プロジェクションマッピングをピアノの練習に取り入れた「PIANO」システム
ピアノを練習する人の多くは、一度は「バイエル」などの教則本に触れたことがあると思います。しかし、楽譜に並んだ「オタマジャクシ」と、ひたすら繰り返すことになる反復練習に嫌気がさしてしまった人も多いはず……。そんな悩みを解決してくれるかもしれないシステム「PIANO」が考案されています。
Real Rock Band: Play piano like a pro with light keys - tech - 02 October 2013 - New Scientist
http://www.newscientist.com/article/dn24296#.Uk5BsRBbBAJ
この「PIANO」のシステムは、ピアノ奏者のKatja RogersさんとAmrei Röhligさん、そしてドイツのウルム大学に在籍する同僚たちによって作られました。プロジェクションマッピングの技術を取り入れ、従来は紙の上に記号で書かれた楽譜を、楽器の上にそのままわかりやすい形で表示させるというものです。以下のムービーでは、このPIANOシステムの使い方が説明されています。
Piano projections help you play a tune - YouTube
電子ピアノの天板の上に表示される、楽譜代わりとなる色とりどりのバー。実際には描かれておらず、上から照射されるプロジェクターの映像が映し出されています。
バーは手前に向かって流れくるようになっており、奏者はそれにあわせて鍵盤を押せば曲が演奏できるようになっています。また、押さえた鍵盤が光るようになっています。すべてプロジェクターからの映像です。
和音の場合もこのように表示されます。
このシステムには「聴く(Listen)」「練習(Practice)」「演奏(Play)」の3つのモードが用意されており、奏者の段階に応じた使い方が可能です。
「Listen」モードでは、落ちてくるバーと一緒にピアノが自動演奏され、曲のイメージをつかむことが可能。
なお、このバーには種類があり、さまざまな演奏記号を表しています。左上から音符の長さ、レガート記号、スタッカート記号、下の段ではトリル、装飾音、そして色分けされた指使いが表示されており、奏者はこれに合わせて演奏します。
曲のイメージがつかめたら、次は「Practice」モードに入ります。
このモードでは、奏者の演奏に合わせてバーが落ちてきます。自分のテンポで演奏が可能なので、ひとつずつ確認しながら音を覚えていくことが可能です。
間違えた音を弾いた時には赤く表示され、間違ったことを教えてくれます。
演奏できるようになれば、こんどは「Play」モードで腕だめしです。このモードでは曲の進行に合わせてバーが落ちてくるので、それにあわせて演奏しなければなりません。
速いパッセージも、バーを見ればイメージがつかみやすくなります。
演奏後には、画面の指示と自分の演奏の比較が表示され、演奏の参考にすることができます。
すでに、光で演奏をナビゲーションしてくれるキーボードや、「キーマニ」と呼ばれたKEYBOARDMANIAなどの演奏ゲームがありましたが、このPIANOはそれらの要素を組み合わせ、より音楽の練習に重きを置いたものになっているようです。
Pink Rose Keyboardmania - YouTube
「楽譜が読めなくなるのでは」と心配する声も出てきそうなこのPIANOシステムですが、「譜面」というハードルを低くして音楽の世界への入り口を広げてくれるものと期待したいところです。
By Nathan Adams
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