ハードウェア

アリンコサイズの「極小無線通信チップ」が開発される


Intelが1セント硬貨と同じサイズの超小型3G通信チップを開発し、モノのインターネットの普及が進みつつありますが、スタンフォード大学のエンジニアチームが、さらに小さな「アリ」サイズの無線通信チップを開発しました。

Stanford engineers aim to connect the world with ant-sized radios
http://news.stanford.edu/news/2014/september/ant-radio-arbabian-090914.html

スタンフォード大学のエンジニアチームは、カリフォルニア大学バークレー校との共同開発によって、アリサイズの無線機を作り上げました。バッテリーは不要で、受信アンテナへ信号が運ばれる際の電磁波から必要な電力をまかなえるとのこと。サイズやエネルギー効率もさることながら、製造コストも1セント(約1.07円)とコストパフォーマンスにも優れています。

また、アリサイズの無線チップは、計算・実行・コマンドの中継が可能な設計で、あるため、「Internet of Things(モノのインターネット)」への大きな成果が期待されています。1セント硬貨と比べてみても極小サイズであることがわかります。


スタンフォード大学電気工学部のAmin Arbabian准教授はこのチップの開発者であり、「接続性の次なる目標は、オブジェクトを同時に接続して、我々にウェブを通じたリモートコントロールを与えることでしょう」と話しています。世界中にコマンドを運ぶインターネットや、コマンドを実行するコンピュータ、スマートフォンにタブレットが存在しますが、十分に安価な無線コントローラーは存在しませんでした。アリサイズの無線チップであれば、どのような場所やデバイスでも組み込むことが可能。


このプロジェクトが始まったのは2011年で、完成までに3年を要していますが、従来のBluetoothデバイスにも適用可能。バッテリーは不要ですが、もし同型のものをバッテリー駆動させるとすれば、単4電池1つで1世紀以上稼働できるほどのエネルギー効率です。アンテナはWi-Fiアンテナの10分の1ほどで、周波数は240億サイクル毎秒で動作します。

ただし、標準のトランジスタでは信号が速すぎて電波の処理が難しかったため、基本回路と電子設計を見直した結果、全ての回路・受信アンテナ・送信アンテナ・中央処理装置を1枚のチップ上に全てを載せることに成功。通信距離は短距離~中距離程度で、現段階では1メートルおきにチップを配置する必要がありますが、スマート・ホーム・デバイス間の接続やコントロールに活用できるとのこと。スイスの半導体メーカーSTMicroelectronicsがArbabian氏の設計に基づいた試作品を100枚製造済みで、デバイスの動作証明実験に使われています。


Arbabian准教授は「全ての電球に双方向無線コントロールシステムを組み込むにはどうすれば良いか?」ということを考え、無線に必要な要素を全てシングルシリコンチップに載せて完成させたとのこと。中でもコストを1セントに抑えられたことは最も重要な成功であり、「私たちは膨大なデバイスへの接続を提案します」と話しています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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