世界中の諜報機関御用達で推定約69億円を売り上げるスパイウェアが誰でも自由にダウンロード可能に
By jurek d.
日本を含む36の国家で使用されているスパイウェア「FinFisher(FinSpy)」の最新版を、Wikileaksが2014年9月15日からダウンロード可能な状態で公開しています。
WikiLeaks - SpyFiles 4
https://wikileaks.org/spyfiles4/
FinFisher(FinSpy)はイギリスのGamma Internationalにより開発されたスパイウェアですが、現在はドイツの企業がシステムの開発と販売を受け持っています。これは、40種類以上のアンチウイルスソフトの検知をバイパスし、パソコンのウェブカメラに映る映像はすべて録画、マイク音声もすべて録音、そしてキーボードで入力される文字もすべて記録してしまい、さらには外部から通信を傍受したり遮断したりも可能という恐るべきスパイウェアです。Windows・Linux・OS XといったOSのコンピューターだけに限らず、Android・iOS・BlackBerry・Symbian・Windows Mobileといったスマートフォンの通信を傍受することもできます。
FinFisher(FinSpy)がどれだけ恐ろしいスパイウェアかは以下の記事を読めばよく分かります。
アンチウイルスソフトに検知されずあらゆる行動を記録する「FinSpy」 - GIGAZINE
FinFisher(FinSpy)が世間に知られるようになったのは、2011年12月にWikileaksが「Spy files」の存在を世間に暴露した際のこと。それ以来、多くの研究家たちによりFinFisher(FinSpy)が世界中の国々で、反体制派やジャーナリストの動きを監視するために使用されてきたことが明かされてきました。
Wikileaksの編集長であるジュリアン・アサンジ氏は、「ドイツの企業が販売している監視ツールであるFinFisherは、現在も厚かましく使用し続けられており、世界中の政府機関に最も乱用されているもののひとつです。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、個人のプライバシーに関心を寄せるようなフリをしていますが、その行いはまったくそうではありません。もしもプライバシーに関心を寄せているならば、なぜメルケル政権はFinFisherを保護し続けているのでしょうか?これらのスパイウェアの完全なデータを公開することは、技術的なコミュニティがこれらのスパイウェアから人々を保護するためのツールを開発するための助けになるでしょう」と、WikileaksがFinFisher(FinSpy)を公開する理由について語っています。
FinFisherには複数のソフトウェアが存在し、「FinFisher Relay」と「FinSpy Proxy」もその中のひとつです。これらはFinFisherユーザーが集めたデータを匿名のつながりにより構成されるネットワーク経由で送信したり、ユーザーの身元や最終的にデータが保存される場所などを偽装したりするためのもの。そして「FinFisher Relay」と「FinSpy Proxy」は、「FinSpy Master」というソフトで管理されるとのことです。
というわけでWikileaksにより公開されているFinFisherソフトウェアは以下の通り。
◆FinFisher Relay v4.30
ffrelay-debian-4.30.ggi.zip(ファイルサイズ:224KB)
◆FinSpy Proxy v2.10
finspy_proxy.zip(ファイルサイズ:320KB)
◆FinSpy Master v2.10
finspy_master.zip(ファイルサイズ:2.5MB)
また、Wikileaksではこれまで公開されていなかった最新版のひとつ前のFinFisher(Windows版)のコピー版の配布も行っています。
◆FinSpy PC
finfisher.1.zip(ファイルサイズ:736KB)
finfisher.2.zip(ファイルサイズ:576KB)
なお、少なく見積もってもFinFisherはこれまでに5000万ユーロ(約69億円)の売り上げを記録している、とWikileaksは推測しています。
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