「iOS 8」がAndroidにインスパイアされて搭載したらしい機能と動作ムービーまとめ
iPhoneやiPadはAppleが独自に開発しているオペレーションシステム(OS)のiOSで動作します。これまでにクラウドサービスのiCloudや音声認識機能のSiriが登場したり、大幅なデザイン変更が行われたりとさまざまな変化をとげてきたiOSですが、WWDC14にてついに詳細が明らかになった「iOS 8」ではどのような進化が見られるのでしょうか?
Apple - iOS 8 - Overview
https://www.apple.com/ios/ios8/
iOS 8の正式リリースは今秋予定となっていますが、アプリ開発者向けのベータ版はすでに公開されており、このベータ版iOS 8をインストールして実際に使っているところがムービーにて公開されています。
iOS 8 Hands-On - YouTube
◆Spotlight検索
ぱっと見はフラットデザインになったiOS 7と変わりませんが……
ホーム画面を下方向にスワイプすると出てくるSpotlight検索はiOS 7のものとは少し違います。
これまでのSpotlight検索だと検索バー内には「iPhone を検索」と表示されていましたが、iOS 8からは「Spotlight Search(Spotlight 検索)」と表示されることになるようです。また、検索する前の段階で画面上にSpotlight検索についての説明が表示されているのも特徴的。
実際にテキストを入力して検索すると、連絡先やインストールしたアプリの中から検索結果を探してくる、というこれまで同様の機能が見られますが……
iOS 8のSpotlight検索では、検索エンジンやWikipediaの検索結果が表示されたり、話題のニュースや位置情報と連動した検索結果を表示したり、iTunes Store・App Store・iBooks Storeの中を検索したりと、より賢くユーザーのニーズに合った情報を提供してくれるようになっています。
◆写真アプリ
写真アプリはこんな感じ。こちらも見た目はほとんど変化なしです。
フィルタも現在使用可能なものと大差ない感じ。
しかし、iOS 8では4000以上のAPIが新たに追加されており、これまで独立して動作していた各アプリをiOSが中継することでセキュアなままアプリ間の連携が可能になり、データや機能のやり取りができるようになります。なので、例えば写真アプリからInstagramのフィルタを使う、といったことも可能になるかもしれないわけです。
写真アプリには新しく「Light」と「Color」という項目が追加されており……
画面を左右にスワイプしてやれば……
写真の明るさを調整することも可能。
なお、WWDC14で行われたプレゼン時に表示されていたスライドによると、カメラアプリには個別にフォーカスと露出を調整する機能やカメラタイマー機能などが追加されるようです。
◆メッセージアプリ&キーボード
メッセージアプリは見た目が少し変化しており、予測変換が表示される部分のデザインが白色基調のものからグレー基調のものに代わっています。さらに、これまで「送信」ボタンがあった場所にはマイクアイコンが表示されており……
これをタップしてボイスメッセージを送ることも可能になっています。LINEやFacebookなどでもボイスメッセージを送ることができますが、ちょっとしたトレンドなのでしょうか?
また、iOS 8の予測変換機能は賢く進化しており、例えば自分の返信内容を予測して表示したり……
メールしている相手に合わせた予測変換内容を表示してくれる、とのこと。
さらに、メッセージアプリでは自分の位置情報を相手に伝えることも可能になります。
◆健康管理アプリ
新しく発表されたiOS向けの健康管理アプリが「HealthKit」と「Health」ですが、これらはHealthKitが主にサードパーティ製の機器と連携して使用することとなり、HealthではHealthKitで集めたあらゆる情報を一元管理することが可能となるようです。
これはHealthアプリで、個々の健康管理アプリのデータをまとめて管理できるというだけあってかなりたくさんの項目が並んでおり……
そのひとつひとつで詳細なデータを確認可能。さらにデータはグラフとなって見られるようで、データを共有したりダッシュボードに表示させておくことも可能な模様。
そんなあらゆる面が改良されまくっているiOS 8ですが、新機能の中にはライバルのAndroidにインスパイアされた機能も多々あるようです。
Great artists steal: The iOS 8 features inspired by Android | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2014/06/great-artists-steal-the-ios-8-features-inspired-by-android/
◆予測変換
iOS 8にて改善された予測変換機能は、これまでのものとは違い何かしらの質問に対する回答を複数用意するようなものに変化しました。例えば相手が「映画と食事どっちがいい?」と尋ねてきている場合、「映画」や「食事」といった予測変換が出てくるようになる、とのこと。Androidはバージョン1.5の頃から予測変換機能が搭載されていますが、これの予測変換は「A」には「B」を、「C」には「D」をといった決まった予測を表示するといったもの。
◆サードパーティ製キーボード
