歴史ある食文化を持つフランスのレストランで使用されるようになったマークとは?


フランスはミシュランガイド発祥の地であり、その食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど世界的に見ても食への意識が高い国です。そんなフランスでは、今年の夏から一部の店舗にあるマークを記したポスターやステッカーが表示されるようになっています。

new sign on French menus
http://www.bbc.com/news/magazine-28313666

あまり知られていないことですが、食の中心地フランスであっても食材を一から調理するのではなく、調理済みの半調理品を温めて提供するレストランが多く存在しています。フランスの消費者団体が2013年10月に実施した調査では、レストランで提供されている料理の半分は実際に店舗で調理された手作りのものでしたが、ホテルの場合では85%が冷凍、もしくは真空パックになった調理済みの半調理品を使っているということが明らかにされています。食に意識の高いフランスにおいてこの事実がそのまま受け入れられるはずもなく、新たに「フランス料理文化の伝統を維持するための法律」が2014年初頭に制定され、同年7月に施行されました。

その法律で新たに制定されたマークがこちら。調理に使われるソースパンと家をミックスしたようなマークとなっており、このマークがメニューに表示されているお店では料理が実際に店内で調理されたことを示すようになります。逆に言えば、このマークが見つからないレストランでは半調理品を使っている、ということを意味します。


フランス政府の担当者は「このマークを見れば、外国人でも一目で『手作りにこだわったレストランである』と分かるはずです。フランスを訪れる外国人観光客の楽しみの1つは食事なので、このマークが及ぼす影響は大きいことは間違いありません」とコメントしています。パリのLa Terrasse MirabeauのシェフPierre Negrevergne氏は「現代では誰でもあらかじめ調理された食材を仕入れて切り分け、サラダを盛りつけるだけでレストランが経営できてしまう」と述べています。

しかしこの法には「どこまでが半調理品に含まれるのか?」という問題が存在しているのも事実。現行法ではパイ皮やシチューの半調理品を使うと認定マークを得ることができませんが、パン・パスタ・チーズ・ワイン・「議論を伴う生の食材」は冷凍などの加工がされていても例外とされます。この問題に関して、フランスの食に関する評論家の数人は怒りの声を上げており、評論家のJP Gene氏は「冷凍された海老とほうれん草で料理を作っても手作りだとすれば、それは失笑ものだ。このようなことが認められるのであればこの法の根幹である『地元で取れたものを地元で消費し、雇用を促進する』ということがないがしろにされてしまう」とフランスの日刊紙ルモンド上でこの例外規定を批判しています。


政府はこの法が施行されることによって「シェフが手作りの料理を増やすことにより、消費者の満足度が上がり、定期的にレストランを訪れる客が増加する」と考えていますが、必ずしもそのようになるとは言いきれず、Maîtres Restaurateursの会長のFrancis Attrazic氏は「それでも半調理品はレストランで使われ続ける」と考えています。「この法律ができたことによって『手作り』を深く考えることになったのは歓迎すべきことだ」とコメントしていますが、この法律の規定に従うと自分のレストランではアップルパイにしか認定マークを表示することができないとのこと。Attrazic氏は「認定マークをメニューに1つや2つしか表示出来ないのであれば、そのレストランのシェフは全てのメニューを半調理品に変えてしまい、仕事の手間を減らして楽にお金を稼ぐことになるだろう」とコメントしています。

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