皮膚の「セラミド不足」がアトピー性皮膚炎の原因となり得ることを日本の宇都宮大学が世界で初めて実証したと発表

日本の宇都宮大学の研究チームが、角層脂質の1種であるセラミドの欠乏がアトピー性皮膚炎発症の原因になり得ることを世界で初めて実証したと発表しました。この研究から、アトピー性皮膚炎の療法や予防法の研究が進むことが期待されています。
Acid ceramidase overactivity drives ceramide loss, leading to atopic dry skin and Th2‐skewed immune polarization - Takada - The Journal of Pathology - Wiley Online Library
https://pathsocjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/path.70050
[プレスリリース]皮膚の「セラミド不足」がアトピー性皮膚炎の直接原因であることを世界で初実証 | トピックス | 宇都宮大学
https://www.utsunomiya-u.ac.jp/topics/research/013613.php
これまでのアトピー性皮膚炎の患者では皮膚のセラミド量が低下していることが知られていましたが、「セラミド量の低下が原因でアトピー性皮膚炎を発症する」のか、それとも「アトピー性皮膚炎が原因で皮膚のセラミド量が低下する」のかはわかっていませんでした。
セラミドは脂質の一種で、皮膚の表面で水分を保ち、外からの刺激や異物の侵入を防ぐ役割を果たします。今回の研究では、このセラミドが皮膚の表面で不足すると、それだけで乾燥しやすく、刺激に弱い、アトピー性皮膚炎に似た状態が生じることがマウスで示されました。
研究チームは、表皮の上の方で酸性セラミダーゼという酵素が強く働くようにし、皮膚の表面にあるセラミドを減らす仕組みを組み込んだマウスを用意しました。このマウスと普通のマウスを比較し、皮膚からどれだけ水分が逃げるか、水分をどれだけ保てるか、皮膚の見た目や組織の変化、皮膚の表面にある脂質の量、さらにアレルギー反応の起こりやすさまでを調査しました。マウスは3週齢以降を中心に解析され、ダニ抗原を繰り返し塗る実験も行われました。
その結果、普通のマウス(上)と異なり、セラミド欠乏マウス(下)は生後まもない時期から皮膚がカサつき、3週齢になると、はっきりした炎症が見えない段階でも細かな落屑(らくせつ)を伴う乾燥肌が続いていました。さらに皮膚から逃げる水分量が増え、水分保持の指標は低下しており、皮膚のバリア機能と保水機能がともに悪くなっていることも確認されました。一方で、3週齢の時点では表皮の厚みそのものに大きな差はなく、まず先に機能の異常が起きていたことがわかります。

原因を詳しく調べると、セラミドを分解する酸性セラミダーゼの働きが強くなっているマウスでは、実際に皮膚表面のセラミド量が大きく減っていました。つまり、皮膚の表面でセラミドが減ったことで、水分を保てず、外からの刺激も通しやすい皮膚になったと考えられます。さらに、かゆみに関係すると考えられる神経の伸び方にも変化が見られ、アトピー性皮膚炎に近い状態が、目立った炎症より先に作られていたことも示されました。
さらに研究チームは、セラミド欠乏マウスの弱った皮膚にダニ抗原を繰り返し塗りました。すると、普通のマウス(上)ではほとんど起きなかった赤みや腫れが、セラミド欠乏マウス(下)では目立つように表れたとのこと。特に耳の皮膚は厚くなり、アレルギー反応に関わるIgEも増え、アレルギー性炎症でよく見られる好酸球の集まりも確認されました。

また、皮膚の中では、アトピー性皮膚炎で増えやすい炎症関連分子の増加も見つかっており、セラミド不足で弱った皮膚が、アレルゲンに対して過敏に反応しやすくなる様子が示されました。
研究チームは、今回の結果から、皮膚表面のセラミド不足が、単なる乾燥を起こすだけでなく、皮膚の守りを弱め、かゆみやアレルギー性炎症につながる土台を作るとみています。その意味で、このマウスはアトピー性皮膚炎の仕組みを調べるうえで有用なモデルになるとしています。
ただし、研究チームは今回のマウスでセラミドが減る仕組みは人のアトピー性皮膚炎で想定されている仕組みと完全に同じではないとも説明しています。それでも、セラミドが減ること自体が皮膚に何をもたらすのかを切り分けて示した点に、この研究の大きな意味があると論じました。
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in サイエンス, Posted by log1i_yk
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