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図書館にあった人間の皮膚で装丁されているという「人皮装丁本」が本物だと判明

by N i c o l a

ハーバード大学のホートン図書館にある「よく見ると毛穴まで確認できる」という人皮装丁本が、調査の結果、99.9%の確率で装丁に人間の皮膚が使われていることが判明しました。これまでハーバード大学では3冊の人皮装丁本と思われる書籍が発見されていたのですが、2014年4月にそのうち1冊がニセモノであったと発表されていました。

» Caveat Lecter Houghton Library Blog
http://blogs.law.harvard.edu/houghton/2014/06/04/caveat-lecter/

» Bound in human skin Houghton Library Blog
http://blogs.law.harvard.edu/houghton/2013/05/24/bound-in-human-skin/

今回本物だと判明した本はフランス人小説家であるArsène Houssaye氏が死後の世界について書いたものを、精神科医であり愛書家でもあったLudovic Bouland氏にプレゼントしたところ、Bouland氏が脳卒中で死んだ女性の皮膚を使って装丁したというもの。


本にはBouland氏の手によって「人間の皮膚でできた羊皮紙で包まれたこの本は、皮膚本来の優雅さを損なわせないため、刻印などの装飾が施されていない。じっと見ると、毛穴を簡単に認識できるのだ。私はある女性の背中の皮膚をとっておいたのだが、人間の魂について書かれたこの本は、人間の皮膚でもって装丁するのにふさわしいと言える。保存によって皮膚の色が変わり、別の様相を見せるのも興味深い。私はもう1つ、これよりも小さい、人間の皮膚で装丁された本を持っているが、日に焼けてウルシの色に変化している」と記されています。


上記の文章の中にある「もう1冊の本」とは1663年に発行されたSéverin Pineau氏による「De integritatis & corruptionis virginum notis」という本で、イギリスのウェルカム図書館に保存されています。これは一見すると普通の本。


細かな装飾が施されています。


中にはやはりBouland氏の手書き文章がありました。


今回の人皮装丁本がハーバード大学で発見された時点では本当に人間の皮膚が使われているか定かではありませんでした。そこで、調査チームは装丁からいくつかのサンプルを採取してタンパク質の同定方法であるペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)などによって調査を行い、本が99.9%の確率で人間の皮膚で装丁されていると結論づけたとのこと。調査を行ったBill Lane氏は「PMFによる調査では、この装丁が羊や牛など一般的な装丁とは明らかに違い、人間のタンパク質データと合致しました。テナガザルなど人間に極めて近い霊長類である可能性も捨てきれませんでしたが、液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析を用いてアミノ酸配列を断定し、人間以外の皮膚はほぼあり得ないという結論に至りました」と語っています。

人間の皮膚を使って装丁された「人皮装丁本」は少なくとも16世紀ごろには登場していたと考えられており、17世紀には製本技法が確立しました。当時は、死刑になった犯罪者の体が科学の発展に使われると同時に皮膚は製革業者や製本屋へと渡されていたため、犯罪者の皮膚を使って装丁が行われたり、あるいは亡くなった家族の皮膚を使って思い出として本を装丁したりすることもあったとのこと。「人間の皮膚で装丁した本」と聞くと陰惨な想像をしてしまいますが、当時の感覚としてはそんなに変わったことではなかったようです。

なお、2006年の段階ではハーバード大学には3冊の人皮装丁本があると考えられていたのですが、調査によって残り2冊は羊皮でできていると判明。2冊のうち1冊には「この本の装丁はWavuma族によって、1632年8月4日に生きたまま皮膚をはがされた、私の親友、Jonas Wrightが残したものである。この本はMbesa王が私に下さったもので、これは貧しかったJonasの持ち物の中でも意義のあるものであった。Jonasの皮膚は本を装丁するのに充分であった。冥福を祈る」という意味深な記載があったため調査してきたそうなのですが、最終的に本物だったのは他の本だったというわけです。

852 RARE: Old Books, New Technologies, and “The Human Skin Book” at HLS
http://etseq.law.harvard.edu/2014/04/852-rare-old-books-new-technologies-and-the-human-skin-book-at-hls/


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in メモ,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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