オープンソースによる収益化への挑戦
「オープンソース」とは、無償で公開されており誰でも改良・再配布が可能なソースコードのことです。無償で公開されているだけあって、これ単体で収益をあげることはできません。しかし、そんなオープンソースのソフトウェアを扱うBig Switch NetworksやMySQLが収益化に挑戦したストーリーが、The New York Timesにて明かされています。
Open Source and the Challenge of Making Money - NYTimes.com
http://bits.blogs.nytimes.com/2014/07/23/open-source-and-the-challenge-of-making-money/
◆Big Switch Networks
コンピューター・サーバー用のLinux OSソフトのネットワーク設定で有名になったBig Switch Networksは、数年前にネットワーク・コントローラーの「Floodlight」を提案。
Floodlight OpenFlow Controller -Project Floodlight
それは無料かつクラウドベースのソフトウェアで、商用バージョンも存在し、商用ネットワーク製品界を覆すほど画期的なものでした。
ソフトウェアを開発する際にプロジェクトを外注したり、開発スタッフや商用製品を使わないのであれば、オープンソース・プロジェクトは非常に有用です。Big Switch Networksの最高経営責任者ダグ・マレー氏は「我々は人々がアプリケーションを作ることができる環境を提供しながら、自社製品のアップセルを行っており、オープンソースのソフトウェアと商用ソフトウェアの両方を提供してきました」と話しています。マレー氏によると、時間が経つにつれて多くの顧客がソースコードを書く必要のない「完成品」である商用ソフトウェアを望むことに気付いた、とのこと。
2014年7月21日にBig Switch Networksは新製品として「Big Cloud Fabric」という、あまり慣れていないエンジニアでもデータセンターを通じてネットワークリソースを割り当てられるという商用ソフトウェアを発表。Big Switch Networksはオープンソースの「Floodlight」を提供し続けていますが、会社にとっては小さな役割になりつつあります。
全てをオープンソースのもので賄うにはそれなりのスキルや知識が必要になるため、「無料のオープンソースで全てを構築する」ことが本当にコストを抑えられるのか、という問題があります。Big Switch Networksは、ネットワーク・コントローラーを2種類提供しており、1つはオープンソースの「Floodlight」で、もうひとつは有料で7月から提供を開始した「Big Cloud Fabric」。このように、オープンソースと商用製品の2つを提供することで、Big Switch Networksは収益化モデルを構築しているというわけです。
◆MySQL
「オープンソースとは下らないビジネスですか?」と問いかけられたMySQLの元最高経営責任者マーティン・ミコース氏は「その通りだ」と答えています。MySQLはオープンソースのデータベース管理システムを作成した企業で、2008年に10億ドル(約1025億円)でサン・マイクロシステムズに買収されています。
多くの人が協力すればオープンソースのメソッドはうまく機能しますが、それ単体で利益を出すことはできません。ミコース氏は「MySQLを立ち上げた時には気付いていなかったものの、オープンソースはビジネスモデルではなく『生産モデル』であり、不経済です」と語りました。
・関連記事
「オープンソースとは何なのか?」をレゴでわかりやすく説明したムービー - GIGAZINE
GoogleがオープンソースのAndroidから利益を生み出すカラクリとは? - GIGAZINE
オープンソースのプロジェクトを成功させるために避けるべき12のこと - GIGAZINE
OSやソフトウェアをオープンソース化して総保有コストを40%削減できた仏憲兵隊 - GIGAZINE
基本無料(F2P)ゲームで課金させる巧妙な収益化戦略が明らかに - GIGAZINE
・関連コンテンツ