何百もの格納可能な傘を超高層ビルにつけて太陽光を遮るプロジェクト
非常時に建物ごとごろごろ移動できる回転式ビルなど奇抜すぎる建物のコンセプトデザインにはいろいろありますが、コンセプトデザインに留まらず、実際に「何百もの傘を壁側面に設置して太陽光を遮る」という高層ビルを建てる計画が進行しています。
REX – Architecture PC
http://rex-ny.com/work/mhq
建築会社のREXがデザインしたのは2つのビルが並ぶ形の高層建築。一見普通の建築物に見えますが……
太陽光をダイレクトに受ける時には壁側面に設置された何百もの傘が開きます。
これはビルの片面にだけ傘が開いた状態で設置されているのではなく、日が昇る時間や沈む時間に合わせて傘が開いたり閉じたりする仕組み。太陽の動きに合わせて常に片側の傘が開くように設計されており、傘の開閉は約60秒で行われます。
どういう仕組みになっているのか、ということは以下のGIFアニメーションを見るとよく分かります。閉じた傘は建物の中に収納されるので、傘が開いていない時は一見何の変哲もないビルに見えるわけです。
オフィスの中はこんな感じ。左が傘を開いていない時で、右が傘を開いている時。
傘は重なりあっており、遠くから見るとマシュラビーヤという中東の格子窓に似た雰囲気になります。
以下のようにビル側面をみっちり覆っています。
傘にはLEDライトが設置されており、夜になると2つのビルの側面を使って映像を映しだすことも可能。街中からテレビを見るようにしてコンテンツを視聴できます。
高層ビルは中東のメディア会社が100m×22mの細長い自社ビルを改築したいとREXに依頼したことを出発点としているため、ビルの内部には通常のオフィスの他にスタジオも存在しています。
ビルの上部がオフィスとなっており、その下に放送スペース、ニュース部門、コモンスペースが続き、地下にはスタジオが設置されています。
コモンスペースはユニークなデザイン。
ロビー
カフェテリア
高層ビルは太陽の動きに合わせて以下のような感じで影を作ります。夏場の中東は日差しが厳しいので、ビルは近隣に涼しい場所を提供できるという役目も果たします。
ツインタワーは中東の伝統的な風景にマッチすることを前提にデザインされたもの。なお、クライアントであるメディア会社の名前や建築にかかるコストなどは公開されていません。
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