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Amazon創業者ジェフ・ベゾスの妻がAmazonレビューで★1つを付けAmazonのノンフィクション本を酷評


売上高6兆円という超巨大企業にAmazonを育て上げた創業者であるジェフ・ベゾス氏のサクセスストーリーを描いたノンフィクション作品「The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon」が2013年10月に出版されましたが、なんとベゾス氏の妻であるマッケンジー・ベゾスさんが実名でAmazonのページにレビューを投稿し、評価は最低ランクとなる「星一つ」を付けていることがわかりました。

Amazon.co.jp: The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon: Brad Stone: 洋書
http://www.amazon.co.jp/dp/0316239909


この作品はジャーナリストのBrad Stone氏によって書かれたもの。ベゾス氏の生い立ちからAmazonの成功までのストーリーを描いたもので、Amazonのサクセスストーリーを描いた内容に対して高い評価を与えるレビューもある中で、今回の事件が起きました。

Amazon.com: MacKenzie Bezos' review of The Everything Store: Jeff Bezos and the A...
http://www.amazon.com/review/R2I0T26SV0ELPP/

こちらがマッケンジーさんがコメントを寄せたページ。「★☆☆☆☆」の表示の横にはタイトルとして「この本のことを好きになりたかったのに」と書かれています。


その下をみると、マッケンジーさんはちゃんとAmazonでこの書籍を買ってレビューしていることもわかります。しかも、あえてKindle版ではなくハードカバー版を買っているあたりに人柄がにじみ出ています。


レビューの最初でマッケンジーさんはこう指摘しています。「第一章にはこう書かれています。『ベゾス氏は、前職を辞めて次に何を始めるべきかを考えていた時、イギリス人執事の誠実な人柄を描いたカズオ・イシグロ著の小説「日の名残り」を読んだ。』と書かれています。導入の文章としては良い文章ですが、これは間違いです。ジェフが「日の名残り」を読んだのは、Amazonを立ち上げてから1年が経ったころです」


マッケンジーさんは、夫のベゾス氏と20年にわたって公私を共にしてきた経験から、この本の中には多くの間違いがあることを指摘し、下記のように「この本には不正確な部分が多すぎて、中に書かれているエピソードすべての信ぴょう性に疑問を投げかけてしまっています」とコメントしています。


また、別の問題として「Amazonで働く人と企業文化が偏った形で伝えられています」とも指摘。


そして、マッケンジーさんは読者に対して以下のように注意を促しています。「文中には何度も『ベゾス氏はこう思った』とか『何かがベゾス氏の頭の中でひらめいた』のように、あたかもジェフが語ったかのようなフレーズが出てきてます。しかし、読者のみなさんにはジェフは一度も著者から取材を受けていないということを覚えておいていただきたいです。そして、このように勝手に決めつけられている引用部分には、まるで信ぴょう性を高めるがための脚注が付けられているということも」


一方で、「ノンフィクション作品には、事実だけを淡々と描くとつまらない内容になってしまうという特有の難しさもあります」として一定の理解を示す一幕も。しかしそれでも「ノンフィクションを描くのであれば、人物像を作り替えたり重要な事実を欠落させることでストーリーを盛り上げるような手法はふさわしくないことを理解する必要があります」とも注文を付けています。


また、以前にAmazonで上級副社長を務めており、退職時にはベゾス氏からも特別のコメントを寄せられているRick Dalzell氏もレビューに投稿しており、「内容は面白い、不完全で偏った歴史」として3つ星を付けています。


この著書に対しては「面白いことは確かだが、記載されていない事実があったり、不正確だったりする」とし、「作者はベゾス氏の温かさ、ユーモア、共感力といった人柄の部分を完全に見落としている」とコメントしています。


また、同じくAmazonで役員を務めていたJonathan Leblang氏は「面白い、でも不備あり」というレビューと共に4つ星を付けています。


古くからベゾス氏と共に歩んできたLeblang氏は「本の内容の80%は正しいが、残りの20%は間違っている。そのため、私が把握していない部分の信ぴょう性についても疑いを持たざるを得ない」としながらも、「それでも、この本はおすすめです」とおおむね好印象の様子。


この評価を受け、作者であるBrad Stone氏は自身が所属するBloomberg Businessweekのウェブサイトで反論を行いました。

Responding to MacKenzie Bezos's One-Star Slapdown - Businessweek
http://www.businessweek.com/articles/2013-11-05/responding-to-mackenzie-bezoss-one-star-slapdown


「レビューはうまく書かれており、面白く、そして関係者の100%の協力なしに伝記作品を作り上げることへの難しさをよくつかんでいる」と余裕を見せるStone氏。


「ライターという職業は、いくら客観性を主眼に置いていたとしても、人物の人間性が最も良く表れる緊張した瞬間に偏るものです。私は、わずか3名でスタートしたAmazonが世界中で10万人を雇用するに至ったその素晴らしいストーリーを描こうとしたのです。その成功と失敗のはざまで揺れる過程においては、楽しくない瞬間もあるものです」と、作品の内容について反論します。


その上で「ベゾス夫妻しか知り得ないこともあります。私の作品で間違っている点があると指摘があれば、喜んで受け入れましょう。しかし、まだ誰も作品の中に描かれた数多くのエピソードについて反論を寄せてきていないことも併せて知っていただきたい。ベゾス夫人、そして多くのコメントを寄せてくださったレビュワーのみなさんには感謝を申し上げます。それはすべて読者と私のような著者にとって有益なものです。そしてこれこそが私がこの世界に身を置いている理由なのです」と返事を寄せています。


なお、日本でも「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」というタイトルで12月19日に発売予定となっていますが、「内容紹介」には「マスコミ嫌いのジェフ・ベゾス本人の支援を取りつけ、本人への取材はもちろん、アマゾン幹部、親族、元同僚など周辺への徹底取材をもとに、ブルーンバーグ・ビジネス・ウィーク誌のベテラン記者が明かす」と書かれており、妻であるマッケンジーさんの「ジェフは一度も著者から取材を受けていない」という反論と明らかに食い違っています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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