飛行機に自転車を載せるためのパッキング一部始終はこんな感じ
「海外サイクリングしています」と言うと「自転車はどうするんですか?」とよく聞かれます。「飛行機に載せるんですか?」「超過料金とか大丈夫ですか?」と知らない人には気になる質問。今回も空港でパッキングして飛行機に自転車を積みました。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。今年の夏はイタリアのパレルモからアイルランドのダブリンまで走りました。アイルランドの首都ダブリンからは、アラブ首長国連邦のアブダビ経由でタイの首都バンコクまでフライト。いつもと同じように、自転車を分解してチェックインしています。今回は海外サイクリングにおける飛行機移動の一部始終をまとめてみました。
◆空港に向かうまで
事前準備としてビニールテープ、布テープ、ビニール袋、サランラップ、壁紙を用意。
ペーパー類や結束バンドもあると便利です。
失敗は許されないため、フライト当日の朝はレッドブルで気合を注入。
今回は空港まで約10kmを自走しました。事前にパッキングしていたら、タクシーを使うこともあります。
余裕を持ってダブリンの空港に到着。
パッキングを始める前に、おトイレを済ませておきましょう。
そしてお腹が空いていたら腹ごしらえ。自転車を分解すると手が汚れてしまうので中断できません。
◆自転車の梱包
車やバイクと違って、飛行機の移動に自転車を持ち込むことは簡単です。ただ、ここでパッキングが必要かどうかは航空会社で判断の分かれるところ。自転車を分解せずに、そのままで預け入れするという人の話も聞きます。ただ分解をしておかないと、チェックインの際に受託手荷物を断られる可能性もあり。そういうこともあるので、自分は自転車を分解していました。そうでなければ、事前に確認した方がいいと思います。
ブラジルの途中でフロントキャリアを取り外したので、ヨーロッパはリアキャリアだけで走りました。この自転車を分解してパッキングしていきます。
まずは、積載している荷物を全部降ろします。
荷物を降ろした状態。
そこから全部のボトルゲージ類を取り外すと、さっぱりとした自転車になりました。
外したボトルゲージは一つにまとめて、ビニール袋に入れます。ネジはなくさないように紙で包んで、ボトルゲージに巻きつけました。
ホーローテックⅡのクランクを取り外します。黒いプラスティックを外す特殊工具と、六角レンチが必要です。
ホーローテックⅡはクランクとボトムブラケットのシャフトが一体となっていて、このような形で取り出せます。ここまで分解できるので、輪行の際にペダルレンチを持ち歩く必要がなくりました。
クランクのフロントギアは尖っているので、チラシで包んでからビニール袋にまとめます。
オイルが残ったチェーンは汚れるので、ペーパータオルやチラシを巻きつけます。衝撃に弱いリアディレーラーは保護も兼ねてタオルを当ててみました。
サドルを取り外します。
フロントフォークから、ステムとハンドルを抜き出しました。フレームからフロントフォークも外すので、前輪ブレーキも取り外します。
残りのブレーキレバーやシフターは、結束バンドでフレームに固定。
フロントフォークを抜くと、フレームから前輪が分離しました。
この際に出てくるヘッドセットのスモールパーツは、紛失しないようにビニール袋に入れましょう。
テントのグランドシートとして使っているブルーシートの上に、後輪をつけたままのフレームと、前輪を付けたままのフォークを組み合わせて置いて、ゴムひもや結束バンドで固定します。衝撃でエンド幅が変わってしまうのも怖いので、輪行の際には車輪は外さず付けたままにすることが多いです。
ブルーシートで自転車を包み込むようにして……
この輪行のために購入した、もう一枚のブルーシートを被せます。
二枚のブルーシートで包んだ状態の自転車を、ビニールテープでグルグル巻きに。
その上から補強も兼ねて手に入れた壁紙を巻きつけてみました。壁紙は1ユーロ(約135円)の処分品。ブルーシートだけでは不安なので、梱包用のプチプチ発泡材だったり、現地で何かしら材料を探します。
そして仕上げに、サランラップで巻き上げました。空港にもラッピングマシーンはありますが、自分でやるとお得。ただし、ディスカウントストアで手にした今回のサランラップは、フニャフニャ、フワフワの極薄仕様で巻くのに苦戦。
最後にビニールテープでグルグル巻きにして完成。今回は携行品を入れる袋が大きかったので、ハンドルやサドルはそちらに入れます。段ボールで梱包する場合も、ほとんど手順は変わりません。
