なぜAmazonプライムは約2000円もの値上げができるのか？

By Jonathan Silverberg

Amazonが提供している有料会員制プログラム「Amazonプライム」は、年会費を支払うことで有料の当日配送サービスを無制限に利用できるなどの特典付きプログラム。アメリカでは年会費79ドル(約8000円)で提供されていましたが、9年ぶりにAmazonプライムの年会費を20ドル(約2000円)値上げして、99ドル(約1万円)で提供することをアメリカのAmazonが発表しました。

Amazon.com Help: Amazon Prime and Amazon Student Prime Membership Fee Changes
http://www.amazon.com/gp/help/customer/display.html?nodeId=201482600

Here's why Amazon Prime can afford to raise prices | The Verge
http://www.theverge.com/2014/3/14/5508670/amazon-can-hike-prices-on-prime-because-few-real-competitors-exist

アメリカのAmazonプライムの特典は以下のようになっており、年会費は79ドル(約8000円)で提供されています。

・翌日配送サービスが無制限で使い放題
・配送に約1週間かかる代わりにAmazon MP3ストアの1ドル(約100円)分のクレジットが付与される「No-Rush Delivery」
・映画＆TVのストリーミングサービスの無料視聴
・Kindleで毎月1冊の本を読み込める「オーナーライブラリ」

そんなアメリカのAmazonプライムは、2014年4月17日から年会費が99ドル(約1万円)へ変更となる予定で、学生向けのプライムプログラムAmazon Studentも39ドル(約4000円)から49ドル(約5000円)への値上げが発表されています。なお、日本では今のところAmazonプライムの値上げなどは発表されていません。

日本のAmazonプライムは年会費3900円で提供中で、追加料金500円で当日配送してくれる「当日お急ぎ便」や350円で指定日時に配送できる「お届け日時指定便」の無制限利用、Kindleで対象の本を毎月1冊ダウンロードできるという内容となっており、価格・特典内容ともにアメリカと異なります。

The VergeはAmazonが9年ぶりに20ドルもの大幅な年会費の値上げを実施することについて、オンラインショッピングストアの「ShopRunner」は無料で翌日配送を行っていますが、人気TV番組「デクスター」をHDで配信することはできないなど、Amazonプライムに対して競合するサービスが他にないことを挙げています。

配送にかかる燃料費や税金が上昇していることがAmazonプライムの値上げ要因となっていますが、iPadやNexusといった強力なライバルが存在するKindleタブレットや、Microsoft・Rackspaceと同程度の価格で提供しているアマゾン ウェブ サービス(AWS)のコストは変更することができないことも、大幅な値上げにつながっているとのこと。

By David Jones 大卫 琼斯

なお、Amazonの株価は発表後も上昇しており、Wedbushのアナリストのマイケル・パッチャー氏は「多くのAmazonプライムユーザーは中止すると話していますが、大半の人は継続して高いクレジットカードの手数料と同様に慣れていくでしょう」と推測しており、要するにAmazonがあまりにも強すぎるため、競合がいなくなっていることが値上げを可能にする最大の原因である、ということです。日本でもAmazonはアソシエイトの紹介料率を引き下げるなどの改悪を繰り返したり、「あわせ買いプログラム」開始によって全品配送無料を事実上終了しており、Amazonの立場が強くなるにつれていろいろなことが変わっていっています。