセルビア対アルバニア戦では、試合中ピッチにドローンが乱入して試合が没収試合となっていました。

Serbia, Albania Soccer Game Abandoned After Drone Incident - YouTube


世界各地で良く悪くも大流行してしまっているドローンですが、アメリカを筆頭に徐々に規制は厳しくなっている状況。しかし、ドローンの有用性は確かなので、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対処してもらいたいところです。

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