取材

スマホと連携する電動バイク「テラモーターズ A4000i」に試乗してきました


テラモーターズ(東京都・渋谷区)が量産車としては世界初の「スマートフォンと連携する」電動バイク「A4000i」を2014年夏に日本やヨーロッパで発売することになりました。AppleがCarPlayを発表しGoogleがAndroid搭載自動車の開発に向けて団体を設立するなど、自動車とスマートフォンの連携の波が押し寄せる中、電動バイクの世界もスマートフォン連携が今後の主流となりそうです。A4000iはどのようなバイクなのか、発売間近のプロトタイプに試乗させてもらいました。

A4000i 特徴 | テラモーターズ株式会社
http://www.terra-motors.com/jp/a4000i/


A4000i外観チェック
東京湾岸エリアにあるゆりかもめ・テレコムセンター駅に到着。


お目当ては、この電動バイク・テラモーターズ「A4000i」。


A4000iはテラモーターズが2014年夏に世界で同時発売する予定の電動バイクです。


端正な顔立ち。


ウインカーもすべてクリアレンズで、スマートな印象です。


ホワイトの車体に水色のラインがよく映えます。


前面にはテラモーターズのエンブレム。エンブレムがステッカーなのは残念なところ。


フロントサスペンションは正立タイプ。


ブレーキはニッシン製。


ブラックに塗装されたホイールは、デザイン性に優れています。


フロントフェンダーにも微妙な凹凸。


ハンドルの中央部にはデジタル式のスピードメーターとスマートフォンホルダー。A4000iは「スマホと連携する電動バイク」とのこと。


カバーでスマートフォンを雨から守ります。


丸みのあるミラーはまずまずの視認性。


シンプルなハンドグリップ。


ハンドル左にヘッドライト(ハイビーム・ロービーム)、ウィンカー、ホーンボタンを装備。


ハンドル右のボタンは「ブーストボタン」で、モーターの出力を一時的に高めることが可能です。


キーホールはシャッター付き。キーの後ろの部分を丸いくぼみに入れて回せば……


シャッターが開きます。


キーを挿すとこんな感じ。


キーホール左のボタンを押せば……


シャッターが閉まる仕組みです。


ハンドル下には小物入れ。


フックは買い物したビニール袋を引っかけるのに便利。


ステップ部分はプラスチック製。


ロゴがプリントされています。


車体側面にはタンデムステップ。


センタースタンドも標準装備です。


これは左サイドから見た様子。片持ちスイングアームにはモーターが内蔵されています。リアサスペンションは左側のみ。


「A4000i」のステッカー。


シート下にはぽっかりと開いた穴。これは充電アダプターを挿入するために開けられています。


原付二種なので二人乗りもOK。シートの後ろには荷台兼タンデムバーが装着される予定ですが、今回の撮影車両は市販間近のプロトタイプなのでタンデムバーは付いていませんでした。


リアブレーキ。


フレームを補強するバー。


車体右サイドはこんな感じ。


インホイルモーター式のリアタイア。


ホイールカバーがオシャレです。


ホイールハウスにはタイヤをよけるくぼみ。


原付二種を示すピンク色のナンバープレートの上には小さなフェンダーを装備しています。


リアビューはスッキリした印象。


テールランプはLEDです。


試乗してみた
さっそく試乗させてもらうことに。キーをONにしてサイドスタンドを下ろせば電源が入る仕組みで、発進できる状態になります。


デジタルメーターは左に走行距離、右に時速が表示されます。


A4000iを操縦する様子は以下のムービーで確認できます。

テラモーターズの電動バイク「A4000i」に乗ってみました - YouTube


収納&充電スタイル
鍵を左にめいっぱいひねるとシートのロックが解除されます。


シート下にはバッテリーと収納スペース。いわゆる「半ヘル」なら収納可能ですが、フルフェイスやジェットタイプのヘルメットは収納できません。


水色の取っ手がついたリチウムイオンバッテリー。


コネクタを外して……


ぐいっと上に引き抜きます。バッテリーは約16kgとかなり重め。


取り外したバッテリー。このバッテリーだけの状態でも充電は可能とのこと。


これが充電用のACアダプター。電源は家庭用100VでOK。


熱を持つためか、ファンが内蔵されています。


16kgのバッテリーを取り外すのはかなりの重労働。そこで、バッテリーは車体に積んだままシート下のジャックを使って充電することもできます。


こんな感じでACアダプターを差し込んで充電します。フル充電に必要な時間はおよそ4時間半とのこと。


いろいろ聞いてみました
テラモーターズ株式会社・事業開発グループの大橋哲也さんにA4000iについて、いろいろと聞いてみました。


GIGAZINE(以下、G):
まずは、試乗させていただいたA4000iの発売時期についてお聞かせください。

大橋哲也(以下、大橋):
A4000iは2014年6月末に日本やイタリアなどの欧州やアジアで世界同時発売する予定で、11月のミラノモーターショーへの出展が決まっており、開発は現在、最終段階という状態です。

G:
価格はどれくらいになる見込みでしょうか。

大橋:
日本での販売価格は充電器込みで45万円(税込)の予定です。

G:
スクーターで45万円とは、かなり高めの金額ですね。

大橋:
A4000iは、弊社の電動スクーターでも最上位モデルという位置づけです。(※テラモーターズは電動バイク「SEED」を12万2000円からで販売中)

