ソフトウェア

AIが上司のかわりに地下鉄エンジニアの勤務シフトを生成するという試み

By Will Cyr

ソフトバンクの孫社長が感情を持つロボット「Pepper」を発表したこともあり、AI(人工知能)技術がどんどん進歩しているわけですが、「テクノロジーの発展によって人間の職が奪われるのでは?」という不安も議論されているところです。香港の地下鉄では毎週1万人もの地下鉄エンジニアが夜間に修繕作業や整備を行っているのですが、人間では把握しきれない地下鉄網の修繕ポイントを見極めるアルゴリズムによって、毎日適切な作業場所へ効率的にエンジニアたちを配置するAIが登場しています。

The AI boss that deploys Hong Kong's subway engineers - tech - 04 July 2014 - New Scientist
http://www.newscientist.com/article/mg22329764.000-the-ai-boss-that-deploys-hong-kongs-subway-engineers.html


香港の地下鉄は「MTR」という地下鉄システムで運行しており、ロンドンやニューヨークより正確な時間で運行していることから、世界でもトップレベルの地下鉄と言われています。スムーズな地下鉄の運行を維持するため、夜間の時間帯にエンジニアが地下鉄網の修繕を行っているのですが、MTRシステムを運営するMTR株式会社は、エンジニアの配置を管理するネットワークをAIに一任する計画を進めています。

By Nebraska Oddfish

MTR用AIシステムを設計した香港大学のアンディ・チャン氏は「5~6のセクションに分類されているMTRシステムのエンジニア配置は、これまでひどく無秩序でした」と話しています。チャン氏のAIは地下鉄の全システムを把握し、必要な工事を最適なスケジュールで生成します。全知の視界によって人間には不可能なレベルで仕事を組み合わせたり、リソースを分配することができるとのこと。

予期せぬ緊急の修繕などは手動で予定を追加することができ、システムは追加された予定に合わせてさほど重要ではないタスクを再配置する機能を持っていますが、現段階では生成されたスケジュールは人間の承認が必要です。また、200の規則が機械可読言語にエンコードされているため、エンジニアが守らなければいけない地方条例で定められた騒音レベルに配慮したメンテナンス計画を立てることができるとのこと。週に2日はMTRがAIが生成した工事スケジュールのチェックにあたっており、効率的な作業分配によってMTRは年間80万ドル(約8153万円)を削減できると見積もっています。

By Metropolitan Transportation Authority of the State of New York

チャン氏は「単なるソフトウェアとの違いは、AIが経験を重ねて人間の知識を積み上げられることです」と主張していますが、エンジニアたちにとっては、コンピュータによって仕事の予定を割り振られるという「新しいアイデアになかなかなじめない」という問題が生じているとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ソフトバンクが感情を持つロボット「Pepper」を発表 - GIGAZINE

孫社長の夢だった感情認識ロボット初号機の「Pepper」に会って感じる技術の進歩 - GIGAZINE

急速に進化し続けるテクノロジーは人間から仕事を奪ってしまうのか - GIGAZINE

人間とロボットのガチンコバトルを描いたSFショートフィルム「AZARKANT」 - GIGAZINE

全自動自殺マシン「シャノンの最終機械(ウルティメイトマシン)」 - GIGAZINE

in ソフトウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.