Wikipediaが政治家によって訴えられた編集者を法的に支援すると発表
By Wonderlane
23歳の弁護士訓練生Dimitris Liourdis氏は、ギリシャのTheodore Katsanevas議員に関することをWikipediaに書いたことで訴えられ、刑罰と賠償請求に問われています。これを受けてWikipediaを運営するWikimedia財団は、「表現の自由」に反しているとしてLiourdis氏の訴訟を法的・金銭的に支援することをブログで発表しています。
Wikimedia Foundation supports Wikipedia user subject to defamation lawsuit in Greece — Wikimedia blog
http://blog.wikimedia.org/2014/02/14/wikimedia-foundation-supports-wikipedia-user-subject-to-defamation-lawsuit-in-greece/
Wikipedia mounts courtroom defense for editor sued by politician | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2014/02/wikipedia-mounts-courtroom-defense-for-editor-sued-by-politician/
ギリシャの政治家であるTheodore Katsanevas氏がギリシャ語版Wikipediaに書かれた自身の記事が名誉棄損にあたるとして、編集者の「Diu」こと23歳の弁護士訓練生Dimitris Liourdis氏に対して訴訟を起こしています。Wikimedia財団は「ギリシャのWikipediaコミュニティで適切と判断されていた記事である」として、言論の自由を守るためLiourdis氏に弁護士をつけ、弁護士費用の支援プログラムを適用して支援することを発表しています。
Katsanevas氏はギリシャのアンドレアス・パパンドレウ元首相の義理の息子に当たります。問題となっているのは、亡くなったパパンドレウ元首相が遺書の中でKatsanevas氏のことを「政治的野心のために私(パパンドレウ氏)を利用する『一家の恥』だ」と表現し、そのことがWikipediaの記事に書かれていたこと。
しかし、「一家の恥」のコメントはWikipediaだけでなくギリシャの報道機関や、イタリアのコリエーレ・デラ・セラ、アメリカのサンフランシスコ・クロニクルやシカゴ・トリビューンなどの新聞で広く報道されているため、Wikimedia財団の弁護士ミシェル・ポールソン氏は「言論の自由を脅かす不当な訴訟であり、Katsanevas氏が訴訟を再考することを望みます」とコメントしています。
By diane cordell
Ars TechnicaはLiourdis氏に対してメールでのインタビューを行いました。Liourdis氏によると、ポールソン弁護士が裁判官にWikipediaの基本的な仕組みと「信頼できるソースで書かれた内容であれば、問題となっている文章をLiourdis氏が削除したとしても別の編集者が元に戻すため、完全な削除は不可能です」ということを説明したのですが、裁判官は説明に耳を貸さず、Liourdis氏に問題の文章を削除するよう指示してきたため、その通りにしたとのこと。しかし、ポールソン弁護士が指摘したように、別の編集者がリバート(以前の版への巻き戻し)を行ったため、記事には「一家の恥」の記述が復活した状態になっています。
Liourdis氏をWikimedia財団が支援すると表明したことを知らせるブログ記事にはKatsanevas氏に関するコメントが増え続けており、今まで存在しなかった「Theodore Katsanevas」の英語版記事が作成されています。また、ギリシャ語版Wikipediaのコミュニティでギリシャ語版Wikipediaのトップページにはこの件に関する説明記事へのリンクが設置され、Katsanevas氏の問題はさらに世界中に知られることとなりました。
By CLUC
Wikipediaの記事中から該当テキストを「除去」することに関する仮差し止め命令についての審議は2014年3月11日に行われます。Katsanevas氏はLiourdis氏に対して20万ユーロ(約2800万円)を請求中で、裁判が滞りなく進めば2016年に決着する予定です。
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