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「ジェットソン」から「スーパーグッピー」までNASAのオリオン宇宙船に関するアレコレ


既存のスペースシャトルに取って代わる新しい有人ミッション用の宇宙船として、NASAとLockheed Martinが共同開発しているのが「オリオン」です。21世紀の最先端科学技術の結晶ともいうべきオリオンですが、これにまつわるさまざまな知識を得られる「Orion A to Z」をNASAが公開しています。

Orion A to Z | Facebook
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.631314333604969.1073741842.129562970446777

A:アポジー
アポジー(遠地点)とは、人工衛星などが地球から最も遠ざかる点のことです。オリオンが初のテスト飛行を行う際の遠地点は地球から3600マイル(約5800キロメートル)の地点になる、とのこと。民間航空機は地表から約8マイル(約13キロメートル)の地点を飛行するので、オリオンはその450倍も高い場所を飛行することになります。


B:地球の周回軌道を越える
宇宙船は地球の軌道を越え、惑星間を移動します。オリオンは地球の周回軌道を越え、月や火星、さらに遠方まで飛行することができるよう設計されています。動力はソーラーパネルから得るようで、生命維持装置が乗組員の水と酸素を循環処理し、さらに最新鋭の熱遮蔽素材が放射線から宇宙船内の機器や乗組員を守ってくれる、とのこと。


C:乗員用モジュール
乗組員モジュールは、宇宙飛行士が生活したり調査に必要な道具が保管されたりするスペースです。


D:デルタIVヘビー型
2014年12月に行われる予定の最初のテスト飛行にて、オリオンを宇宙に打ち上げる役目を担うのはデルタIVヘビー型です。デルタIVヘビー型は、6万ポンド(約27トン)以上の重量の宇宙船も高軌道まで一緒に運ぶことが可能。


E:ECLSS
ECLSSは、気圧・火災検知&鎮圧・酸素レベル調整・廃棄物処理・水のリサイクルなどが可能な生命維持装置です。


F:壊れやすいジョイント部分と整形板
オリオンをロケットから分離させる際に、オリオンとロケットのジョイント部分や整形板が「壊れやすくある」ことが重要になります。ジョイント部分が壊れやすいのは、オリオンへの衝撃などを最小限に軽減して危険性を少しでも低くするため。整形板はロケットが発射された後に生じる大気圧や温度の変化からオリオンを守るためのものです。ロケット発射から約7分でオリオンは高度135マイル(約217キロメートル)に達し、これらの壊れやすいパーツをパージしてロケットから切り離されて宇宙に飛び立っていくことになります。


G:スーパーグッピー
スーパーグッピーは貨物室に26トンもの荷物を積んで輸送することが可能な特殊な飛行機です。積載可能な物資のサイズは高さ25フィート(約7.6メートル)、幅25フィート、長さ111フィート(約34メートル)までで、世界で最も大きな動物といわれるシロナガスクジラを積み込むことも可能とのこと。この飛行機はオリオンに使用される物資の運搬に役立っているそうです。


H:熱遮蔽板
オリオンに使用されている熱遮蔽板は、オリオンが宇宙でのミッションを終えて地球に帰還するために大気圏に突入した際に、船内が高熱にならないようにするためのものです。12月に行われる予定のテスト飛行ではこの熱遮蔽板が2200度を超える高温に耐えられるかも大きな焦点になる、とのこと。


I:ISOGRID
ISOGRIDはオリオンの強度を高めるための構造で、アルミニウムとリチウムの合金を格子状にくりぬき補強用助剤を入れることで、重量を大幅に減らしつつ、強度を維持しています。


J:ジェットソン
不要になったロケットやブースタを投棄することを「ジェットソン」と呼びます。打ち上げ後ロケットが軌道上に達すると、打ち上げ脱出システム(LAS)はジェットソンされ、オリオンは宇宙に飛び立ちます。さらにオリオンが地球に帰還する際、大気圏に突入する段階でオリオンのサービスモジュールもジェットソンされるそうです。なお、12月のテスト飛行でもオリオンの乗組員モジュール以外のあらゆるパーツがジェットソンされる予定となっています。


K:運動エネルギー
運動エネルギーとは、移動している物体のもつエネルギーのことです。これは物体の質量と速さの2乗に比例します。12月に行われるテスト飛行では、オリオンは過去40年のどの宇宙船よりも大きな運動エネルギーを生み出す予定で、大気圏に突入し、パラシュートを展開することでこのエネルギーを小さくする手はずになっています。


L:打ち上げ脱出システム
打ち上げ脱出システム(LAS)は、オリオンの乗組員を危険から守るためのシステムです。オリオンのLASは、乗組員モジュールを離陸時の異常などから守るために設計されたもので、乗組員が危険な位置から一瞬で待避できるように強力なモーターが取り付けられています。緊急時のLASの加速は平均的なジェットコースターよりも約6倍速い、とのこと。


M:火星
有人宇宙船であるオリオンの活動圏には火星も含まれており、人類史上初めて人間を火星に連れて行く宇宙船はオリオンになる可能性も十分にあります。


N:地球近傍天体
地球近傍天体(NEO)は、地球に接近する小惑星や彗星、流星体の総称です。2013年12月の段階でNEOは1万以上発見されており、この中の27個は宇宙飛行にてアクセス可能なものであることが判明しています。オリオンの初期ミッションのひとつにはこれらのNEOにアクセスし、岩のサンプルを入手するというものです。


O:OGIVE
オリオンを保護する整形板は「OGIVE」と名付けられています。


なお、アルファベットの「O」以降は順次公開される予定です。

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in 乗り物, Posted by logu_ii

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