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出会い系SNSがユーザーに無断で心理実験、相性が悪くても「最良の相手」と伝えられるとうまくいく

by Candida.Performa

Facebookがユーザーに無断で心理学実験を行い公式に謝罪しましたが、出会い系SNSのOkCupidはユーザーに無断で「相性の悪い2人に相性がいいと伝えるとどうなるのか?」「一部ユーザーのプロフィール文章を表示しないとどうなるのか?」という実験を行っていたことをブログで明らかにしました。

We Experiment On Human Beings! « OkTrends
https://www.gwern.net/docs/psychology/okcupid/weexperimentonhumanbeings.html

OkCupidの行ったとされる実験は「サイトから写真を一定時間、一切取り除いて、どのような変化があるのかを見る」「一部のユーザーのプロフィール欄の文章を非表示にする」「相性のいいユーザーに『相性が悪い』と伝えたり、相性の悪いユーザーに『相性がいい』と伝える」の3つ。

◆実験1:恋は盲目

by Karrie Nodalo

OkCupidはそもそもブラインドデートを成立させるアプリを開発していたのですが、スタッフが「天才的だ」と考えていたこのアイデアは大失敗し、1年半かけて開発したアプリは6カ月足らずでApp Storeから姿を消しました。

しかし、「相手がどんな人か分からないままデートできる」という自称天才的発想のアプリをリリースしたという事実を祝うため、2013年1月15日を「Love Is Blind Day(恋は盲目の日)」としてある実験を行います。現在公開している出会い系SNSのOkCupidから全ての写真を取りのぞき、「Blind(相手が見えない)」状態を作りだしたのです。

その結果、以下のようなことが明らかになります。

・写真が取り除かれた7時間は、通常の日と比べるとメッセージへの反応が44%も増加した
・会話は長く続く
・よりテンポ良くコンタクトが取られる
・端的に言えばOkCupidは改善された

以下が通常の日とLove Is Blind Dayにおける「1時間ごとの新しい会話が始まる数」のグラフ。通常の日は午前6時前に新たな会話の数が最低値になり、そこから増加していく傾向にありますが、Love Is Blind Dayは写真が取り除かれた午前9時に新たな会話がガクンと減り、そこから一定の相手と会話が続き、写真が掲載された午後4時に新しい相手との会話が急増します。つまり、写真が掲載されていない間は新しい相手探しをせずに1人の相手と会話を続けたということ。


しかし、これは「見た目は重要でない」という意味ではありません。午前4時に写真の掲載が再度行われると、相手が見えない状態で会話していた人々の魔法が溶け、新たな相手探しが始まったのです。「まるで真夜中のバーで突如明かりをつけたようだった」とブログにはつづられています。

この結果を受けてOkCupidがブラインドデートアプリを公開していた時のデータを振り返ってみたところ、「1度デートまでこぎ着けると、相手の見た目に関わらず多かれ少なかれ満足を得られ」ていたことが判明します。


また不思議なことに、女性の場合、相手がいわゆる「いい男」の方がデート後の満足感が少ないことも分かっています。OkCupidの仮説によると、これは「いい男」は「クソ野郎」である可能性が高いからとのこと。これらの傾向はオフライン・オンラインに共通する事項であることも分かっています。

◆実験2:写真はそんなに大事なのか?

by Markus Spiering

多くのウェブサイトと同様にOkCupidもユーザーのプロフィールを他のユーザーが評価するシステムを採用しています。しかし、他と少し違うのは評価が「個性」と「見た目」の2軸で行われることです。以下の画像の右端には「LOOKS(見た目)」と「PERSONALITY(個性)」の2つを評価する場所が設けられています。


見た目と個性の2つの軸で、人は人をどのように評価するか?という結果が以下のグラフ。横軸が見た目、縦軸が個性ですが、点の集合はほぼ比例のグラフを描いており、これはつまりユーザーにとって「見た目」も「個性」も同じだったということを意味します。


「プロフィールの写真と文章は、一体どちらがどれくらいの割合で評価に影響しているのだろうか?」ということで、OkCupidは何人かのユーザーのプロフィール欄の文章を消し、どのようなことが起こるかを観察しました。写真と文章をプロフィールで公開するユーザーと、写真だけをプロフィールで公開するユーザーの2種類を使って実験したところ、プロフィールの文章が評価に影響を及ぼす割合は10%未満であることが判明。


つまり、どんなに素晴らしい言葉を並べても1枚の写真には勝てない可能性があるということです。

◆実験3:助言の力

by Sean Molin

3つめの実験はOkCupidがユーザーに対して行う「相性診断」のメッセージについて。OkCupidはメッセージのやりとりの成功や会話の長さ・情報の交換などを分析し独自の方法でユーザー同士の相性を予測し、ユーザーに結果を伝えます。相性診断は果たして本当に機能しているのか?ということで、相性の悪い2人に「最良の相手」と伝えてみたところ、ユーザーは互いにメッセージを送り合ったとのこと。ただ、OkCupidはユーザーに「相性がいいので、メッセージを交換してみましょう」というアドバイスも送るので、これは特筆すべき点ではありません。

しかし、ただメッセージを送りあうだけでなく、相性がいいと伝えた人たちがそれ以上に親密になるという結果も出たとのこと。人々は「相性がいい」と言われると、本当に相性がいい場合でなくとも親密になれるのです。


この結果はOkCupidのメンバーを心配させました。OkCupidが開発した相性診断のアルゴリズムはゴミで、人々はただ暗示によって動いている可能性があったからです。そこで、OkCupidは次に「本当は相性がいいという結果が出ている2人に、相性が悪いと伝える」実験を行いました。

結果は以下のとおり。実際に相性がよい2人に「相性がいい」と伝えると、会話を始める確率は20%と高確率で、これは当然と言える結果です。しかし相性のいい2人に「相性は悪い」と伝えても2人が結びつく確率が高く、相性診断の意義に疑問が残る結果となりました。


一連の実験についてOkCupidは「インターネットを利用する以上、ユーザーはいつでもどのサイトでも何百という実験の対象となる」と説明しており、無断実験は物議をかもしているものの、Facebookがユーザーの感情を変えようとして実験を行ったのに対し、OkCupidは自社のサービスを改善するために実験を行っていて、両者は異なるという見方もあります。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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