サイエンス

「自分の未来は他人事」を科学的に証明

By Hartwig HKD

将来的に体に悪い影響を及ぼす可能性があるにも関わらずタバコを吸ったり暴飲暴食したりするなど、人間には「今やる、もしくは今やらないと近い将来悪いことが起きる」と理解していても、実際の行動が伴わないことがあります。ある心理学者によると、人間は将来を思い描くときに、自分自身のことではなく他人のことのように考える傾向があり、脳の意志決定に重大な影響を及ぼしているそうです。

Why We Procrastinate - Issue 9: Time - Nautilus
http://nautil.us/issue/9/time/why-we-procrastinate

ニューヨーク大学の経営大学院レナード・N・スターン・スクールで助教授を務めるHal Hershfield氏は「心理および感情的次元において、私たち人間は自分の将来像を、あたかも他人であるかのように考えてしまうのです」と述べています。

Hershfield氏は「fMRI」という脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法を用いて、「現在と未来について考えている時における脳の活動」について調査を実施。Hershfield氏の率いる研究チームが注視して調査したのが、脳の中でも内側前頭前皮質前帯状皮質と呼ばれる領域で、人間が自分のことよりも他人について考える時により活発に動く部分です。

By --Tico--

調査の結果、現在ではなく未来について考えている時に、脳の内側前頭前皮質と前帯状皮質がより活発に動いていることわかり、「他人について考える時」と「未来について考える時」に働く脳の領域が同一であることが判明。Hershfield氏によると、脳では将来について考える時でも、芸能人について友人と話す時とほとんど変わらないレベルの神経活動が行われているとのことです。

また、2008年にはプリンストン大学の心理学者Emily Pronin氏もHershfield氏と同じような研究結果を報告しています。Pronin氏は学生に「しょう油とケチャップを混ぜ合わせて作った混合飲料を飲んで、嫌悪感を調べる実験を行う」と伝えました。学生を2つのグループに分け、1つのグループには「この後すぐ」、別のグループには「次の学期に実験を行う」と伝えた上で、それぞれにどれくらい飲めそうかを聞いたところ、すぐに実験を行うと聞かされたグループが「スプーン2杯くらい飲める」と答えたのに対し、もう一方のグループは「コップ半分くらいは飲める」と回答しました。Pronin氏はこの実験から「将来における自分を想像する時は、他人について考える時と同じくらい無責任になってしまう」という結論に達しています。

By darwin Bell

調査結果だけに注目するとネガティブな印象を受けるかもしれませんが、Hershfield氏は「他人について考える時はいつも無責任であるとは限りません。大切な友人や家族に対しては犠牲を払うこともあります」と述べており、この脳の特性を将来起こりうる肥満などの健康問題や金銭的問題に対して有効活用できる方法があるのか、研究を続けているとのことです。

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in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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