地震の揺れでどれくらいの人が起きるのか、健康管理ウェアラブル端末から収集したデータを分析
By bark
日本時間の2014年8月24日、アメリカのカリフォルニア州ナパ群南部でマグニチュード6.0の地震が発生しました。記事執筆時点で120人がけがを負い、ワインが特産品であるナパ郡ではワイナリーのたるや瓶が損壊し地元産業への影響が懸念されています。カリフォルニア州で過去25年以内に発生した地震の中でも最大級とされる今回の地震の規模を、ブレスレット型のウェアラブル端末を販売するJawboneが、地震発生時の睡眠データから分析して公開してしています。
How did the Napa earthquake affect sleep?
https://jawbone.com/blog/napa-earthquake-effect-on-sleep/
腕に装着するタイプの健康管理ウェアラブル端末「UP」の開発・販売を手がけるJawboneは、震源から「0~25mile(0~約40km)」「25~50mile(約40~80km)」「50~75mile(約80~120km)」「75~100mile(約120~160km)」に住んでいるユーザーの地震発生前後の時間帯における睡眠データを分析しグラフにして公開。
下記のグラフは、縦軸が全体のユーザーのうち起きていた人の割合、横軸が時刻で、「0~25mile(0~約40km)」「25~50mile(約40~80km)」「50~75mile(約80~120km)」「75~100mile(約120~160km)」に住んでいるユーザーは、それぞれ青・緑・紫・赤色の折れ線で示されています。9時頃から起きていた人の割合は減少していましたが、地震が発生した午前3時20分になると、震源に最も近いナパ郡・ソノマ群・ヴァレーホ・バークレーに住むユーザーでは、起きている人の割合が地震発生前の約18%から一気に約70%まで上昇、多くの人が揺れを感じて起きたことがわかります。その他のユーザーの動向を見ても、震源からの距離に応じて目が覚めてしまった人が多くなっています。
ただし、サクラメント・サンノゼに住んでいるユーザーのグラフでは、地震の発生時刻においても大きな変化が見られず、目が覚めてしまうくらいの揺れではなかったようです。また、Jawboneによると、震源から15mile(約25km)以内にいたユーザーで、地震で目が覚めてしまった人の内45%は、そのまま寝られずに朝を迎えてしまったとのこと。
一方、今回発生した地震ではカリフォルニア大学バークレー校の地震学研究所で試験中の地震早期警戒システムが、地震発生の10秒前に警報を発したことも注目を集めています。
地震学研究所は地震早期警戒システムが地震発生の10秒前に警報を発信したムービーを公開中です。
ShakeAlert at the UC Berkeley Seismo Lab for the M6 American Canyon Earthquake on 24th Aug 2014 - YouTube
赤い点が震源地で、画面の左には表示されている「10」は、地震が画面中央の少し下にある家のアイコンの地震学研究所に到達するまでの時間です。この時点で「ビービー」という警報が鳴り響いています。
残り9秒で地震の第1波である黄色いリングが震源から現われました。
地震到達まで残り8秒になると、第1波より強力な第2波を示す赤いリングが震源から出現。
そして警報が鳴り出してから10秒後に、強い揺れが地震学研究所に到達。
地震学研究所は他の大学と協力して地震早期警戒システムをアメリカの西海岸全体に導入する予定ですが、導入にはかなりの費用がかかる模様。地震学研究所のリチャード・アレン所長は「早期警報システムの本格導入には多くの予算を投入しなければいけませんが、実現できれば地震が到達するまでの間に、稼働中のエレベーターに乗っている人が次の階で降りたり、走行中の電車が減速したりするのに十分な時間を作れるしょう」と、早期警報システム導入の重要性を語りました。
早期警報システムは、地震が頻発する地域の地中にセンサーを設置し、震源地から発せられる最初の地震波を感知して、強力な第2波が到達するまでに警報を発信するというもので、日本やメキシコではすでに導入済です。数秒間という時間は、自動車の運転をやめたり、家から飛び出したりするのに十分な時間であり、地震の被害を可能な限り抑えるためにも、本格的な導入が待たれます。
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