4枚の翼を持つ恐竜の化石を発見、「非常に驚いた。このようなものは見たことがない」

中国東北部の遼寧省にある1億2500万年前の地層から、手足に合わせて4つの翼を持ち、長い尾を駆使して大空を飛んでいたとみられる恐竜「Changyuraptor Yangi(チャンユーラプトル・ヤンイー)」の化石が発見されました。これは、現在の鳥類が持つ特徴に似た構造を持つものであり、以前から唱えられてきた「鳥類は恐竜から進化したものである」という説を裏付けるものとして注目が集まっています。

A new raptorial dinosaur with exceptionally long feathering provides insights into dromaeosaurid flight performance : Nature Communications : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/ncomms/2014/140715/ncomms5382/full/ncomms5382.html

Four-winged flying dinosaur unearthed in China | Science | theguardian.com
http://www.theguardian.com/science/2014/jul/15/largest-four-winged-dinosaur-changyuraptor-yangi

最初にこの化石を発見した時の様子を「非常に驚いた。このようなものは見たことがない」と語る古生物学者のLuis Chiappe博士は、その特徴について「化石には鳥類の特徴である羽毛があったことがはっきりと残されており、しかも猛禽類の特徴である鋭い歯、鋭いツメ、そして長い尾をあわせ持っていました」と語ります。「Changyuraptor」という名前が中国語で「長い羽」を意味する「Chang Yu」から命名されていることが示すように、この個体には体に対して長い後尾が備わっているほか、前後4本の手足にも翼が備わっていたことが明らかになっています。

発見された化石からは、Changyuraptor Yangiの飛行性能はあまり高くなかったものと考えられています。化石から推測される体長は4フィート(約1.2メートル)、体重は9ポンド(約4.1kg)と鳥類で言えば大型に属する体を持つため、一般的には飛行速度が速くなる傾向があり、特に着陸時に大きな危険性を含むものとなっています。

調査チームは、Changyuraptor Yangiに備わっている長い尾がその飛行に大きな役割を持っていたと考えています。その役割についてChiappe教授は「飛行機の翼がそうであるように、長い翼が空気をとらえることで進行方向を決めたり、特に着陸の際には長い翼が揚力を生むことで速度を落とし、着陸に適した『機首上げ』の姿勢を作りだしていたものと考えられます」と話しています。

化石が発見された中国東北部に位置する遼寧省は、非常に多くの化石が良い状態で発見される「熱河生物相」が存在していることが知られています。これは、イタリアのポンペイで起こったような火山の噴火によって発生した火砕流などにより多くの生物が一瞬のうちに飲み込まれ、そのまま地中に「保存」されている地域であり、1つのエリアに恐竜類や哺乳類、初期鳥類など多岐にわたる生物の化石が発見されることも特徴の1つとなっています。この地層では酸素やバクテリアの働きが弱いために体組織の分解が抑制され、羽や臓器などの繊細な器官がより本来に近い状態で保存されています。

しかしそれでもなお謎のまま残されているのが、後ろ脚に形跡が残る「後翼」の存在とその働きだと研究チームは語っています。化石では脚が重なり合っているために詳細な確認は難しいようで、研究チームは「おそらく飛行時に大きな役割を果たしたはず」としながらも、その効果のほどは不明としています。

今回の発見は、生物が飛行可能な体へと進化する過程の一部を垣間見ることができる貴重なケースであり、大きな体を持つ恐竜でも空を飛べていたことが明らかにされています。Chiappe博士は「恐竜としては小さい部類に入りますが、空を飛ぶ生き物としては大型に属する生き物であることがわかりました。将来的には、さらに大きな飛ぶ生き物が発見されることになるでしょう」と語っています。