Appleはついにサードパーティ製のソフトウェアキーボードを受け入れる姿勢を打ち出しました。早速MetaMoJiがiOS8に対応した手書き日本語入力「mazec」を提供する意向を表明したり、日本語入力システムのATOKがiOS向けキーボードの開発を検討中とコメントしたりと、大騒ぎ状態となっています。これまでiOSではサードパーティ製のキーボードは使用できなかったので、例えばATOKはATOK Padというアプリをリリースし、アプリ内でだけATOKの日本語入力システムを利用できるようにしてきました。
これに対して、Androidはこれまたバージョン1.5の頃からサードパーティ製IMEを解禁しています。
◆アプリ内連携
iOSのアプリ内連携APIはAndroidのものよりも限定的なものです。しかし、これまでは例えば写真を編集してTwitterに投稿したいという場合、写真編集アプリで編集したのち、一度アプリを閉じてTwitterアプリを開いて写真を投稿する必要がありました。しかし、これからはアプリ内にシェアボタンが登場し、編集後一発でTwitterやFacebookなどに写真をアップすることが可能になるだろう、とArs Technica。
また、Appleはサードパーティ製のアプリをネイティブアプリのようにデフォルトでセットしておくことはないだろうが、Androidではサードパーティ製アプリでもネイティブアプリのように振る舞わせることが可能である、と両陣営の違いを説明しています。
◆Siriの機能拡張
Appleが音声認識アシスタントのSiriをリリースしたのは2011年のことで、Googleが音声認識アシスタントのGoogle Nowをリリースしたのはその1年後でした。Google Now Launcherは端末画面がオン状態の際に「OK Google」と言えば画面をタップすることなく起動可能ですが、SiriではiOS 8からデバイスが充電中の際に「Hey Siri」と話しかけると、Google Now同様に画面に触れずに起動可能になります。
また、iOS 8からはSiriに楽曲判別サービスのShazamが組み込まれることとなり、Siriに音楽を聴かせるだけでそれが何の歌なのか判別してくれるようになります。これまではApple内で音声認識に関する全てが行われていましたが、Shazamとの連携により楽曲を判別する際はデータを外部に転送する必要性が出てくるわけです。しかし、Googleは楽曲判別を含む音声認識に関する全てをGoogle内で行うので、Siriよりも速いレスポンスが期待できるのでは、とArs Technicaは予測しています。
◆通知センターから返信
Androidではバージョン4.1の頃から通知領域にボタンを2つまで追加することが可能でした。これに対して、iOS 8では通知センターからメールに返信したり、友達のポストに「いいね」したりすることが可能になります。この新機能は「Androidの通知領域よりも柔軟性が高く強力」とArs Technicaは高く評価しています。
◆App Storeにムービー
AppleはApp Storeのアプリ紹介スクリーンショットの中にムービーを表示可能にしました。なお、Google Playでは2010年からムービーの埋め込みが可能です。
◆ベータテスト
Googleはベータテストが大好きで、Appleよりもかなり前からアプリのベータテストシステムを導入しています。
Appleはアプリのテスト配信サービス「TestFlight」を開発するBurstlyを買収していましたが、iOS 8からはTestFlightをiOS内に組み込み、ベータテストがより容易に行えるようになる見込みです。
◆ウィジェット
Androidではバージョン1.0の頃からウィジェットが存在し、バージョン1.5からはサードパーティにも解禁されていますが、iOSではiOS 8からウィジェットが解禁となり、通知センター内での小さな小さなアプリ拡張のみですが、サードパーティもこれらを使用可能となります。
◆CloudKit
Appleが新しく公開したCloudKitは、開発者のアプリとiCloudをつないで認証をはじめとするこれまでサーバーに任せてきた部分をiCloudに負担させるというもの。これにより、開発者側はアプリに容易にAppleのクラウドを利用できるようになるとのこと。このサービスはストレージも伝送も無料で利用可能で、有料サービスの詳細は現在のところ明かされていません。
なお、Googleは自社製クラウドサービスとしてGoogle Cloud Platformを展開しています。
◆バッテリー使用状況
WWDC14のプレゼン内では話されなかったものの、iOS 8からはバッテリーの使用状況が詳細に見られるようになります。
Androidではバージョン1.6からバッテリー使用状況を詳細にチェック可能で、バッテリーの使用割合が視覚的に分かりやすいようバーが表示されています。
・関連記事
「iOS 8」発表、ユーザーエクスペリエンスが大幅に向上し、さまざまな機能を追加 - GIGAZINE
「iOS 8」のWWDC14で発表されなかった優れた新機能 - GIGAZINE
iPhone画面を下にスワイプすると出てくるSpotlight検索にMicrosoftのBingが採用されることが判明 - GIGAZINE
「iOS 8」などApple開発者イベントWWDC14で発表されることが期待されているモノまとめ - GIGAZINE
iOS 8・Mac OS X Yosemiteが発表された「WWDC14」情報まとめ - GIGAZINE
「iOS 8」のマップは公共交通機関の乗換案内機能が実装される見込み - GIGAZINE
「iOS 8」搭載iPadはApple初の画面分割によるマルチタスク機能導入の可能性あり - GIGAZINE
・関連コンテンツ