G:
世界同時発売とのことですが、価格も同じですか。

大橋:
各国で関税が異なるので完全に同じというわけではありませんが、どの国でも45万円前後になる予定です。

G:
アジアなどの新興国ではスクーターとしては高価格帯に位置しますよね。

大橋:
そうですね。しかし、例えばベトナムではベスパなど3000ドルを超える高級スクーターの需要も全体の約5%くらいあります。新興国の富裕層には高品質のスクーターに対する根強い人気があるのです。テラモーターズとしては、高品質スクーターの市場にA4000iを投入する考えです。


G:
電動バイクなのでガソリンは一切使わず、家庭用の100Vコンセントで充電できるということですが、燃費というか電費はどれくらいでしょうか。

大橋:
従来のガソリンバイクと比較して10分の1の燃費です(※スクーターの燃費を40km/L、ガソリン価格を142円、充電は東京電力「朝得プラン」の夜間電力で算出しているとのこと)。毎日20キロメートルの距離を5年間走行した場合、約11万円のコストダウンになります。

G:
試乗してみて想像以上にスムーズに走るのに驚きました。特に音が静かですね。

大橋:
ありがとうございます。

G:
A4000iの最高速度と航続距離はどれくらいでしょうか。

大橋:
最高速度は時速65キロメートル、定置走行での航続距離も65キロメートルです。

G:
A4000iは一般的な原付バイクよりも大柄ですね。ナンバープレートはピンク色でしたが、原付二種という扱いでしょうか?

大橋:
はい。A4000iは定格出力が600Wを超え、かつ1000W以下という第二種原動機付自転車に分類されます。このため、50ccの原付バイクにある「法定速度時速30キロメートル」「二段階右折が必要」という制限が取り払われています。税金面では125cc以下のバイクと同じ扱いです。

G:
A4000iはどこで販売する予定ですか。

大橋:
メンテナンスができるところということで、バイク店はもちろんですが、自動車のディーラーなども検討しており現在、交渉中です。

G:
家電量販店も可能性ありですか。

大橋:
基本的にA4000iはメンテナンスフリーですが、故障したときに対応できる必要があるので難しいかもしれません。

G:
テラモーターズは日本の企業ですが、A4000iは国内生産ですか?

大橋:
設計・開発は日本で行っていますが、製造はベトナムで行っています。


G:
どうしてベトナムなのですか?

大橋:
ベトナムではスクーターをはじめバイクが非常に人気で、年間で350万台のバイクが販売されているバイク大国なのです。ちなみに日本国内でのバイクの販売台数は年間約40万台ですからベトナムの市場規模が大きいことが伝わると思います。ベトナムで製造することはコスト面でのメリットも大きいのですが、バイクが非常に人気のある国なので、バイクの製造技術もかなり高度で優秀なのです。

G:
なるほど。よく売れるからバイクの製造業が盛んなのですね。電動バイクはベトナムでも人気があるのですか?

大橋:
実は、ベトナムでは電動バイクの人気が非常に低いのです。人気が落ちたというのがより正確かもしれません。

G:
人気があったのに落ちたと?

大橋:
はい。ベトナムでは電動バイクの需要が比較的早く高まったのです。その大きな原因は、中国から非常に安い電動バイクが輸入されたためでした。2007年のピーク時には年間12万台の電動バイクが中国から輸入されました。

G:
人気が落ちた理由はなんでしょうか?

大橋:
それも中国製の電動バイクです。中国製の電動バイクは非常に安いのですが、やはり壊れやすいものも多く、中には粗悪品というべきものもあり、輸入された電動バイクの多くが壊れました。しかし、アフターメンテナンスはほとんどされなかったようです。このため、ベトナムでは電動バイクは「安かろう悪かろう」というイメージが強いのです。「安かろう悪かろう」という電動バイクのイメージを覆すためには、スマホと連携するA4000iのような、斬新なイメージを与える製品で市場参入する必要があります。

G:
なるほど。A4000iは「スマートフォンと連携する電動バイク」とのことですが、どのような機能がありますか。

大橋:
A4000iはiOS用の専用アプリを使ってリアルタイムの消費電力、バッテリー残量を表示でき、走行距離・平均速度などの走行データのログを取ることができます。iPhoneとA4000iの接続にはWi-Fiを利用しています。現在、社外の企業と共同でナビなどのいくつかの機能を開発中です。スマートフォンアプリはアップデート可能なのが利点なので、今後、色々な機能を追加していく予定です。


G:
例えばどんなアイデアがありますか。

大橋:
ビジネス用途としては配車管理があります。A4000iが今どこを走っているのかリアルタイムで追跡できます。また、レンタルバイクとしてA4000iを使い、スマートフォンで課金を管理するというようなアイデアもあります。

G:
専用アプリはiOSだけですか。

大橋:
発売時にはiOSアプリだけの対応ですが、将来的にAndroidアプリのリリースも検討しています。


G:
東日本大震災以降、「電気自動車を緊急時のバッテリーとして活用できないか?」という議論があるのですが、A4000iはバッテリーへの転用は可能でしょうか。

大橋:
テラモーターズでもバッテリーへの転用の必要性は理解しており対応を検討中です。実際、電気インフラの整っていない新興国では緊急用電源は非常に重宝されます。SEEDはバッテリーへの転用が可能で、A4000iも技術的には十分可能です。

G:
本日はありがとうございました。

感想
A4000iは電動ならではの高トルク特性のため非常にスムーズな発進加速で、大柄な車体のおかげで高い走行安定性を実現していました。航続距離65キロメートルなので通勤に使うことも十分可能で、シティコミューターとしての「チョイ乗り」用途でも便利。スマートフォンアプリも今後さらに機能を追加していくとのことなので、A4000iは「進化する電動バイク」と言えそうです。

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in レビュー,   取材,   モバイル,   ソフトウェア,   ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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