サイエンス

日本の24カ所の森で検証した「森林浴」の生理的効果とは?

By MorBCN

森林浴は樹木の茂る公園や森などの森林環境に身を置くことで、都会の喧噪から離れてキレイな空気や景色に触れることで心身をリフレッシュできると言われています。精神的な要素が大きいとされていましたが、生理的にはどんな影響があるのか、森林総合研究所が日本の24カ所の森で現地調査を行いました。

The physiological effects of Shinrin-yoku (taking in the forest atmosphere or forest bathing): evidence from field experiments in 24 forests across Japan
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2793346/

樹木はフィトンチッドと呼ばれる化学物質を発散していることから、精神的なセラピー効果以外にも森林浴の科学的効能が研究されています。2010年に森林総合研究所は従来の研究結果を再検討した上で、日本の24カ所の森林で森林浴の生理的影響を明確にするため現地調査を実施しています。

By LUKE ANDREW SCOWEN

検証方法は森林エリア・都市エリアに12名の健康な男子大学生を「検証者」として6名ずつ各エリアに送り、景色を見てもらう、またはウォーキングをしてもらい、唾液中に含まれるコルチゾールの量・血圧・脈拍・心拍数の変動を観測するというもの。実験の目的は全て検証者たちに伝達され、正確な検査結果を測定するためにアルコールとタバコは禁止したとのこと。また、クロスチェックのため、各6名のグループは翌日にエリアを交換して検証しています。

検証者たちの計測は朝食前、ウォーキング(10分~20分)の前後・景色観察(10分~15分)の前後に行われ、心拍数の変動などを示すRR間隔の変化はウォーキング中、および景色観察中に測定。その結果、都市エリアに比べて森林エリアの検証者たちから、ストレスによって発散されるコルチゾールの低下、血圧・脈拍の低下、副交感神経活動の活性化、交感神経活動の不活性化といった生理的影響が見られたとのこと。


これらの数値はストレスの低下を示しており、自然環境のリラクセーション効果を証明する説得力のある結果であるとのこと。同時に「緊張」「抑うつ」「怒り」「活気」「疲労」「混乱」の6つの尺度から気分や感情の状態を測定する日本語版POMS(ポムス)によって、検証者たちの心理的効果の測定も行われました。その結果、森林グループは「活気」以外の全ての項目で都市エリアよりも低い数値を示しており、生理的にも心理的にも森林浴のリラックス効果が実証されています。


疲れている時は外出よりも家でゆっくりしたくなるかもしれませんが、休日は「緑のある場所でゆっくりする」ことで身も心もリラックスできる、というわけです。

By Marina del Castell

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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