「ダイソンによる特許侵害訴訟によってブランドイメージが傷つけられた」とサムスンが10億円の損害賠償を請求
サムスンがイギリスの家電メーカー・ダイソンに対して100億ウォン(約10億円)の損害賠償を請求しました。その理由は、「特許侵害を理由にサムスンを訴えたダイソンの訴訟提起によってサムスンのブランドイメージが傷つけられたから」というものです。
Samsung files $9.43mil. suit against Dyson
http://www.koreatimes.co.kr/www/news/tech/2014/02/133_151684.html
Dyson denounced as 'patent troll' by Samsung (Wired UK)
http://www.wired.co.uk/news/archive/2014-02/17/dyson-samsung-lawsuit
サムスン電子が日本の地方裁判所にあたるソウル中央地方法院に対して、「ダイソンが業務妨害行為により同社の名誉・信用を傷つけることでマーケティング活動を阻害した」ことを理由に100億ウォン(約10億円)の損害賠償を求める訴えを起こしました。訴状によると、ダイソンによる度重なる特許権侵害の訴えによってサムスンは「模倣者」に仕立て上げられブランドイメージが傷つけられたとのこと。
サムスンとダイソンの間ではこれまでにも特許侵害に関して法廷での争いがあり、2009年にはダイソンがサムスンによる特許侵害をイギリスの裁判所に提訴し59万ポンド(約1億円)の損害賠償が認められています。ダイソンは2013年8月にも、サムスン製のサイクロン型掃除機「MOTIONSYNC」がダイソンの持つ特許を侵害していることを理由に訴訟を起こしています。
こちらがそのサムスン製「MOTIONSYNC」
2013年8月の訴訟は、サムスン側が先行技術の存在を示したためダイソン側が訴訟を取り下げることで終了しました。しかし、サムスンの広報担当者はコリアタイムズに対して、「ダイソンの根拠のない訴訟によってサムスンのマーケティング活動は大きく影響を受けており、もはや耐えることはできません」と話しており、今回の報復的な損害賠償訴訟の提起に至ったようです。
今回のサムスンの報復行為については、「100倍以上の企業規模を誇るサムスンがダイソンを訴えるのは稚拙」という評価もちらほら見受けられます。また、サムスン側はダイソンを「パテント・トロール」と表現していますが、サイクロン型掃除機のパイオニアとして市場をリードするダイソンに対してパテント・トロールという表現が似つかわしくないことは明らか。「今回のサムスンの報復行動は公園の砂場を支配するいじめっ子のようだ」とWIRED(UK)は表現しています。
なお、ダイソンのマックス・コンツCEOは2013年9月にドイツ・ベルリンで開催された家電見本市「IFA」で韓国メディアに対して、「(サムスンのMOTIONSYNCは)詐欺的な製品だ」と評して話題となっていました。ダイソンは、自動車機器メーカーとして市場最大シェアを持つボッシュやライバル家電メーカーであるVaxなどを相手にしても一歩も引かずに訴訟を繰り広げ、自社の知的財産権を強固に守り抜く姿勢で知られています。サムスンの損害賠償訴訟に対してダイソンがどう対抗していくのか注目です。
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