【訃報】Yum開発者セス・ヴィダル氏がひき逃げによって死亡、容疑者は翌日自首

2013年7月8日夜9時頃ダーラムにあるゴルフコース付近を自転車で走行中のセス・ヴィダル氏が、後方から走ってきた自動車にひき逃げされ、事故後デューク大学病院に搬送されましたが、まもなく死亡が確認されました。享年36でした。ヴィダル氏はLinuxのパッケージ管理システムであるYellowdog Updater Modified(Yum)の開発者であり、業界からは悲しみの声が上がっています。

Bicyclist killed in Durham hit-and-run :: WRAL.com
http://www.wral.com/bicyclist-killed-in-durham-hit-and-run/12639104/

Man charged in Durham hit-and-run that killed bicyclist :: WRAL.com
http://www.wral.com/man-charged-in-durham-hit-and-run-that-killed-bicyclist/12644209/

The Fedora Project community mourns the loss of Seth Vidal
https://lists.fedoraproject.org/pipermail/announce/2013-July/003174.html

ヴィダル氏の死亡が確認された翌日の7月9日、「自分がヴィダル氏のひき逃げ死亡事故を起こした」と名乗るMaceo Christopher Kemp Jr容疑者がダーラム警察署に自首し、同日逮捕されました。Christopher Kemp Jr容疑者はひき逃げと免許取り消し中の無免許運転の罪で告訴されています。

ヴィダル氏はLinuxディストリビューションを製品として配付・サポートするRed HatでソフトウェアエンジニアとしてYumの開発や、RPM系LinuxディストリビューションのFedoraを開発したFedora Projectに携わっていました。

Fedora Projectを運営するFedora Communityは以下のような声明を発表しています。

The Fedora Project community mourns the loss of Seth Vidal

The Fedora Project has lost a valued, longtime member of its community. Seth Vidal died last night, July 8.

Seth was a lead developer of yum and the update repository system, and a contributor to the CentOS project as well as the original Fedora Extras system. He worked tirelessly on the infrastructure for the Fedora Project to make all systems work well and consistently for our contributors around the world. He was a gifted speaker, a brilliant thinker, a clever wit, a humble and genuinely funny person, and a good friend.

The Fedora community owes an enormous debt of gratitude to Seth's dedication to Fedora and other free software projects, his commitment to community values, and his passion for excellence in his work. To say he will be missed is an understatement. He has been a colleague, a team member, a source of wisdom and advice, and above all, a friend and inspiration to countless people in the Fedora community over the past decade. His seminal and invaluable work in Fedora and free software will live on for years to come, and the legacy of his spirit will stay with the community, and with many of us individually, forever.

Our thoughts are with his partner Eunice, the rest of his family, and Seth's many friends and coworkers.

Fedora Projectは、長きに渡って貢献してきた非常に重要なメンバーを失うことになりました。セス・ヴィダル氏が昨日亡くなりました。

セスはYumおよびリポジトリシステムのアップデートを先導するデベロッパーであり、またCentOSプロジェクトやFedora Extraシステムへの多大なる貢献者でもありました。セスはFedora Projectのシステムが機能するように、基盤を整備することに根気強く働いておりました。彼は、天性のスピーカーであり、優れた考え方を持ち、賢明で謙虚であり本当に面白い人物でよい友人でもありました。

Fedoraコミュニティーは、セスのFedoraや他のフリーソフトウェアプロジェクト、コミュニティーの価値に対する貢献および、彼の仕事への情熱に多大なる借りがあります。彼はなくてはならない存在であるという言葉が控えめに聞こえてしまうくらい彼は重要な存在でした。セスは私たちの同僚であり、チームメンバーであり、知恵とアドバイスをくれる源であり、なによりも1人の友人で過去10年間に数え切れないほど多くのFedoraコミュニティーの人たちにインスピレーションを与えてくれました。彼が従事してきた、Fedoraや他のフリーソフトウェアにおいての独創的で将来に影響を与える非常に貴重な仕事は、今後何年も生き続けるでしょう。そして、彼の精神はコミュニティーおよび私たちの心の中に永久にとどまるでしょう。

私たちの思いは、セスの妻であるEuniceと残された家族、そして彼の多くの友人や同僚と共にあります。

セス氏が生前最後にユーザーと交わしたTwitterでの会話はくしくも自転車に関することでした。Ryan Tomaykoさんが自転車の走行距離などを記録するのにオススメのアプリを知りたいという質問をすると、セス氏は「何も記録しないで、ただ乗ればいいんだよ」とリツイート。他のユーザーが「記録しないと進歩しないよ」とリツイートするとセス氏は「サイクリングはコンテストではないんだ。ただ、楽しんで乗ればいい」と返信したのがTwitterに残された最後の会話となっています。

また、生前日本にも来日していたセス氏は、自身のGoogle+のアカウントに日本の飛騨古川でサイクリングをした時に撮影した写真をアップロードしています。