◆携行品の梱包
飛行機で移動する際は、機内持ち込みのバックパック、自転車、その他の装備を入れた大きなバッグと荷物を3つに分けることが多いです。露店の人とかが商品を入れたりしている大きなバッグは、どこの国でも見つかります。今回はダブリンの雑貨屋で写真の大きなサイズを3ユーロ(約400円)で購入しておきました。
レザーマンやビクトリノックスといったナイフを含む多機能ツールは、機内に持ち込めないので受託手荷物の中に入れましょう。六角レンチやスパナといった自転車工具も受託手荷物にしないと、没収されるので気をつけて下さい。
小さくまとめたいので、コッヘルの中も有効利用。
オルトリーブのフロントバッグは、プラスチックの型を取り外すと、このようにペッタンコになります。
リアバッグ一つと、荷台の防水バッグに大半の荷物をまとめました。
この二つを大きなバッグに投入。サドルやハンドルバーといった自転車パーツも併せて入れます。
こちらのバッグもサランラップとビニールテープでグルグル巻きに。端を少し開けておくのは、重量が超過していた時に荷物を減らすため。
荷物をカートに載せて準備完了。写真を撮りながら、2時間位の作業でした。
◆チェックイン
そして運命のチェックイン。今回はアブダビ経由のエティハド航空を利用したので、エコノミークラスのチケットでも受託手荷物は30kgまで無料でした。普通だと上限が20kgだったりするので、今回は10kg多く運べます。ギリギリで足りると見ていた重量は約2kgのオーバー。超過料金は1kgで5000円を越える勢いでしたので、そこまで必要のない物は捨てていくことに。ヒヤヒヤさせられましたが係員から「もういいわよ」とお許しが出たので、無事にチェックインができました。
このチェックイン時の超過手荷物は海外を走るサイクリストにとって、常に悩みの種。大きな失敗をしている友人も多く、自分も一度航空券を駄目にさせられました。格安チケットで受託手荷物の上限が20kgだとしても、重量オーバーで過料金が1kgあたり5000円を越える事もありますので、予めオフィシャルサイトで受託手荷物の上限と超過手荷物料金の請求に、目を通しておくことをお勧めします。日本から台湾経由でカナダに飛んだ際は、超過手荷物の料金体系もお得で、敢えて利用したほどですし。
アブダビのエティハド航空。
そして東南アジアのタイへ到着。ターンテーブルで携行品を入れた大きなバッグはすぐに回収できたのですが、自転車がなかなか出てきません。ロストバゲージが多発しているらしく、たくさんの人が請求手続きをしていました。自分も並んで「自転車が見つからない」と聞くと、後ろのご婦人が「あなた、あっちの方で青いビニールに包まれた自転車を見たわ」と教えてくれたのでそこへ。大型手荷物はターンテーブルに流れてこないこともあります。そこで待っていると、ちょうど入れ違いとなったようで、ターンテーブルに戻ると、近くの床に自分の自転車が置かれてました。荷物がロストすることなく一安心。
回収した荷物。
バンコクのスワンナプーム国際空港。
飛行機を使う際は、このような感じで移動しています。
◆これまでの移動
コンゴ共和国~ケニアへのフライト。自転車用ではなく、家電用のダンボールを代用しました。
南アフリカ~日本へのフライト。この時はドバイ経由のエミレーツ航空で、こちらも受託手荷物の上限は30kgでした。
日本~カナダへのフライト。新しい旅のスタートということもあって、きちんと段ボールに詰めました。
パナマ~コロンビアへのフライト。大きなバッグが安かったので、これを組み合わせて梱包しています。
アルゼンチンの最南端ウスアイ~首都ブエノスアイレスのフライト。
ブラジル~チュニジアへのフライト。やはり受託手荷物は自転車と大きなバッグというスタイル。
この時は、ハンドルも自転車と一緒に梱包していました。
このバンコクからも、日本に一時帰国する予定なので、また自転車を梱包する必要があります。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れるとそこまで難しい作業でもありません。世界は広くて面白い場所もいっぱいあるので、自転車好きの方ならば、愛車を連れて海外というのも楽しいですよ。飛行機は世界の国々を繋いでいます。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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