1700台のLinux搭載ノートPCが高校の生徒全員に配布される
アメリカ・ペンシルバニア州にある高校の一部では、日本の高校生に相当する9年生から12年生の生徒全員にノートPCを配布しました。PCにはLinux OSが搭載されているのですが、「なぜPCを配ったのか?」という運営方針と狙いについて地域の技術責任者がコメントを語っています。
Pennsylvania High School Rolls Out 1,700 Linux Laptops to Students | Linux.com
http://www.linux.com/news/featured-blogs/200-libby-clark/761499-pennsylvania-high-school-rolls-out-1700-linux-laptops-to-students
こちらが配布前のPCが並べられた様子。配布されたPCの総数は1725台ということで、校内の部屋を埋め尽くすほどの大量のPCがうず高く積まれている様子を見ることができます。
マウスやフラッシュメモリなどの周辺機器やストレージ、キャリングケースなども一緒に配布されることになっていたため、部屋の中は大変な状況に。
もちろん、梱包用のダンボールの残骸も大変なことになっています。
生徒一人一人にPCのセットが手渡されていきます。
おびただしい数のPCです……。配布されたPCはAcer製のTravelMate TMB113で、OSにはUbuntu 13.10が搭載されています。
配布後に5分程度の簡単なオリエンテーションが実施され、あとは自由に自分のPCを使ってよいことになっています。アクセス権限の制限もないため、マシン本体をいじくり回すことも可能です。
慣れない生徒にはトレーニングコースが用意されていたり……
トラブルシューティングの実演なども行われています。これらのサポート陣も生徒の中から選ばれたメンバーが担当しています。
この取り組みについて、Penn Manor学区のIT責任者であるチャーリー・ライシンジャーさんは「配布したPCを使ってコンピューターの仕組みを理解してもらいたいと考えています。そしてさらにサーバーを運営してみたり、プログラミング言語であるPythonを学んだり、または単純にGIMPのようなソフトウェアに慣れ親しんでもらいたいと思っています」とその狙いについて語っています。
他の多くの地域では「とりあえずPCを与えて使わせる」というあいまいな方針で運用が行われた結果、見向きもされなくなったPCがゴミのように扱われてしまうという状況がある中で、ライシンジャーさんは「私が恐れていることは、コンピューティングのアートが失われてしまうこと、そして次なるエンジニア世代が失われてしまうことです。生徒に何を学ばせたいかという理念・哲学を明確にしたうえで、自由にPCを触って学んでほしい」という方針を打ち立てています。
Penn Manor学区では以前からサーバー運営やウェブサイトのプラットフォーム提供、学習マネジメントシステムの運営などのバックボーンとしてLinuxを活用してきていたため、生徒にPCを配布することが決まった際にLinuxを採用することは自然な流れだったとのこと。
このプログラムの興味深い点は、運営にも生徒たちの力を活用しているところです。生徒の中から選ばれたメンバーが、システムのセットアップからその後のサポートを担当することになっています。
メンバーの一人、アンドリュー・ロボスさんは「PCを使っているうちに、コンピューターやテクノロジーについての理解を深めていってほしいです。授業の中でも便利な学習ツールになりますしね。そして興味を持った生徒の中からプログラムのコーディングをする人が増えてくるようになったら最高です」と展望を語っています。
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