Facebookがトップクラスの公立学校とパートナーシップを締結、その狙いは?


SNSを展開するFacebookがアメリカの優秀公立学校と3年間のパートナーシップを結んだことを発表しました。公立学校と共同で教育事業に取り組むにはどのような経緯があったのか、そして、Facebookは何を目的としているのか、その詳細をThe Vergeが報じています。

Introducing Facebook and Summit’s K-12 Education Project | Facebook Newsroom
http://newsroom.fb.com/news/2015/09/introducing-facebook-and-summits-k-12-education-project/

Inside Facebook's plan to build a better school | The Verge
http://www.theverge.com/2015/9/3/9252845/facebook-education-software-plp-summit

Facebookがパートナーシップを結んだのは、アメリカに11の公立学校を展開するSummit Public Schoolsです。Summit Public Schoolsは、卒業生の99%が4年制の大学に少なくとも1校合格しており、アメリカ全体の平均である28%を大きく上回る実績を持つ学校です。


Summit Public Schoolsによると、同校の大学合格率が圧倒的に高いのは「Personalized Learning(個別学習)」という教育プログラムのおかげとのこと。Summit Public Schoolsの1日のカリキュラムは、教師が授業を行う従来のスタイルと異なり、生徒が自分自身で学習することに焦点をあてています。

例えば、1時間目は生徒が数人からなるチームを作ってグループプロジェクトを進める「Project Time」と呼ばれる授業が行われ、2時間目は30分の読書の時間。そして、3時間目には「Personalized Learning Time」と呼ばれる生徒が自分で数学や化学といった一般科目を勉強するカリキュラムが組まれています。Personalized Learning Timeの時間では、生徒は教科書の代わりにChromebookを使ってインターネット上で公開されている無料の学習コースを探して勉強する仕組みが取り入れられており、教師が教壇に立って授業を行う従来のスタイルとは全く異なるものとなっています。こういった生徒主導の授業が学校の質を上げ、カリフォルニア州レッドウッドシティにあるSummit High Schoolは2003年度のベストスクールに選ばれました。

生徒が実際に何の授業を選択し、どの教室で授業を受けているのかといった現状は、サードパーティ製のソフトウェアを使って管理していたのですが、全ての業務はたった1人のエンジニアに任されていたそうです。たった1人で生徒の動向を管理するのは大変だったようで、ソフトウェアの処理速度が遅すぎたり、生徒が授業で使うChromebookへログインするのに複数のアカウントを運用する必要があったり、さまざまな問題が生じました。

Facebookは、マーク・ザッカーバーグCEOが社会奉仕事業の一環として教育に目をむけていたこともあり、Summit Public Schoolsの実績や積極的なITツールの導入に関して大きな関心を抱いていました。そして、2014年初冬にFacebookが8人のエンジニアをSummit Public Schoolsに送り込み、同校のソフトウェア部門をバックアップするプロジェクトを表明。送り込まれたエンジニアたちはFacebookに在籍のまま、同社の業務とは切り離された形でプロジェクトを進めていくことになりました。

その後、FacebookはSummit Public Schoolsとプロジェクトを進め、「Personalized Learning Platform(PLP)」というソフトウェアを開発。PLPは年間カリキュラムの概要、生徒が授業や勉強時間を管理するためのカレンダー、授業で使う資料やテストをまとめて管理できるソフトウェアです。導入後は生徒から「以前より簡単に速く作業できる」「かなり使いやすい」など高い評価を得ました。


FacebookがSummit Public Schoolsとパートナーシップを結んだ目的の1つがPLPです。Facebookは同校とのパートナーシップ締結を発表すると同時に、PLPをアメリカ国内の全ての公立学校に無償で公開することを発表。すでにPLPのパイロットプログラムが20校に配布され運用が開始されています。

そこで浮かび上がるのが、Summit Public Schoolsとパートナーシップを結ぶことでFacebookは何を計画しているのか、ということ。IT関連メディアのThe Vergeは「Facebookはアメリカの教育レベルを底上げしたいということだけではなく、教育分野に新しいビジネスの可能性を感じているのではないか」と予想し、「Facebookが教育事業に関わることにより、教育関連のスタートアップは脅威を感じるだろう」と指摘しています。


また、PLPのシステムはFacebookによって開発されていることから、仮に将来においてFacebookがパートナーシップを解消した場合に何らかの問題が起こる可能性も懸念されています。FacebookだけでなくGoogleも「Google Classroom」という授業の管制センターのようなサービスをスタートさせており、巨大IT企業の取り組みがアメリカの教育にどのような影響を及ぼすのか、今後に注目が集まります。

・関連記事
海賊版を法律で取り締まるより公教育で教えた方がiTunesの売上が増加 - GIGAZINE

22カ国の学校を回った僕が日本の教育現場ですべきたった1つのこと - GIGAZINE

Googleドキュメント&スプレッドシートが教育現場でより使いやすく進化した新機能まとめ - GIGAZINE

Facebookの1日の利用者数が10億人を突破しザッカーバーグが描く究極の以心伝心コミュニケーションに一歩前進 - GIGAZINE

Googleが社員教育で実施している「無意識バイアス」の講義を徹底解説 - GIGAZINE

子どもが学校で本当にマスターすべき7つのこと - GIGAZINE

学校のスマホ禁止が学力向上に影響を与えることが判明、週1時間の学習時間にも匹敵 - GIGAZINE

34

in メモ, Posted by darkhorse_log