心臓の不整脈をApple Watchと機械学習で特定することに成功

by LWYang

Apple Watchをがん患者の治療に役立てている病院が存在していますが、医師の診断前にApple Watchを使って不整脈を発見し、心臓病や脳卒中などの病気を防ぐ方法が研究されています。

HealthyBeats
http://yanchengliu.com/healthybeats

Can We Detect Atrial Fibrillation using Apple Watch Sensor Data
http://insighthealthdata.com/blog/HealthyBeats/index.html

不整脈の一種である「心房細動」は不整脈の中で最も患者数が多く、アメリカでは270万人の心房細動患者がいて、世界中では約7000~1億4000万人が心房細動の症状に苦しんでいると推測されています。心房細動は脳卒中の原因のひとつでもあり、脳卒中を起こすほど心房細動が深刻化してしまった場合、半数の患者が1年以内に亡くなっているというデータもあります。しかし、心房細動は投薬治療が可能なため、早期発見により脳卒中の危険性を75%も減らすことができるとのこと。


そこでデータ・サイエンティストのYancheng Liu氏が目を付けたのが、Apple WatchやAndroid Wearなどのウェアラブル端末です。心電図の過去データよりも大量に心拍数のデータが得られることから、ウェアラブル端末が収集した心拍数の測定値を、医療の現場で活用することを思いついたそうです。


Yancheng氏は、心拍数の測定値を分析して心臓病を予測する方法の研究を開始。まず最初に、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHealth eHeart Study研究所と共同で、ウェアラブル端末から1350万のデータを収集しました。そのうち10万のデータは心房細動の患者のものだったそうです。

以下のデータが、機械学習に通す前のラフデータ。


データが取得された時間を整理したり、健康な人と心房細動の患者を分けたりしたところ、グラフは以下のようになり、健康な人と心房細動の患者で異なる心拍数のパターンがあることが分かります。


これまでの研究から、健康な人は心電図のグラフのピークが0.003~-0.04Hzと0.04~0.15Hzで見られるのに対して、心房細動の患者ではピークがノイズのように頻繁に発生することが分かっています。そこでYancheng氏は、データを分析して心拍数のピークを見つけることで、健康な人と心房細動の可能性がある人を見分けることができると考えたとのこと。


ただし、集めたデータは健康な人の割合が高かったため、心房細動の患者41人と、健康で日頃から運動の習慣がある185人と、健康で特に何も運動していない274人の、合計500人分のデータを抽出してサンプルとして使うことにしたそうです。


Yancheng氏は、Extremely Randomized Trees(ERT)やRandom Forest(RF)といった機械学習技術を使って、データの精度(accuracy)、適合率(precision) 、再現率(recall)を分析。4つの機械学習技術の解析結果を比較したものが以下の表です。Yancheng氏によれば、K-nearest neighbors(kNN)という機械学習が最も解析スピードが速かったのですが、表左端のERTでは、心房細動の患者を50%の確率で特定することができ、心房細動を発症する可能性のある人は86%も発見することに成功。ERTが適合率や再現率の高さで一歩秀でていることが分かったそうです。


ERTで心房細動と特定された患者は、Apple Watchのみを使っていたそうで、Yancheng氏は「ウェアラブル端末のセンサーを使って収集したデータが、機械学習技術を使うことで医学界に大きな衝撃を与える可能性があり、医者が患者の心房細動を発見するのに役立つだろう」とコメントしています。

by Marcus Kwan

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in ハードウェア,  サイエンス, Posted by darkhorse_log